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『他者と働く』(読書会に参加して②)

キャリアックというキャリコンのグループ関連でのオンライン読書会。
今回は3回シリーズで「他者と働く(宇田川元一)」を読んでいきます。

すべての厄介な問題は、
関係性のなかで起きている。

今回は裏帯にあったコメント。すぐに思いついたのはアドラーの「すべての悩みは対人関係の悩みである」を思い出した。この本もアドラー心理学の影響を受けているのかな…

アドラー心理学が初めての方は、この本がオススメ。私もこの本を読んでアドラー心理学が大好きになりました。

話を戻しますが、「すべての厄介な問題は、関係性のなかで起きている。」の厄介な問題というは「適応課題」のこと。相手のナラティブに入り込み、新しい関係性を構築する。これが組織を動かす現実的で効果的な方法だという。

ふむふむ。
『組織を動かす現実的で効果的な方法』というのが本当にあるのでしょうか。そんなに組織って簡単なものではないし、一人ひとり考え方は違うし、その人が関わる環境に縛られているはず…。


さて、今回の読書会では、「第3章」〜「第5章」を読み進めました。
今回の章も内容盛り沢山だし、そんなこと出来るのかなとか、現実はそんなに簡単じゃないとか、ネガティブ発想ではなく、実践してみているからこその壁を感じている素直な感想。まあでも、結果的には、まずは自分がこの行動を続けるしか無いこと、そして、少しずつ組織内に仲間を作っていくしかないこと、そんなことを思いました。

現組織からは間もなく去る状況になりますから、この組織に対しては何も貢献できずに終わりそうですけど、日頃から部下との関係では、この本にある「ナラティブの溝に橋を架ける」を地道に実践をしていると自負しているので、この部下達が私が居なくなったあとでも、「あー、なんか昔の係長が言いよったばい。まずは相手の置かれた状態を考えてみつつ、自分たちの意見を伝えないかんねぇ。」とか「一つ、二つ上位の職責になったつもりで考えてみてとか言いよったね。」なんて思い出してくれたら良いかなって感じです。

書籍の内容詳細について興味のある方は是非、書籍を手に取ってみてくださいね。


🍀総論賛成・各論反対の溝に挑む

どこの世界でも「既存」vs「新規」とか「保守」vs「革新」といった構図ってあるのでは無いかと思います。私の身の回りにも思い当たることがいくつもあります。

組織体としては、同じ目的と目標に向かってベクトルは同じ方向を向いていると思いますけど、総論賛成(分かっているんだけどねぇ)でも、各論反対(そうは言ってもねぇ)という感じで、これがハッキリ見えている状況ならまだしも、見えにくい対立構造となっていて苦しい想いをすること多々あるのではないでしょうか。

こんな状況の時、この対立構造にある「既存」vs「新規」の2つのチームにある溝をどうやって埋めていくのか。その方法について、この本では

 ☑️共通の成果を設定する
 ☑️準備⇒観察⇒解釈⇒介入のプロセスで対話を回す
 ☑️プロセスの「介入」=「検証」。
  この「検証」が2巡目以降の対話に繋がる 
 ☑️相手のナラティブを招き入れる
  ①自ナラ横おき⇒②相ナラ認知⇒③相ナラ受入⇒④ナラ見て
 ☑️自身のナラティブに偏りと向き合う

と書かれてありました。

自分のナラティブを脇に置いて、相手のナラティブを理解することから初めて行くことで、相手との関係が良好なものに移せるようにする。このプロセスをPDCAのように回すということであろうと思います。

しかし、ココで出てくる「ナラティブを招き入れる」って、本当に出来るのだろうか?って思ってしまいます。

身近なところ(関係構築がまあ出来ている相手とか)での相手とのナラティブの溝であれば、お互いに相手の考えを聴いてみたり、なんならこっちに来てもらおう、一緒に考えてみてもらおう、なんて出来るかなって思います。このあたりは、部下との関係や課内での小さな溝であれば、私でさえも実践出来ている気がします。

しかしながら、他部署との関係、組織外との関係、普段からそりが合わない相手との関係、といったことになると、なかなか招き入れるというところまではいかない。まずはスモールステップで取組むことが大事なのかな。

あと、「自身のナラティブの偏りと向き合うこと」について。

中立的な人間は原理的に考えてもこの世界には存在しません。誰もがそれぞれのナラティブを生きているという意味では偏った存在であり、それは自分もそうだということです。

これ、とっても深い。まずは自らのナラティブの偏り認めること。でなければ相手のナラティブを偏りを受け入れることは難しい。

これって、自分に何か別の技術が備わってないと、簡単に誰でも出来ることでは無いような気がしています。

それって、何だろうね。

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🍀正論の届かない溝に挑む

組織の中の人同士に起こりがちな溝について、この本では、

 ☑️上司から部下へと連鎖する適応課題
 ☑️フラットになれる場を設定する
 ☑️弱い立場ゆえの「正義ナラティブ」に陥らない
 ☑️つながりの再構築で孤立を解消する

