【ある極東の国のおはなし】

昔々、たかしくんとかずおくんの2人がいました。
2人は月収10万円で低技能な仕事をしていました。

たかしくんは5万円で家賃光熱食料費を払い、3万円で技術の研究開発に挑みました。2万円で子どもの教育もしました。
かずおくんも5万円で家賃光熱食料費を払いましたが、残りの5万円は全部親の医療費に使いました。子供はいません。

たかしくんは、10年後、大変素晴らしい技術を開発し、月収が30万円になりました。また、彼のお陰で高技能な仕事も増えたので、高賃金の雇用も生まれました。その結果、その地域で賃金の競争も生まれ、地域の平均収入もずいぶんと上がりました。

さらに10年後、たかしくんの子供も大学院で高等教育を受けて大人になり、世界に輸出できる製品を作る仕事につきました。たかしJrの作る製品は世界で飛ぶように売れて、たかしくんも、その同僚も高い給料を得て、街にはたくさんの税収も入るようになりました。

たかしくんの家もますます豊かな生活になっていて、老いたたかしくんも安心して過ごしていますが、次の世代のことを考えて、若者をいじめたりはしません。

かずおくんは10年後、相変わらず同じ仕事をしていました。
収入が増えていないので同じ仕事で10万円です。
親に毎月5万円も使い続けた10年間でしたが、親が死ぬと何も残っていませんでした。

かずおくんは何ら研究もしていなかったので、何も発明することもありません。むしろ、かずおくんの仕事は他の国の人やAIに奪われそうになっていています。
その上、海外の物価は絶えず上がっているので、10年前は1L100円で買えたガソリンも、今や170円になり生活は苦しくなる一方です。

さらに10年後、子供もいないので、かずおくんを支える人は誰もいませんでした。
かずおくんのおうちはますます貧しくなってきましたが、誰も支えてくれないので、他人の家の子供にゆすりたかりして、盗みに入ったりして、日々生活しています。
地域の嫌われ者になったかずおくんは、誰からも信用されなくなってある日路地裏で野垂れ死んでいました。

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