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”中国人は謝らない説”は本当か?

中国人は自分に非があっても謝らない」みたいな言説はよく聞かれますよね。ただ、長年中国人と交流してきた私の経験でお話すると”時と場合による”が答え。

ケースバイケースなんて一番面白味のない結論ですが、どうケースバイケースなのかが割と大事で、私自身もある程度経験を積んでようやくわかったことでもあります。

ちなみに中国語で謝罪を表す言葉をいくつか並べてみると…

不好意思 : 軽い謝罪で「ごめんごめん」くらいのニュアンス

抱歉 : 「悪いね」くらいの感じ

对不起 : しっかりとした謝罪で「ごめんなさい」「すみません」的なニュアンス

真对不起、实在抱歉、请原谅:重めの謝罪で「大変申し訳ございません」的なニュアンス

ケース①仕事の関係

もちろんこれは程度によるのですが、日本人がすみません!申し訳ございません!というタイミングで中国人がよく使うのは「不好意思」
例えばケアレスミスをした場合に「不好意思,下次再注意(ごめん、次回気をつけますわ)」みたいな一言で済ませることが多い気がします。

「对不起」みたいなしっかりとした謝罪は上司や取引先相手でもあまり見たことがありません。(ちっとやそっとのミスなら謝らずに自分を正当化する言い訳に走る人も多い)
いわゆる始末書とか顛末書を書くレベルの大きなミスであれば、書面上で请原谅と言った言葉を見ることもごく稀にあります。日本人との連絡に慣れてる中国人だと、实在抱歉みたいな言葉をメールに書く人もいますね。
「ご了承下さい」みたいな予め許可を求めるような場合には敬请谅解とか言ったりもします。

ケース②店員と客の関係

中国ではお客様は神様みたいな概念はほぼなく、割とB to Cでもフラットな関係性です。なので納得いかないことがあれば店側もガンガン攻めるのでカスハラみたいな状況は発生しづらいのですが、お互い非を認めて謝るかというと、それはそれで中々珍しい…
よほどの過失がない限り店側が客に謝ることもないし、客が予約時間に大遅刻してるのに謝らずに言い訳してるみたいなシーンにレストランで遭遇したこともあります。
私が上海のレストランで箸を落とした際に店員さんに「不好意思,再给我一双筷子(すみません、箸を変えてもらえますか)」と言ったら、一緒にご飯を食べていた中国人に、「そういう時に不好意思ってあんま言わないよ」と言われました。

ケース③友達関係と恋愛関係

私が見てきた中では実はこの局面において一番謝るフレーズが聞かれている気がします。特に若い年代だと日本人並みとは言いませんが、そこそこ「不好意思」を発しているかと。家族や親友ほど親密ではなく、ビジネス関係でもない。金銭は介在しないけどそれなりに付き合うメリットとデメリットを考えて打算的な距離感がある。そこで、もめるぐらいなら謝って済まそう的な「不好意思」が地味に活躍してるように思います。
ただ年代が上になればなるほど、ごめん、不好意思の一言でさえ搾り出すのに勇気がいる…そんなプライドは感じます。

ケース④家族関係

家族になると、冗談や嫌味で言うことはあっても、对不起とか不好意思とか真面目に使うことはほぼ無いと考えて差し支えないでしょう。
中国人の妻にも聞いてみましてが、家族間で使うとものすごくよそよそしく感じてしまい、むしろ決別を言い渡されてるようで悲しくなるそうです。
ちなみに妻曰く家族間で对不起が聞かれるシチュエーションは不倫した時ぐらいだそうです。


もちろんこの4ケースとも絶対的にこう!というわけではなく、私の経験値から導き出したものです。

ちなみに、日本に住んでいる中国人なら日本人が社交辞令的に謝る文化であることはよく知っているので、ケースバイケースを意識せずに日本人の感覚で謝りたいときは謝るでも全然いいかなぁと思ったりはします。

逆に中国に住んでみると、意識しなくても自然によほどのことがない限り謝らない習慣が身につきます笑

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