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派手な色で染めよう

「よっしゃ、髪ピンクにしよう」

うつ病で仕事を辞めた私は思い立った。

周りが派手髪にするタイミングは、大学生のときが多かった気がする。
メッシュが入っている友達や、毛先だけハイトーンの後輩、全部緑色の髪の同期もいた。
私の大学時代は、アルバイトで派手髪禁止だったこともあり、アッシュ系の色にするくらいがせいぜいだった。
新卒で教員になったので、当然ここでも派手髪にできるわけはなかった。

しかし、うつ病によって唐突に無職になってしまった。これは好きなことをせねば損!(うつ病なのにえらくポジティブである)
私のしたいこと、それは髪を派手な色で染めることである。

青系のポイントカラーを入れていた妹に聞いたら、
「青系に染めると寒色系の服しか似合わなくなる」
とのこと。寒色系の服の手持ちが少ないので、大好きなピンクにすることにした。

母に相談してみたら、
「いいんじゃない?でも両家顔合わせ終わってからにしてね」
とのこと。
(当時私は婚約しており、退職する前に両家の顔合わせの日取りが決まっていた)

顔合わせ後の最速の日程でヘアサロンに予約を入れた。

当日はワクワクしながらサロンに向かった。
人生で初めてのブリーチ。毛先だけだったので痛くなかった。
美容師さんに色々してもらうことおよそ2時間後。
鏡には、毛先が柔らかなピンク色に染まった私がいた。

やったああああ!!!!!

さりげない色だったけれど、本当の自分になれたような気がした。
仕事をする中で、今までいっぱい我慢していた。
その我慢の鎖が一つ外れた気分だった。

それから3ヶ月後。
色の抜けてきた毛先を見ながら、私はもっと派手な髪にしようと決意した。
結婚したらアルバイトを始めるつもりだったから、最後の派手髪を楽しもうと、暖色系の中から色んなカラーを検討した。

美容師さんと相談して、ヘアマニキュアで毛先を真っ赤にした。色持ちを考えた結果である。
前よりもはっきりと派手な髪になった自分を見て、最高の気分だった。
なりたい私になれた。

その数日後に入籍だったので、入籍時の写真は毛先が真っ赤である。
入籍のお祝いで夫の両親が食事に連れて行ってくれたときは、流石に赤髪で行くのが憚られて、お団子にして見えないようにしたけれど。

派手髪でディズニーにも行ったし、浅草で着物も着た。毛先が赤いだけでいつもより垢抜けた気分になれるのが最高に幸せだった。

ヘアカラーひとつで気持ちがこんなに変わるなんて思わなかった。
うつ病をして、つらい思いをしたことの方が多いのだけれど、派手髪にできた点に関してはラッキーだったと思っている。

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