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バルセロナに着くまでたいへんでした

 私が住んでいるアメリカの某国際空港(仮にA空港とする)から→ロンドン→バルセロナへ飛ぶはずだった。

 前日にオンラインでチェックインを済ませて何の問題もないはずだったのに、当日、空港のカウンターで荷物を預けようとしたら「ロンドン→バルセロナの便はキャンセルになりました」と突然告げられたのだった。

 「2日後にまた来てください」と言われたが、
「はい、では2日後にまた来ますね」と誰が簡単に応じるのだろうか。
うちから1時間かけてUberでやってきたのだ。
愛犬も友人宅にあずけてきた。
現地でのいろんな予約やら、仕事の都合。
家に帰って、2日後にまた戻ってくるなんて絶対に無理!!

 「ほかにバルセロナへ行けるルートはないんでしょうか」必死にお願いして言い争って、担当者の上司を呼んで、すったもんだの末に
「A空港→ロンドン→マドリード→バルセロナ」のルートでチケットがとれた。
バルセロナ到着はほぼ一日遅れとなる。
仕方がない、2日後に出発よりだいぶましだ。

 ところが、それでも事はうまく運ばなかった。
乗り換えのマドリードの空港で連れ合いが疲労のために倒れてしまったのだ。
連れ合いは「てんかん」の傾向を持っていて、疲労が重なると発作が出てしまう。
ただ、過去の発作はすべてAbsent Seizure(アブセントシージャー)と呼ばれる、頭が一時的にぼーっとなるタイプの発作だった。
今回は初めて床に倒れ込み痙攣するタイプの発作が起こり、びっくりした。

 連れ合いは近くの病院の緊急室に運ばれることになり、私も救急車に乗せられた。
救急車に乗りながら、「こんな疲れる旅につれてきてごめんなさい」という思いでいっぱいになり、退院したらもうアメリカの自宅に帰ろうと決心した。

 幸い、連れ合いはしばらくベッドで眠ったら元気になった。
スペインの病院のお医者さんはひじょうに親切で英語も流暢だったので大変助かった(ポルトガル人のお医者さんでしたが)。
ちなみに病院で朝ごはんを出してくれて、それがココアとチュロスだった。
なんだか病院でもスペインを感じられて興味深かった。

「アメリカに帰ろうよ」連れ合いに提案した。
「いや、大丈夫。ちょっと疲れてるけど、もう元気になったし。」
私は複雑な気持ちだった。
旅の初めからアクシデントばかりで、いやなことが起こる予兆のように感じられたのだ(まぁ、すでにいやな事は起きているが)。
その上、空港から病院へ行っている間に私達のスーツケースは行方不明になっていた。

 スーツケースを探し出して、フライトの変更をして(もう乗るはずだった飛行機には間に合わなかった)、まだ完全に体調がもどっていない連れ合いを休ませながら旅を続けるなんて。
大変すぎるんじゃないだろうか。
また連れ合いが倒れでもしたら、後悔してもしきれない。

 それでもよくよく話し合った結果、旅を続けることにしたのだった。
幸いスーツケースも見つけるのに3時間以上かかったが見つかった。
病院から手紙をもらっていたので、フライト変更もしてもらえた。

 自分でも信じられなかったが、旅は始まったばかりだった。
最初の目的地にもまだ着いてないのに、いろんなことが起こった今回の旅なのでした。

 

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