ちょっと小話シリーズ2 「名古屋帯のサイズ?」

 最近は動画編集の仕事や、アドバイス、その他、様々な内容を指導や編集代行、果ては動画内で使う簡単なBGM作りなどをしています。

 すでに何やっている人なのかわからない状態になりつつありますが、こんなご時世なので、周りが少しでも儲かるようにと動いております。

 (もちろん、皆のため!なんて言いません。周りが儲かれば自分も儲かりますので・・・それを狙って動いております!)

 と、関係のない話から入りましたが、今回はちょっと面白いものを見つけてしまったので、その事について書きたいと思います。

 タイトルにもありますが、「名古屋帯のサイズ」です。

 これ、どういうことかというと、暇なときは現在のネット販売(フリマアプリやその他ネットショップ)の状況などを調べていますが、そこで見つけたものがあったんですね。

 名古屋帯を販売している方で、名古屋帯の長さも巾も書かずに「サイズ等、ご質問される方がいますが、サイズ等はネット等で調べてください」とあるんですね。

 そこで、そのショップを見てみると、アンティークなもの、レトロなもの、比較的新しめのものまで様々な名古屋帯を扱っています。

 それなのに長さなどは説明にない、そして「サイズはネットで調べてね♡」的なことが書かれています。

 ・・・・・これ、すごく着物を始める方には「不親切」です。

 たしかに、帯は工夫すればある程度の長さでだいたいの方に着装は可能です(工夫すれば・・・です)。

 とはいえ、帯の長さすら書いてないのに「調べて」とはいったいどういう事なのか?

 あまりにビックリしすぎてコケてしまいましたが、そういう説明文の方に限って「着物歴10年以上!20年以上!」とか書いてるんですね。

 そのぐらい着物歴長いなら、長さで名古屋帯の適合サイズが変わることぐらいわかるでしょうが!

 なのに、そうやって寸法を書かずに「自分で調べろ」とは・・・。

 これは、さずがに邪推します。

 名古屋帯のレトロなものになると、長さが短いので、寸法書いて売ったら売れない可能性が高いわけですね。

 また、買った後でも、たいがいの人はなんとか着る方法を探すので、そっちのほうが売り側としては楽なわけです。

 (まあ、実際、、工夫すればある程度の大きさの方でもなんとか短めの名古屋帯を着ることはできます・・・なんとかですね)。

 でもそれは初心者とか歴が浅い方には不親切だなぁと思いますが、これがまた寸法を書いてなくても買っている人が多いんですよ。

 リメイクの材料ならともかく・・・でも着物に歴が浅いし、ネットで着付けをマスターしようなんて人は最初のころは寸法なんてわからないまま買う人も多いでしょうから・・・仕方がないのかも・・。

 しかーし!それはあまりに不親切!売ればいい時代は終わってる!ということで、名古屋帯のサイズについて少し書いていきます。

 ただ、他のところが書いているような部分はあまり語る必要がないので、もう少しつっこんだ話をしていこうと思います。


1 時代によって名古屋帯の長さの平均値がわかる!

 あくまで「平均」です。全部がそうではないですが、そういったものが多いという見方で読んでください。

 まず、時代である程度、名古屋帯のサイズは変わります。

 たとえばアンティーク物

 年代的に戦前から戦後すぐぐらい(昭和30年ぐらいまで)の名古屋帯の長さって、だいたい3m10cm~3m30cm程度、巾はほとんどが28cmから29cm。

 これは細身で小柄な方が多かったからですね。

 これからだいたいの寸法などを割り出すと、

  ・身長 142~145cm(無理?して150cmいけるかな?)の細身の方(これは巾の問題も加算されます。小柄な方が巾の大きい帯をすると後ろからみたらお太鼓の部分が大きすぎて子供っぽく見えるからです)。

  ・ウエスト 3m30cmで68cm前後まで行けると思います。そうなると3m10cmしかない場合ウエストサイズが55cm前後になります。

 ※あくまで基準です。ウエストの計算は人によって違ったりしますが、だいたいはこのぐらいだと認識してください。


 つづいてレトロなもの(だいたい昭和40年~平成初期)。

 この頃は平均身長も体型もアップしています。なので名古屋帯もそれに応じて長くなっています。

 だいたい3m30cm~3m45cmぐらいの長さの帯が主流で、巾は30cmが主流です。

 そうなると

 ・身長155cm~165cm(帯の巾が30cm程度なので、だいたいこのぐらいの身長にバランスが良いと思います)。

 ・ウエストは3m45cmぐらいだと85cmぐらいまでってところがいい感じだと思います。

 

 最後に平成の後期ぐらいから現在まで

 最近になると身長の高い方、ふくよかな方が多くなりますので、主流の名古屋帯のサイズは長さ3m50cm~3m70cm、巾は31cm~31.5cmとなります。

 この帯の巾だと

 ・身長165cmより上の方にオススメです(お太鼓の巾が31.5cmもあれば今度は身長に対してお太鼓が小さく見えるというアンバランスはだいたい回避されます)。

 ・ウエスト 間をとって3m60cmで考えると95cmぐらいがピッタリかな?というところです。

 あとで参考寸法は書いておきますが、まあ、単純にこうなります。


 ね?これだけ見てもアンティークからレトロから現代に近い生産のものまで扱っているところが名古屋帯の長さも書かずに「ネットでサイズは確認」という説明文だと不親切だと思いませんか?


