読みたがり

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『暗い旅』 倉橋由美子

倉橋由美子を全部読んでみようと思って、初期の作品や桂子さんシリーズなどかなり読み進めてきた。『暗い旅』は手に入りにくいだろうと思い後回しにしていたのだが、ふと気づけばKindle化もされていてありがたい。 主人公「あなた」が女子大生ということもあり、ナラティブが非常に若々しく読みやすい。『聖少女』や『ポポイ』のような感じ。 特徴的なのが二人称で書かれているという点で、それ自体は『パルタイ』と同じなのだが、倉橋由美子が大学で学びおそらく耽溺したと思われるフランス文学を意識した

    • 『サルデーニャの蜜蜂』 内田洋子

      もともと南部に興味があったというイタリア暮らしの長い著者による、イタリアの食や暮らしにまつわるエッセイ。  山奥の村で開催される古本市で出会ったユダヤ系の老女が、第二次世界大戦時になめた壁の味、著者がバカンス先で出会ったカラブリア出身の家族のミラノでの生活、建築家が身につけるカーディガンへのこだわり。 山奥で狼のように暮らす女性が作る素朴なタリアテッレ、神戸を思い出して著者が購入した船に遊びに来る初老の男性とその息子、かびくさい日本の教会で出会った老神父と手紙の翻訳。 すれ

      • 「葱」 芥川龍之介

        『文豪春秋』がおもしろくて、もう何度も読んでいる。 で、宇野千代の章を眺めていたら、神保町のカッフェで働いていたころ、それはそれは美人でさまざまな男性をとりこにし、芥川龍之介も「葱」という短編小説に登場させたほどだと書いてあることに気がついた。 「葱」の主人公の「お君さん」が宇野千代をモデルにしているらしい。お君さんは、こんなひと(↓)。 年は十五とか十六とか云うが、見た所はもっと大人らしい。何しろ色が白くって、眼が涼しいから、鼻の先が少し上を向いていても、とにかく一通

        • 自己紹介

          はじめまして、「読みたがり」と申します。 アラサーの活字中毒です。社会人になってからとんと読んでいなかった日本文学を急に読みたくなって、夢中になって読んでいる今日この頃。忘れないように記録したくてnoteをはじめました。 どうぞよろしくお願いします!

        『暗い旅』 倉橋由美子