『サルデーニャの蜜蜂』 内田洋子

もともと南部に興味があったというイタリア暮らしの長い著者による、イタリアの食や暮らしにまつわるエッセイ。 

山奥の村で開催される古本市で出会ったユダヤ系の老女が、第二次世界大戦時になめた壁の味、著者がバカンス先で出会ったカラブリア出身の家族のミラノでの生活、建築家が身につけるカーディガンへのこだわり。
山奥で狼のように暮らす女性が作る素朴なタリアテッレ、神戸を思い出して著者が購入した船に遊びに来る初老の男性とその息子、かびくさい日本の教会で出会った老神父と手紙の翻訳。
すれ違う人々の人生が垣間見えるようなエピソードを丁寧に掬い取っている。


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