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日本語教師2ヶ月目のできごと

18年半の会社員生活を卒業して、4月から都内の日本語学校に勤務している初心者マークの非常勤講師です。前回はこちら。

声の調子が全快しないまま、5月が終わりました。もしかしてこのままハスキー先生になっちゃうのか…。夏は学校の繁忙期なので、それまでに戻らないとホントに喉をつぶしてしまいます。なるべくしゃべりすぎないように気をつけなければ(あまり気をつけてない)。

初めての面談ウィーク

前回も触れたようにわたしのクラスは、明るく楽しく真面目で仲良し。授業に集中していて、積極的に活動をリードする学生が何人もいるので、受け身気味の学生も交えて、活発に活動ができていました。

ゼロ初級から1ヶ月あまり、ちょうど教科書が1冊終わる頃にクラス全員との面談がありましたが、日本語を交えて面談ができる学生も。一方、あれだけ活動できていて、こんなに定着しないか〜と思うほどの学生もいて、着実に差はついてきました。

学生のタイプとレベル差

面談を通じて学生のことも色々分かりますが、わたし自身の気づきもありました。それは日本語そのものよりも、習得プロセスへの興味がより強いということ。日本語学の範囲か、教育学の範囲かだと思ってもらえればいいです。

これまでがそういう経歴なので、それはそうなのですが、面談で話したことを前提にクラスに戻ると、レベル差は行動差を反映していることがはっきりと見えてきました。

当たり前と言えば当たり前のことばかりで、新しい発見は特にありませんが、

  • 習得の速い学生は、毎回質問します

  • 習得の速い学生は、与えられたタスク以上を自分で付加します

  • 習得の速い学生は、クラス外でネイティブと会話しています

  • 習得の速い学生は、数分の遅刻をしません

遅延証明などあれば遅刻をつけないルールになっていますが、持ってくる学生は決まっています。つまり、遅延を考慮したリスク回避、additionalな行動をしているかどうかによる。

ルールを分かっているから遅延証明を持ってくるわけですが、ルール通りしていますというスタンスが厄介で、この人たちは課されたタスクができているとそれ以上をやりません。だからテストは合格ですが、それ以上ではないのです。

※余談ですが、授業で趣味や職業も聞いているので、行動特性とプロフィールの結びつきも興味深いものがあると思っています。

「100点の学生」が見ていないこと

もちろんクラスには100%ができていない、ゆっくりの学生もいます。学生目線でもわかりやすいです。ゆっくりの学生も質問はします。一度学習したこと、つまり皆はわかっていることを繰り返し質問する。学生の疑問を解消するために教師はいるので、レベルがどうであれ質問自体は大歓迎です。

100点だがそれ以上ではない学生のほうが、質問をしません。課題ができたら暇そうにし、このクラスは自分には簡単だと言い出します。100点以上の学生はというと、できている時も手を抜きません。教師から見るとよくわかるのですが、暇そうにしている学生に、その違いは見えていないようです。

能ある鷹は爪を隠す

最後に面談したのはクラスで一番できる学生で、先行のクラスに移ることが決まっていました。面談で教えてくれたことは

授業は自分にとってはちょっと速くて、だから家であらゆる勉強をしていました。ホストファミリーとも毎日会話したし、そこでの疑問は先生に質問するよう薦めてもらった。毎日そうしていたから、誰よりも努力した自信はある。クラスの皆には、そう見えていないかもしれないけど」

仲良しクラスが迎えた転機

同じタイミングで数人がクラスを移りましたが、皆共通してストイックで、ペアワーク、グループワークでも自分のスキルアップにフォーカスしながら活動していました。残った中には、単純に友達と離れた寂しさや、あるいは自分が選ばれなかったことに不満を示す学生もいました。

一方、明らかに良い方向に変わった学生もいました。質問が増えた学生、「覚えたいからお手本を書かないで」と、遅れているひらがなカタカナを練習し始めた学生。iPadのタイピングをやめて手書きをし、必ず「チェックお願いします」と申し出る学生。パレートの法則で、上位ないし下位の学生がいなくなれば、自然に流れが起こり、別の学生が跡に収まるのでしょう。

誰に注力すれば、良いクラスになるか

2ヶ月前初めてクラスを持つとき、全員同時は無理だから「これからクラスでハブになるであろう学生」から掌握しようと決めた。おそらくこれは上手くいきました。

クラスが立ち上がったいま、スイッチの入っている学生を惜しみなく支援しようと思いました。短期留学なので、在籍期間も習得へのモチベーションも人それぞれ。全員が100%超えを維持できれば理想ですが、おそらくそうはなりません。

クラスの秩序を維持することの次に、上達につながる行動の承認を優先的にやる。結局、自分自身の課題にフォーカスすることが、成長の第一歩なのだと思います。もちろん教師として自分自身も常にそうでなければなりません。

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