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オフィスの価値を再定義する Vol.1ー目指す姿を実現するためのオフィスづくり


2021.01.14現在
Japan Digital Design(以下、JDD)は、より柔軟で創造的な働き方とプロジェクト推進の実現に向けてオフィスを増床。なぜこのタイミングでオフィスの在り方を見直したのか。プロジェクトメンバーのExperience Designer五代 真規とツクルバ・田村 潤一郎さんが語ります。


日々過ごすオフィスで、あらためて見えてきた課題

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オフィス増床ついて社内で検討し始めたのは2019年8月のこと。JDDでは日本橋にあるビルの6、8、9階の3フロアをオフィスとして使用してきました。プロジェクトや組織の拡大計画があるなか、ちょうど同じビルの7階に空きが出たことをきっかけに、オフィス増床が具体的な話になってきました。

五代 :「当初は、単純に1フロア分オフィスを広げるだけの話だったんです。ただ、その当時、社内で部門間での連携を必要とするプロジェクトがスタートしたり、社員数も増えたりするなかで、組織としてもいろいろな観点で問題が出てきているタイミングだったんですね。そこで、オフィス全体の課題から見直してみないかということになりました」

五代自身、前職でインテリアや空間などに関わるプロダクトデザインを経験していたことから、オフィス全体を見直すプロジェクトに強い関心を持って自ら参画。利用者の体験を一から考える良い機会になると考え、このプロジェクトの旗振り役に名乗り出ました。

五代: 「今回のオフィスづくりは、オンラインとオフラインの境でそれらを融合させ、新たな体験を生み出すもの。難しいプロジェクトではありますが、その分やりがいも大きいはず。そう思って参加を決めました」

プロジェクトの開始と同時に五代が実施したのは、オフィスを実際に改めて歩くこと。自身の目で現状を捉え、課題を探したいと思っての行動でした。

五代 :「今まで働いてきたオフィスではあるものの、課題を見つけるという目線で歩いてみると意外にも『ここは狭いな』とか『このスペースは活用されていないな』とか感じることがあるんですよね。そういった、目に見えてわかる問題点から洗い出していきました」

ただ、五代は一抹の不安を抱えていました。それは、オフィスの在り方を見直すにあたり、現状の問題点を改善するのみで本当に良いのだろうかというものです。

五代 :「次に実施したのは、経営陣へのヒアリングでした。会社がオフィスを必要としている以上、やはりオフィス空間としての存在意義もミッション・ビジョン・バリューから逆算して定めるべきではないかと考えたんです。ヒアリングの結果、目指すべき組織そしてそれに必要なオフィスの在り方について、より深く理解できるようになりました」


プロジェクトが生まれる「JDDらしい」オフィスの在り方とは

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JDD・Experience Designer五代 真規(左)とツクルバ・田村 潤一郎さん(右)


今回のプロジェクトは外部パートナーの存在なしには語ることができません。五代がヒアリングを進める中で見えてきた課題や改善点などを検討した結果、このプロジェクトは大学の同期で五代の信頼も厚かった株式会社ツクルバの田村さんにご依頼することに。

五代 :「学生時代から田村さんはクリエイティブに対する姿勢がとてもひたむきで、かつJDDの目指す方向性を正しく理解してくれるだろうなという信頼があったんです。話が固まってきたとき、田村さんに真っ先に相談させていただきました」

田村 :「五代さんからお話をいただいたとき、すでに社内での課題をヒアリングやワークショップなどを通して洗い出してくださっていたんですね。その結果を見ると、課題は大きく2つに分かれていました。ひとつは機能的要件。要は部屋が狭いとかデスクが小さいなどの使い勝手の部分。もうひとつがミッションに基づいたオフィスに求める価値としての要件です。こちらはどのような空間をつくるべきかの答えを一緒に考えさせてもらうことになりました」

機能的要件を満足する空間をつくるのではなく、JDDとして目指す組織を実現するオフィスはどうあるべきか?共に模索するプロジェクトが始まりました。

田村: 「JDDさんのあるべき姿を考えたとき、存在意義として掲げている『金融+技術+体験』の融合によって生み出すソリューションが一番の強み。それを空間としてどのように実現するのか、今回上流からご提案させていただきました」

五代 :「田村さんに当時の組織課題を共有したら、彼から『JDDは会社でひとつの塊というよりも、それぞれのプロジェクトの集合体が会社の輪郭になっている』と言ってもらったんです。プロジェクトチームで動くことが多いからこそ、それぞれのプロジェクトチームの様子が染み出すオフィス空間にしたいよねという話になったんです」

田村 :「すでに使用している6、8、9階のフロアと増床する7階フロア、それぞれにどのような役割を持たせるべきかを考えるのが良いなと思い、それをみなさんと整理しました。

結果として、増床した7階は『プロジェクトの推進と共有』をテーマに多様なプロジェクトが共存できる空間とつくることになりました。JDDさんがなぜオフィスを必要としているのかという根底の部分から対話しながらアイデアを固めていきました」


