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1か月だけ東京に住みたい

1週間だけ東京に住んでいたことがある。
正確には住む、というよりは妹の家に転がり込んだだけなのだが。


うつ病で仕事を辞めてまず思ったのが、
「これで気兼ねなく友達に会いに行ける!」
ということだった。うつ病のくせしてえらくポジティブである。

コロナ禍に公務員をしていたこともあり、県外、特に東京にいくのはなんとなく憚られる環境だった。それなのに私の友人たちは大体東京にいる。
大好きな人たちに会いたいのに会えない。そんな日々が長く続いていた。

退職と同時にしがらみからも解放された私は、この機会を逃すまいと勢いよく東京在住の何人かの友人にアポを取り、東京に住む妹にも1週間の滞在許可を得た。

退職から約1か月後、私は意気揚々と東京に向かった。
(後から母に聞いた話によると、ドクターからは3か月くらい旅行は控えてくださいと言われていたとのこと。黙って送り出してくれた母には感謝している。)

ホテルではなく妹のアパートで過ごした1週間はとても楽しかった。
住宅街を歩いたり、妹のお気に入りのカフェに連れて行ってもらったりした。東京は住宅街ひとつとってもなんだかおしゃれで、歩く度にうきうきした。

もちろん友達とも沢山遊んだ。当時のインスタを見返すと、うつ病で仕事を辞めたやつとは思えないくらい充実していたことがうかがえる。


どこでも住めるとしたら、と聞かれたときに、この経験が思い出された。

今、私が住んでいるのは夫の転勤先である地方の市。国道沿いにチェーン店が立ち並ぶような、どこにでもある街並みが広がる、そんな所だ。
大きな不満があるわけではないけれど、もう少し刺激が欲しいな、と思う。
夫の転勤があったから住んでいるけれど、自ら選んでここに来ることはなかっただろう。

刺激があって、友達もいて、楽しい所。
そんな所に私は住みたい。
そして、今のところそれを叶えてくれるのは東京という街なのだ。

ただ実際東京に住んだらいいことばかりではないだろう。
家賃も物価も高いし。
車生活にすっかり慣れた私たちに電車移動はきついだろうし。
娯楽が多い分、いくらお金があっても足りないかもしれないし。

第一、夫の仕事を変えてまで叶える夢でもないな、というのが正直なところだ。


だから、1か月くらいと期間を決めて東京に住みたい。
マンスリーマンションを借りて、「旅行」じゃなくて「生活」をしてみたい。
お気に入りのカフェを見つけたり、目的地を決めず散歩してみたり。
友達と会う日もあれば、一人で博物館や図書館に行く日もある。
東京での生活を考えるだけでうきうきしてくる。

いつか、ちゃんとお仕事をしてお金を貯めて、こんな生活を実現できたらいいな。

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