DeFiレンディング・プロトコル: Goldfinchに投資した理由


Scott Onder

Goldfinchは、世界中の金融サービスを必要としている人々に、DeFiレンディングサービスを提供するプロトコルを構築しています。

私たちMercy Corps Venturesは、このGoldfinchへ新たな投資をしたことを発表します。

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Goldfinchは、DeFiに欠如している部分、つまり「過剰担保のない融資」へのアクセスの提供を可能にすることで、暗号資産による流動性を現実世界にもたらします。

これは、新興市場において、人々や企業が生産性を高め、生活を向上させるための資金調達に苦労しているという、課題とその需要に応えるものです。比較的少額の融資取引でも、人々が自らの生産性を高めるために活用できるようにすることで、大きな変化をもたらすことができます。

例えば、商店の主人はより多くの商品を売るために在庫を増やし、大工はより良い道具に投資し、農家はより良い設備、種、肥料に投資することができます。収入を生み出す生産的な用途に適切に融資されれば、人々は貧困から抜け出す力を得ることができます。

しかし、このような生産性の高い資産に融資を行う企業は、そのニーズと需要の増加に対応するための十分な資金を得ることができていないのが現状です。アフリカ、ラテンアメリカ、その他の発展途上国の資本市場は弱く、断片的です。比較的財力のある伝統的な銀行は、保守的な融資基準を持っているため、その範囲も非常に限られています。また、融資を受けることができても、手続きに時間がかかり、金利が高く、条件が厳しいなど、企業にとって余分なコストがかかり、その成長の妨げになっています。さらに、グローバルな資金展開を行う企業にとっては、為替リスクは大きなものであり、追加のコストが発生してしまいます。

そこで、Goldfinchの出番です。これらの融資対象企業は、Goldfinch上で「Borrower(借り手)」として、特定の用途に対する融資を申請することができます。そして、「Backer(貸し手)」が、Borrowerから提出されたローン申請を評価し、条件を決定し、監査役が徹底した審査を行い、最終承認を得た上で、融資資本を提供します。そして、Backerをはじめとする資本提供者は、金利とトークンによるインセンティブを獲得するというのが簡単なプロセスです。詳細は、Goldfinch White Paperで紹介されて

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新興市場におけるクレジットは、生産性の高い資産や用途に提供された場合には、十分な金融サービスを受けられない人々に大きなインパクトを与え、より多くの収入を得られる機会を提供することができます。

しかし、無責任に資金が提供されるシステムにおいては、有害な影響を与える場合もあります。また、新興市場では、非生産的な用途のために非常に高い金利で無担保の消費者金融を行うなど、持続不可能な債務慣行が存在しているのが現実です。

「私たちがGoldfinchを設立したのは、Web3が世界中の資本へのアクセスと金融包摂を拡大する素晴らしい可能性を秘めていると信じているからです。Web3業界は、今こそ暗号の領域を超えて、現実世界にポジティブな影響を拡大し始める時だと信じており、それを実現するのがGoldfinchの使命であると感じています。」
Mike Sall(Mercy Corps Ventures共同創業者兼CEO)

a16zをはじめとして、A Capital、SV Angel、Access Ventures、Divergence Ventures、Defi Alliance、Draft Ventures、Balaji Srinivasan、Wale Ayeni、Ryan Selkis、Jason Choiなどの、素晴らしい共同投資家の皆さんと一緒にGoldfinchをサポートできることを嬉しく思います。私たちは、Mercy Corps Venturesに対するGoldfinchのコミットメント、迅速な進捗に感銘を受けています。2021年1月のローンチ以来、彼らは、インド、インドネシア、メキシコ、ナイジェリア、シンガポール、タイ、ベトナムで、既に何万人ものエンドユーザーにサービスを提供しています。また、GoldfinchはWeb3の利点を最大限に活用して、素晴らしい分散型コミュニティを構築し、Defiサービスとしての大規模なスケールを実現しています。Goldfinchは、2022年には7億ドル以上の資金調達を視野に入れており、これは新興市場におけるデットファイナンスのあり方を大きく変えるものとなるでしょう。


顧客事例
東アフリカの資産金融フィンテック企業Tugende社は、ケニアでの事業拡大のための資金として、Goldfinchのプロトコルから500万ドルの融資を受けました。

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Tugende社は、ウガンダとケニアでオートバイのタクシーを始め、52,000人以上の顧客に所有権と収益向上の機会を提供しており、その貸倒率は1%以下と業界トップクラスのポートフォリオ品質を維持しています。

現在、Tugende社の主な顧客はバイクタクシー(Boda-Boda)事業者です。バイクを高額でレンタルするのが一般的な市場において、同社は手頃な利率での資金提供をすることで、バイクの所有を可能にし、1日5ドルだったドライバー収益を10ドルに倍増させています。この資金提供のパッケージには、生命保険や医療保険、バイクの安全装備、トレーニング、営業許可証の取得も含まれています。

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新興市場向けの投資に関わるベンチャーキャピタルとして、私たちは、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの成長企業が融資を受けることがいかに困難であるかを知っています。この資本ギャップを埋めることができるソリューションを提供するという部分が、分散型クレジットプロトコルであるGoldfinchに投資した第一の理由です。

Goldfinchは、暗号分野とグローバル市場を繋ぎ、必要十分な流動性を解き放ち、過剰な担保を必要とせずに資金を提供します。私たちは、新興市場でのビジネス経験を生かし、Goldfinchの生産的な使用に向けた責任ある融資プロセスをサポートできることを嬉しく思います。

Mercy Corps Venturesは、規模の大小を問わず、人々や企業がそれぞれのニーズに合わせた合理的な条件で、オンチェーンでクレジットにアクセスできる世界を思い描いています。私たちとGoldfinchは共に、グローバルな金融システムを再構築し、十分な金融サービスを受けられない人々に対して、よりオープンで分散化されたサービスを提供するというビジョンの実現に向けて、歩みを進めていきます。

原文:https://medium.com/mercy-corps-social-venture-fund/why-we-invested-goldfinch-e0c0d2e87a02

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