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チームリーダーも務めるデザイナーが語る、複数の専門領域を越境する重要性


2020.12.02現在
2020年3月にJapan Digital Design株式会社(以下、JDD)に入社した梶田 健介はアメリカでマーケティングとデザインを学び、帰国後は複数企業で活躍してきたデザイナー。広い視野を持ち、サービスだけでなく組織もデザインしています。その経験と、デザインとJDDに対する想いを語ります。


広告、UI、UX、サービス、組織のデザインを経て
JDDへ

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学生時代はアメリカのミズーリ州セントルイスのウェブスター大学で広告戦略やインタラクションデザインを専攻していました。

大学卒業後もアメリカで仕事をしたいと思い、カリフォルニアにある広告代理店でインターンをしていました。というのも、アメリカには、日本のような新卒一括採用がないため、アルバイトやインターンをしながら採用枠が空くのを待つんです。

しかし、ビザ取得が難しかったことやリーマンショックなどもあり、結果的に日本に帰国しました。

帰国していざ就職活動を始めると、すでに大学は卒業しているので中途採用枠となってしまうにも関わらず、業務経験がないということで就職が難しい状況でした。半年ほど経って、ようやくデザイン会社に就職が決まり、アルバイトからキャリアをスタートさせました。

そこでは、今で言う体験デザインを軸にウェブやアプリのデザインを中心に携わっていました。具体的にはユーザーの行動観察やインタビュー、UX、UIのデザイン、時には展示会用の新製品の世界観や体験の動画制作もしました。当時iPhoneが出た影響で、UIの仕事が増えたため、スマホアプリのデザインについてたくさん学びました。

当初目指していた広告代理店とデザイン会社では業種の違いはあれども、私の中ではさほど違いがありませんでした。なぜなら、広告も体験デザインも受け手を良く理解した上で、ヒトとモノの間にスムーズで魅力的なつながりをつくる仕事だからです。日々の生活の中でどんな関係性を作り、どのように人の行動に働きかけるかを考えるという点では広告も体験デザインも同じだと考えています。

その後は、モバイル、特に位置情報を活かした体験デザインを求めて、ゼンリンデータコムに転職。そして、3社目では、これまでに得た知見を活用して、様々なサービスにチャレンジしたいと思い、提供サービスの多い楽天に転職をしました。その当時、顧客満足度やUX品質を重視しつつも、それ以上にビジネス成果を求める傾向が強かった楽天に対して、顧客中心主義の観点をグループ全体に広め、「楽天、変わったね」と周りの人から言ってもらいたかったんです。

実際、楽天の本部に所属し、ユーザーに好かれるような体験を世に出していく体制や仕組みづくりに取り組みました。EC部門や金融部門などと連携しながら改善を進め3年。楽天での顧客中心主義もグループに浸透し始め、いくつかの取り組みも仕組みとして定着し、異なる立場でも体験デザインをしたいと感じるようになったんです。

本部に所属するため、社内コンサルタント的な立ち位置で関わることが多かったんです。となると、意思決定をするのは事業側。プロジェクトが途中で頓挫することもそれなりに有り、最後までやりきれないことや、単発で終わってしまうことに始めはフラストレーションを感じていたのですが、ふとそれが仕方のないものと受け入れ始めている自分に焦りを覚えました。

当事者となり、自ら責任を持ち、言い訳できない環境に身を置いた方が成長につながると思い、楽天内での部門異動も考えましたが、最終的には転職することに行き着きました。

その際、以前エージェントからお話を頂き、声をかけてもらっていたJDDから、再度連絡をもらいました。それを機にカジュアル面談で話を聞いたのが、JDDとの直接的な出会いです。

新しいところでは、生活において利用頻度が高い分野で仕事をしてみたいと思っていたので、生活になくてはならない金融は魅力的でしたね。一方で、社会インフラでもある金融分野はまだまだ使いにくい部分も非常に多い。

JDDでは、金融領域において三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)のリソースにアクセスをしながら、社内の新規事業プロジェクトやMUFGとの協業プロジェクトもあり、これまでの経験を活かした新しいチャレンジの機会があると感じました。

そして何より各分野のプロフェッショナルが集まり、「金融+技術+体験」の融合を掲げていることに魅力を感じ、2020年3月に入社しました。


MUFGのソリューションも、社内の組織も、XDチームが「デザイン」する

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私が所属するXDチームは、CXOの浅沼 尚の下に私を含むがリーダー3名、そしてメンバー4名の計8名です。8名規模のデザインチームですがITや広告、メーカー企業出身とバックグラウンドが多様で、同じデザイナーでも違うところがあるので面白いですね。仕事上ユーザーという他者の視点で考えることが多いので、異なる観点や意見に対して寛容的でJDDのPrincipleのひとつである「オープンマインドである」を体現しているチームだと感じています。