 ただし、これがわかっても、大概の方は、この帯がアンティークか、レトロか、現代に近いものなのかなんてわかりませんよね?(なお、私たちは専門なので、がらと作りで年代のおおよその予想が可能ですが・・・)。


 で、本当は不親切なショップの売り上げ貢献する気はありませんが、逆に着物を始めた方がそういう店で買う際に困るというのはあんまりなので、考え方の基準を記しておきます(ただし、あくまで基準ですからね)。


 2 名古屋帯の基準

 ・アンティーク:巾は29cm、長さは3m10cmぐらいしかないと思って購入してください(巾はほぼ29cmが主流ですが、長さに誤差はあります。とはいえ、3m10cmより短い名古屋帯は圧倒的に少ないです、ですが、時々あります。それにあたった場合は寸法などを書いていない所で買った自分が悪いと思ってください)。

 ・レトロ名古屋帯(昭和40年~平成初期製造):巾は30cm、長さは3m35cm~45cmが平均ですので、そのぐらいの寸法だと思って買うこと(ただし、昭和の40年~60年までは地域によって体格差がけっこうあります。中古の場合、運が悪ければ3m20cm~3m30cmぐらいの長さに当たると思ってください。その場合はおそらく巾も29cm程度のものが多いでしょう)。

 ・現代に近い製造の帯:現代に近くても多いのは3m45cm~50cmぐらいだと思います。そもそも3m60cm~3m70cmは基本的にすごい最近で、しかも着物の新品発注が激減してからのものがほとんどです。つまり、サイズが書いてない場合で新しめなものを買っても3m60cm以上の長さに当たるのは稀だと思って買ってください。なお巾は30cmが多いです)。


3 基準サイズ

 最後に基準的なサイズを書いておきます(ですが基準ですよ基準、お太鼓の返しの長さなどで変わりますし、稀に変な仕立て方してある帯もありますので、そのあたりは除外して考えてください)。

 身長150cm以下 帯の巾29cmぐらいがベスト、31cm以上だとお太鼓ばかりが大きく見える。

 身長160cm前後 帯の巾30cmぐらいがベスト、150cm~160cmの間の身長の方は29cmか30cmかは好みで選ぶ(ただし29cmのものはアンティークが98%と思ってください、なので30cmが妥当です)。

 身長165cmより上の人 まあ、31cmでも31.5cmでも大差ありません。また160cm台の人は30cmでもおかしくないと思います。まあ、好み程度に考えてもらっても構いません。

※実はウエストによっても巾を考えたほうが良いですが、そもそも短いものにしか29cmは無く(長いものでも無いわけではないが圧倒的に少ない)、基本的に帯の全体の長さによって巾も変わる傾向です。なので長い帯を買ったら巾もそれに応じて合った巾になっていると考えてください(これも仕立てた人の好みなので違う場合もありますが、基準的にと考えてください)。


 ウエストサイズ

 65cm以下:3m25cmぐらいまでなら大丈夫!

 70cm前後:3m30cmで行けるかな?ギリかな?

 75cm前後:3m38cmぐらいかな。

 80cm前後:3m40cm前後

 85cm前後:3m47cmあれば良し!

 90cm前後:3m53cm欲しいです。

 95cm前後:3m60cmで多分大丈夫!

 100cm前後:3m80cm(体系の問題が大きく出ますので、一気に長さが必要になります。

 105cm前後:4m(もう袋帯のしゃれ物を名古屋帯のように使用したが良いかも)。


 という感覚が基本かな?という感じです。

 このサイズの見立てはもっと詳しく書いてあるサイトもありますので、そちらも参考にするとよいと思います。


 と、まあ、今回もちょっとしたグチのようなものから始まりましたが、着物のサイズって難しいんですよね。

 でも難しいからこそ、少しでも書いてやらねば「わからない、むずかしい、だまされた」となって着物離れが進むわけです。

 売りたければ、相手の知りたい情報をできるだけ記載して、その分を少しだけ商品に上乗せして販売すればよいだけですし。

 ※それじゃ売れない!という人は売る努力を怠っています。

 でも、それでもなお、意味不明な事や書いてあることを読まずに質問とかしてくる人はほどほど相手してしまえばよいのです。

 と、名古屋帯のサイズで困っている人の少しは知識のためになればなと書いてみました。

※しつこいようですが、あくまで基準ですよ?お太鼓の返しの長さとかで若干かわりますからね!

着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。