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演奏所感#002 宮本笑里のHA・RE

今回ご紹介するのは、宮本笑里さんのデビュー10周年アルバムamourからHA・REです。

ピアノの隙間からそっと奏で始まるヴァイオリンの旋律。
明るくも何処か切なく、でも一歩一歩少しずつ確実に前へと進んでゆき、いつの間にか眼前には広大な青空が広がっている。
そんな奏者の想いがヴァイオリンの音色に乗って空間を満たし、聴く者を惹き込み脳裏に情景を思い描かせる。

プロである宮本さんには失礼を承知で敢えて表現させて頂くと、正直な話、所謂大演奏家の方々特有のある種円熟した演奏と比して、弓裁きには何処か拙さを感じます。でもだからこそ、弓の一振り一振りに乗せた宮本さんの想いが聴く人の心に直接語りかける

それはあたかも言語という枠組みでは伝えきれない素直な感情を、ヴァイオリンという楽器を奏でることによって発しているような。

想いを伝えるために楽器を弾くのではなく、楽器という器官を使って自然と想いを発する。技術力とは違ったベクトル上にある表現力。
きっと音楽家であれば誰しもが無意識に目指しているであろう境地に自然と足を置いているように感じました。

音楽愛好家の一人として、これからがとても楽しみな演奏家です♪

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