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しんどい道を選ぶ

「大切にしている教えは何ですか」と訊かれたら、私は迷わずこの言葉を挙げる。

中学校のときの担任N先生に教えてもらったこの言葉。先生が学級通信で紹介してくださっていて、それは何かの引用だったはずなのだけれど、元の文章は発見できなかった。

でも、「しんどい道を選ぶ」というフレーズだけは、ずっと私の心の中にある。

先生の学級通信では、「しんどい道を選んだ方が、後で綺麗な景色が見られる」といったような文脈で紹介されていたと記憶している。

当時は「迷ったら大変そうな方を選ぼう」くらいに思っていた。
しかし、私自身の成長とともに、この言葉の持つ意味が変わってきた。

「前進するよりも後退する方がしんどいときがある」と知ったのはいつだろうか。
まだまだできるはず、こんなに頑張ったのにもったいない、と、人は惰性と根性で進み続けることがある。
でも、それが心身を壊しかねない場合、しんどいけれど撤退の道を選ぶ必要があるのだ。

仕事を辞めるときの私は正にこの状況だった。
つらくてもまだできるはず、というのは辞める踏ん切りがつかないが故の言い訳であって、心身や将来のことを考えたら思い切って退職すべきだったのだ(力づくで退職させてくれた母や叔母、夫には感謝している)。

人間、今までしてきたことを続けることの方がやめることよりもずっと楽だ。
でも、時には自分のために、やめる勇気を持つ必要がある。

いたずらに自分を酷使することは、表面的にはしんどい道を選んでいるかのように見える。
しかし、本当の意味で「しんどい」道を選ばなければ、幸せになるのは難しいのだと思う。

「しんどい道を選ぶ」
私にとって、新しいことにチャレンジする勇気と、自分を守る大事さを教えてくれる言葉である。

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