コロナ禍であっても目指す姿は変わらなかった

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オフィスをコンセプトから定義するとなると、最終的なかたちにするまで二転三転するものです。ところが今回の増床プロジェクトにおいては、微修正こそあったものの、初期から検討していたコンセプトからかたちまでの軸がぶれることはありませんでした。それは、JDDが解決すべき課題を明確にできていたことが大きい、と田村さんは振り返ります。

田村 :「オフィスをつくるときにJDDさんのように明確に課題を持っているケースは珍しいんですよね。増床するから席数を増やしたいとか、みんなの社交場がつくりたい、といった機能的要件のご相談に合わせて提案することが多いのが実情です。

ただ、今回の場合は、JDDさんの課題を定義するところから入って提案させていただいたので、大きな仕様変更はなく進められたなと思っています。苦労という苦労はありませんでしたが、お互いに考えていることをきちんと伝え合う必要があったので、その時間は意識的につくるようにしていました」

仕様を固めるにあたっては、取捨選択が一番難しかったと五代は言います。あれもこれもと好きなものを詰め込むのではなく、優先順位を付けながら意思決定をしていきました。

五代 :「オフィスに求めるものや現状の課題を社員と話すなかで、本当にさまざまなアイデアをもらいました。ただ、当然ですがすべてを採用するのは難しかったんです。だからこそ『どう選ぶのか』をしっかりと考えました。具体的には、プロジェクトのゴールをみんなと共有し、取捨選択の基準を伝えました。明確なゴールと判断基準を共有しながらこのプロジェクトの取り組みを伝えられたので、社員の理解も得られたのかなと思ってます」

その他、予算やスペースの兼ね合いで実現が難しかったアイデアもありました。その点は、マネジメントメンバーと対話を繰り返すことで優先順位をつけていきました。

五代 :「本当は小さなカフェを7階のフロアにもつくりたいなと思う気持ちがあったんです。今回、7階フロアの役割「プロジェクトの推進と共有」を全うするためには何が必要なのかに立ち戻って優先順位を判断していきました。バッサリとカットしたアイデアは結構多いですね」

また、今回のプロジェクトで最も危機感を覚えたタイミングは、2020年春に発令されたコロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言によって着工がストップしたことと田村さんは語ります。

田村 :「正直、着工が延期になったときは、計画内容を大幅に変える必要があるかなとは思っていました。おそらくオフィスに求められる用途がガラリと変わってしまうだろうとその時は思いましたので。ところが、その心配は杞憂に終わりました。工期こそ後ろ倒しになったものの、大きな変更なく無事に増床は完了しました。JDDさんはもともと在宅勤務が当たり前に機能していたので、物理的な働き方が大幅に変わっていなかったことが予定通りに進められた大きな理由でした」


「オフィスに行く」という選択肢があることが大切な価値

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こうしてJDDの新フロア7階は2020年8月に無事完成。フロア内には壁一つなく、ワンフロアとして広く活用できる空間でありながら、「STUDIO」「FACTORY」「COLLEGE」と目的・機能に合わせて3エリアに分割し、各エリアで使用できる可動式のデスクやモニターなども配置しました。

田村 :「固定式のデスクではなく、どこにでも動かせるデスクにすることで、コロナ禍においてもソーシャルディスタンスを保ちながら働いたり、ミーティングができる。すでに社員のみなさんも僕たちが想定すらしていなかったオフィスの活用方法を試しながら楽しんでくれていて嬉しいです」

五代 :「今回のプロジェクトを通して、社員も一丸となって完成を待ち望んでくれていたことが何よりありがたかったですね。着工前、オフィスの内装が決まったときにも全社へ共有したんですが、社内のチャットが大盛りあがりで。みんなアイデアもたくさん出してくれましたしね。なかなか出社できないタイミングでも社員の心をひとつにできたすごく大事なイベントだったのかなと思います」

コロナ禍でワークスタイルやオフィスへの出社状況も刻々と変わる日々。オフィスに出社することをスタンダードにするのではなく、オフラインの場を必要に応じて活用してほしい。そのための場としてオフィスを選んでほしいと五代は言います。

五代 :「一時期は全社的にリモートワークが主流になると思っていましたが、withコロナの流れが浸透するにつれて、社員一人ひとりがオンラインとオフラインを上手に使い分けられるようになってもらえたらと思っています。オフラインは偶発的な出会いや発見などがあることがメリットですから、実務的なプロジェクト推進だけでなく、社員同志の交流や気軽なアイデア共有の場としてみんなに活用してもらえるのがこれから楽しみです」

オフィス増床をきっかけにオフィスの在り方を見つめ直し、新しいオフィスをつくり上げる過程で「JDDらしいオフィス」や「オフィスに求められる価値」を議論してきました。JDDのオフィスづくりはまだ始まったばかり。多様な働き方を受容し、様々なプロジェクトが生まれるような「金融のあたりまえをつくる」場であり続けるために、JDDのオフィスは進化し続けます。