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日本辺境論の感想


ここ数ヶ月海外に滞在することが多く、海外と日本を比べていました。
ふと10年ほど前に読んだこの本を思いだし、自分なりに考えた今の結論と日本辺境論がどれだけ一致しているかを確かめてみたくなり、読書に至りました。


簡単に要約と感想を書きます。

イントロ

アメリカは窮地に陥ったら建国のストーリーに戻ればいい。今までの犠牲のもとに国は成り立っている。一方で日本には建国のストーリーはない。西欧の革命のようなことは起きてないから。なぜ革命が起きなかったのか、その理由が後に明らかになります。

日本人の思考法

日本は、和を以て貴しとなす。
日本は、他国との比較を通じてでしか国家像を描けない。
場の親密性を自分自身のアイデンティティの一貫性よりも優先させる傾向。
長いものに巻かれ、受動的なありようを恭順と親しみのメッセージとして差し出す態度、
自分自身が正しい判断を下すよりも、正しい判断を下すはずの人を探り当て、その身近にあることを優先。
外部のどこかに世界の中心たる絶対的価値があるとし、その距離の意識に基づいて思考と行動が決定される。世界と比べて、そこに追い付こうとしてしまう。

外国(アメリカ、中国)の思考法

本当の指南力のある国や人は、正しさの保証がなくてもこれが正しいと言う。
メッセージの正しさや有用性を保証する外部や上位審級は存在しない。
正しさは現実ではなく構築される未来にのうちに保証人を求める。それが世界標準を作る人間の考える正しさ。

日本人としての長所

他人から弟子として学ぶのは得意。成功例を真似るだけだから。責任も重くない。

日本人の短所

虎の威を借る狐である。自分の意見を言えない。自分自身の問題として考えたことがないから。
ある論点について、賛成にせよ反対にせよ、どうしてそういう判断に至ったのか、自説を形成するに至った自己史的経緯を語れないとネゴシエーションできない。

日本人はどうすればいいのか

他人から虎だと思われたいのなら、自分になった歴史的経緯を言葉にできなくてはいけない。日本人が侮られるのは自分の言葉で言うことができないから。
狐は、虎がなぜその振る舞いをするか、歴史的経緯や深層構造を知らない。だから未知の状況に投じられたときに虎を予測できない。

まとめ

外来の権威に平伏して、その非対称な関係から引き出せる限りの利益を引き出す。ユニークな生存戦略でもあった。

誰から学ぶか、誰を師匠とするか。なにを学びたいのか。学んだあとはどうしたいのか。自分で考えること。
アウトプットはインプットがないと余程の天才でない限りはできない。だからまずは学ぶこと。これは日本人が得意なこと。
権威に平伏して、従順に学ぶ。学んだあとは、自分の頭で考える。正しさは外部との比較ではなく、未来との比較にある。

余談
外国では明らかに我が強い人が多いですし、他人を気にせず自分本意な生き方が多いと思います。オーラがあります。
恐らくですが、日本は島国で、大陸との距離も離れているので、我が強い必要はなく、むしろ仲間同士で争い自滅することを避けるために他者への思いやり文化が醸成されたのではないかと思います。韓国人も性格的には似てる気がします。だから、常に他人からの目線を気にしてしまう。自尊心や自己肯定感について書いてきましたが、他人を気にしすぎてしまうから、自分の軸を持てないのだと思います。それは日本辺境論でも述べられています。
この性格が悪いとは言いませんが、例えばグローバル企業で出世したいとか、グローバルに仕事したい人は一考に値すると思います。逆にJTCで働く人は日本人の性格でないと、働きにくいと思います。
自分にとってどちらが有利なのか、自分の頭で考える必要があります。そうすれば虎になれるのではないでしょうか。



どうか私に慈愛の心をお恵みください。今から与えられる人間になりましょう!