という対応が紹介されています。
ここでも大切なのは、準備⇒観察⇒解釈⇒介入のプロセスですね。

上司から部下に連鎖する適応課題とありますが、上司が自身のナラティブを脇に置けないのと同じように、部下自身もナラティブを脇におけていない場合があります。部下も同じで「自分の提案が正しい」からと上司に主張するばかりではなく、上司のナラティブを観察してみることが大切ということです。

ここで、フラットになれる場を設定するという対応についての説明がありました。この「フラット」って何だろうか。部下が上司を集めて、フラットな対話の場を作るなんて、本当にできるのか。

ファシリテーションに長けている、自分の企画に相当の自身がある、上下関係なく人前で話すのは苦でない、なんて人には案外簡単にやってのけれることなのでしょうかね。

上司も一人ならまだしも、いくつかの部署の上司らを集めて対話をしてもらうということも、これって出来るもんなの?って感じですね。私の組織ではそんなことしている部下は見たことありません。まあ、対話をしてもらうのではなく、単なる「説明」をするだけであれば、私自身も何度も経験はありますけど、対話、しかも対話を促進させる、なんてことは出来たことない様な気がします。

いづれにしても、このフラットな場を設定することの大切さは良く分かるのです。それを実行するために必要なことが、本書にある考え方だけでなく、実際に行動するために別のスキルが必要な気がするのです。

読書会でのグループディスカッションでも、この話題は出ましたが、こんなことを思うのは私だけかな?

🍀権力が生み出す溝に挑む

権力が生み出す溝。権力を持ち得ない立場ですから、どちらかというと権力を持たない側の感覚になりますが、確かに対等に対話しましょうとか言っても、やっぱり権力がある人と対等にはなれません。

権力を持つ皆さんの参考となる方法が

 ☑️現場を経営戦略を実行するための道具にしない
 ☑️仕事のナラティブの中で主人公になる
  部下が仕事のナラティブで主人公なれるように助ける
 ☑️権力の作用を自覚(自ナラを脇に置く)して相手を観察する
  「私とそれ」「私とあなた」を理解しておく
 ☑️マネジメントスタイルを組織のナラティブにあわせる
 ☑️回避型における対話のポイント
  「不快感」「違和感」と向き合う

こんな感じで紹介されています。

現場のことを十分に理解しようともせずに、一方的に仕事を押し付けられることは日常茶飯事。現場には現場に流れているナラティブがあることを理解しておけば、相手にとっても意味のある仕事として受け入れてもらえるのでしょう。

それと「権力の作用を自覚して、相手を観察する」ですけど、これは

権力を持っていることに自覚的でないと
自分が見たい現実だけを見ることになる

ということが書かれてあります。自分の権力で見たいものを見るのではないので、権力者にとっては不都合なことになりますけど、この不都合な現実をみることこそが対話をする上で不可欠だということ。

不都合な現実を見る。

いつか権力者になることが無くても、自分の立場が何らかの形で相手の権利を握っている場合には、本当に気をつけておきたいことです。権力とは、別に、経営者や管理職と平職員の関係だけでなく、先輩⇔後輩、会社⇔顧客、親⇔こども、など、様々な場面でありそうなこと。


様々ところにある対立。
対立から対話へ。対話で不要な対立を避けることが出来る。
知恵を使って闘わない、敵を味方にすることが大切。

ドラッカーの「産業人の未来」の引用してありました。

われわれは、未来を語る前にいまの現実を知らなければならない。
なぜなら、常に現状からスタートすることが不可欠だからである。
しかもわれわれは、すでに手にしているものによって初めて必要とするものをつくりあげることができる。手にしていたものを発明することからスタートすることはできない。

現状をしっかりと見る。
現状にある相手ナラティブを理解し、そこにある溝に橋を架ける。

組織の未来を作ることができるとありますが、これって、人と人が認め合いながら生きていくということ、社会全体が幸せになるための皆で取組むことではないでしょうか。

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最後に…。
ちょっと気になりだしたのは、ナラティブに橋を架けるってのは、ファシリテーションのような、コミュニケーションの場を対等・中立・公平に立ち振る舞うことが出来る技術がないと難しいのでは?という仮説が湧き出てきたこと。これは、今後、じっくりと考えてみたいところです。

고맙습니다😊


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