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自分の言語を客観視する

東京外国語大学のオンラインシンポジウムに参加しました。荒川洋平先生、メルカリ親松さん、デンソー森島さん、ファーストリテイリング畔柳さんの講演、パネルディスカッションで、たっぷり4時間。

HRの会社で働いていたときに、メルカリの組織開発がすごいということを知り、今回日本語教育のテーマで話が聞けるということで楽しみにしていました。

私が日本語教育をやる、と決めたのは、自分自身が外国籍のメンバーを部下に持ったことがきっかけです。一緒に仕事をしていくと、会社組織の中はインクルージョンの壁だらけだということに気がついた。そしてそれは部下一人のことではなく、他の部署でも起きていることがわかってきた。

でも、日本人は困っていないんですね。なぜか。今日のシンポジウムの中で荒川先生の解説がわかりやすかった。

  • 日本語は、約2,000年もの間、ほぼ日本人にしか使われていなかった

  • 日本語母語話者は、日本語の言語接触(非母語話者が日本語を使う場面)に慣れていない

つまり、自分が使っている言葉が相手に伝わりにくい可能性を考えたり、相手が不十分な言葉を使っている時に、自分の理解のためストラテジーを使いこなしたりする経験に乏しい。

スムーズなビジネスコミュニケーションのために、母語話者側に求めることの例として、ファーストリテイリングの畔柳さんが

  • 自分は、誰に、何をどうしてほしいのかを明確に話す

  • そして、それをどの程度強く要望するのかを明確に話す

と挙げていました。この点がはっきりしない人は、相手が日本人同士でも伝わっていない。むしろ自分でもわかっていないように思われます。

荒川先生は、「たとえば英語を学ぶときと同じように、自分の日本語も客観的に捉えることが必要だ」とおっしゃっていました。相手が非母語話者かどうか関わりなく、言葉はそのように使うべきだと思いますが、あまり意識されていないのが実態。

ネイティブと非ネイティブがともに学ぶ共生のことばづくりが、私の長い目標です。最前線の現場で取り組まれている皆さんの知見を通して、やりたいこと、やるべきことが改めてクリアになりました。とてもとても良い会でした。

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