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第2章:就職氷河期を生き抜く ~1. 就職できない同期たちの苦悩

1.1 就職氷河期が起こった原因

前章で述べたバブル崩壊からの長期不況を背景に、就職氷河期がどのようにして起こったのか、その原因を以下で詳しく探っていきます。この時期、多くの企業がバブル崩壊による経済的な混乱と、長期的な景気低迷に直面していました。そのため、企業活動におけるコスト削減や、経営の効率化が必要とされ、新卒採用にも大きな影響を与えることとなりました。このような背景から、新卒者にとって極めて厳しい就職環境が生まれ、多くの若者が安定した職を得ることが困難となりました。以下では、就職氷河期がどのような要因によって引き起こされたのか、その具体的な理由を探っていきます。

 

1. バブル経済の崩壊

1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、不動産価格や株価が急落しました。その結果、企業が大きな損失を被り、経営状況が悪化しました。これにより、新たな雇用に投資する余裕がなくなり、企業は採用活動を縮小することを余儀なくされました。

2. 金融機関の不良債権問題

バブル崩壊後、多くの金融機関が不良債権を抱えることになり、貸し倒れリスクが増加しました。そのため、企業への融資が厳しくなり、経済全体の資金循環が停滞しました。結果として、企業活動が制限され、新卒採用も大幅に抑制されました。

3. 企業のコスト削減とリストラの実施

経済が悪化する中、多くの企業が経営の安定を図るためにコスト削減やリストラを進めました。このため、正社員の採用が控えられ、代わりにアルバイトや派遣社員といった非正規雇用が拡大しました。その結果、新卒者にとって安定した雇用を得ることが難しくなりました。

4. 政府の対応の遅れ

景気対策や雇用支援策の不十分さも、就職氷河期を招いた要因の一つです。効果的な対策が講じられなかったため、雇用市場の冷え込みを抑えることができませんでした。

5. 企業の成長意欲の低下

景気低迷により、企業の成長意欲が低下しました。新規事業やプロジェクトへの投資が控えられ、結果として新卒者の採用機会が減少しました。

6. 少子化と市場の縮小

少子化により将来の市場規模に対する企業の期待が低下しました。これにより、企業は人員増加に慎重になり、必要最小限の人員での運営を目指すようになりました。

 

この就職氷河期の背景には、経済的な混乱と企業の成長意欲の低下、政府の不十分な対応が大きく影響していました。これらの要因が複合的に作用し、多くの若者が安定した職に就くことが困難な状況を生み出しました。このような厳しい環境の中で、新卒者は限られた機会を追い求め、多くの挑戦と努力を続けなければならなかったのです。

 

1.2 採用枠の激減と競争激化

就職氷河期における新卒採用の状況は極めて厳しいものでした。1997年から1999年の間、大学卒業生の求人倍率は約1.36倍と過去最低を記録し、1990年代後半には新卒採用枠が激減していました。例えば、1998年の求人倍率はバブル期のピークである1991 年の2.86倍から大幅に減少しました。

例年に比べて圧倒的に少ない求人票が掲示されていました。企業説明会も減少し、多くの学生が限られた情報を求めて奔走していました。遠方まで出向いて説明会に参加することも多く、その労力は大きなものでした。学生たちは少しでも採用のチャンスを得ようと必死でした。



人気企業の採用枠は非常に限られており、エントリーシートを通過するのも極めて難しい状況でした。多くの学生が大勢の応募者の中からわずかな採用枠を争う現実がありました。これにより、学生たちは応募できる企業の幅を広げ、さまざまな業界に挑戦することを余儀なくされました。加えて、企業からのフィードバックがないまま不採用通知を受け取ることが続き、精神的なプレッシャーが増していきました。

このような中で、就職活動に成功するためには、エントリーシートや面接対策を徹底的に行う必要がありました。学生たちは自己分析を深め、自分の強みやこれまでの経験を効果的に伝える方法を模索しました。また、友人同士で面接練習を行ったり、先輩からのアドバイスを求めたりするなど、あらゆる手段を使って競争を乗り越えようと努力していました。

 

1.3 内定ゼロの現実と報道される若者たち

就職活動の厳しさは、周囲でも多くの学生が体験していました。優秀な成績を収めていた学生でさえ、何社も応募しては不採用の通知を受け続け、そのたびに自信を失っていきました。内定ゼロのまま卒業を迎える学生も少なくなく、新卒での就職を断念する人も増えていました。

「もう何社受けたかわからない」「自分には価値がないのかもしれない」といった声がよく聞かれました。当時の厳しい現実を痛感せざるを得ませんでした。特に優秀な学生であっても、その才能を発揮する機会が見つからず、別の進路を模索せざるを得なくなる姿を見るのは辛いものでした。

また、ニュースでも多くの若者がアルバイトや派遣社員として働く姿が繰り返し報道されていました。彼らは生活費を稼ぐために様々な仕事に就きましたが、将来への不安が常に取り沙汰されていました。例えば、アルバイト先で正社員登用の可能性を模索する者や、派遣社員として経験を積みながら安定した職に就く道を探る姿が報道されていました。

厚生労働省の報告や主要なニュース番組でも、派遣社員の不安定な契約により短期間で職を転々とせざるを得ない若者たちの状況が頻繁に取り上げられていました。彼らがどれほど努力しても正社員への道が限られている現実は、多くの若者にとって大きなプレッシャーとなっていました。中には、生活費を稼ぐために複数のアルバイトを掛け持ちしながら将来を模索する若者の姿もありました。昼間は飲食店でアルバイトをし、夜はコンビニで働くというような、過酷な生活を余儀なくされていたのです。さらに、一部の若者は週末に宅配サービスの仕事を追加で行い、休む間もなく働いていたことが報道されていました。

さらに、非正規雇用における待遇の差も問題視されていました。ニュースで取り上げられた若者の中には、正社員と同様の業務をこなしながらも賃金や福利厚生が大きく異なることに不満を抱く人も多くいました。このような不公平な状況により、多くの若者たちは、自分がどれほど努力しても報われないのではないかという絶望感を抱くようになりました。正社員と同様の業務をこなしても報酬や待遇が異なる現実が、彼らの将来に対する期待を失わせ、努力の価値に疑問を感じさせる一因となっていたのです。

こうした報道を見ながら、私もまた、自分の進路について深く考えざるを得ませんでした。この時期は、ただ就職活動に成功することだけが目標ではなく、それぞれが自分にとって最善の道を見つけるために努力することの重要性を感じさせられたのです。

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