2020年現在、私の主な業務は、ソリューション事業のOMO案件と社内のCorporate Cultureの活動です。

JDDの事業は大きく分けてふたつあり、ひとつは新しいサービスを立ち上げるプロデュース事業。そしてもう一つは、MUFGと協業するソリューション事業です。

私が担当するソリューション事業は、MUFGと一緒にデジタルを活用したソリューションを開発する案件が多いです。DXやOMO(Online Merges with Offline)などの切り口が多く、三菱UFJ銀行ではインターネットで口座情報を確認や、振り込みなどできますが、まだまだリアルとオンラインは分断されている状況です。顧客だけでなくMUFGの従業員も対象にデータを活用したシームレスな体験の提供に取り組んでいます。

ビジネス側の意図を引き出しつつ、技術的に実現可能なのか、開発するソリューションは利用者にどのような体験を提供して課題を解決するのかといった多角的な視点を大切にしています。そのため、エンジニア、デザイナー、ビジネスのメンバーが協力して、構想を練っています。

一方、Corporate Cultureの活動においては、従業員体験向上のためのプランニングやディレクションを担当しています。

設立当時は10数名から始まったJDDも徐々に拡大をし、社員数は100名弱。異なるバックグラウンドを持つ人がたくさんいて、多様性のある組織へ成長しました。それゆえ、一丸となるために掲げるものが必要なんです。

掲げているミッションやビジョンなどをいかに日々の仕事に反映していくのか、ビジネス、デザイナー、エンジニアと多種多様な社員たちとどうコミュニケーションを取っていくのかが直近の課題ですね。

とくに今はリモートワークが中心なので、他の人が何をやっているのかわからないことも少なくありません。

「経営方針」「信頼関係」「働きやすい環境」の3つの観点を軸に、入社からJDDを離れるまでの期間の体験をデザインしています。具体的には、社内イベントの開催をはじめ、リモートワークへの対応や、社内ツールの改善、直近ではJDDで働く上で必要なスターターキットというものを提供し始めました。このように、全社的な企画にも積極的に取り組んでいます。


デザイナーとして、リーダーとして、大切にする
オープンなつながり

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一般的にはデザイナーというと、装飾やきれいなものをつくるイメージが多いと思います。しかし、本来デザインは”設計”と翻訳するのが正しいとも言われているように、何の課題を解決するのか定義することがデザインで一番大事だと考えています。

私が学生の頃佐藤可士和さんがメディアによく露出するようになり、それ以降メディアで様々なデザイナーを知ることが増えました。そうした方々を知るうちに、デザインとは課題解決のためのプロセスであると学んだんです。

それを踏まえて仕事をする中で、当たり前ですが自分ひとりで解決できることは少ないんだと実感しました。UIを変更するには開発がともないますし、そもそも何を作るかの定義はビジネスと連携が必要です。

体験設計は関わる領域は広いので、自然といろんな人と話をしなければいけません。使っている言葉や定義が異なることも多いので、認識を合わせながらつくっていくコミュニケーションを求められるんです。自身の専門領域に以外にも関心を持ち、理解し、それをデザインに落とし込んでいくことも重要ですが、相手の真意を引き出したり、立場の異なる多様な関係者の中で、共感し納得できるような意思決定プロセスなどコミュニケーションの重要度はますます高まっていくのではないかなと思います。

また、リーダーとして仕事をする上で、自分だけでなくメンバーにも、せっかくJDDに入社したのであれば、自慢できるプロジェクトに携わってもらいたいし、成長につながったと思える経験をしてもらいたいと考えています。そのために、お互いコミュニケーションを取りながら、メンバーがどういうことをしたいのかを把握するようにしています。

チームでは、やりたいことや伸ばしたいスキルに加え苦手なことや好き嫌いも共有し、時には次のキャリアについても話をします。JDDではそういった話題もオープンに話せるので、自然に何をしたいのか、何をすべきかと言うのが明確になってくるので、いいなと思っています。コミュニケーションがオープンで、本当にベンチャーらしさを感じる部分ですね。


自分もチームも会社も、専門を超えて異なる領域へ

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前述した通り、JDDでは、MUFGのリソースにアクセスをしながら、独自の新規事業プロジェクトやMUFGと協業するプロジェクトがあります。協業するプロジェクトではコンサルティングのような入り方をすることがあります。

第三者のコンサル会社の立場ではデータにアクセス出来ないことや、事業会社の内部では組織の理論に縛られて動きにくいこともありますが、JDDはMUFGの戦略的子会社というポジションのため、取れる選択肢が多いんです。この立ち位置は貴重で、かつ絶妙で良いなと思っています。

また昨今、自身の専門とは異なる領域へ越境していく重要性が指摘されています。JDDでは「金融+技術+体験」を掲げているので、まさに実践して経験を積んでいく良い環境だと思っています。

実際、JDDには異なる領域の専門家たちが集まっているので、仕事をする上で毎日刺激的でとても面白いんですよね。

今後、個人としては、M-AIS内のAIや機械学習を専門とするデータサイエンティストと協力して、デザインとデータをかけ合わせた体験などをつくりたいですね。

金融業界で言えば、不正検出や資産形成のサポートなどビジネス観点でコストや工数の削減文脈でAIが活用されることが多い印象があります。AI活用にあたり利用者の観点で周辺の体験も含めて包括したデザインができるプロジェクトを増やしていきたいと考えています。