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オフィスの価値を再定義する Vol.2ー事業や社員とともに成長するオフィスへ


2020年7月にオフィスを増床したJapan Digital Design(以下、JDD)。リモートワークがあたりまえとなりつつある今、オフィスに求められる価値とは。プロジェクトメンバーのExperience Designer 五代真規、野口智可、ツクルバ・田村 潤一郎さんがその想いを語ります。


金融・技術・体験を融合しソリューションを生み出すオフィスを目指して

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JDD・Experience Designer 五代真規(右)、野口智可(左)


2019年から、半年をかけて行われたJDDのオフィス増床プロジェクト。社内のプロジェクトや組織の拡大計画があるなか、3フロアだったオフィスを4フロアへと増床することになりました。

五代 :「今まではビルの6階、8階、9階を使用していました。ちょうど7階が空くことになったことをきっかけに、オフィスを増床する話が持ち上がり、新しい空間を検討することになったんです。最初は単純に1フロア増やすだけの話でしたが、組織課題にフォーカスしてオフィス全体の使い方から見直すことに。そこで、空間づくりのスペシャリストである、ツクルバの田村さんにお声がけしました」

JDDでは五代がプロジェクトリードとして参画。ビジュアルデザインを野口が担当しました。

野口 :「オフィスデザインは初めての経験。ある意味、詳しくないからこそ自由な発想でプロジェクトに関わらせてもらいました」

オフィスの増床を行うにあたり組織の課題や改善点を社内で議論していたJDD。その結果、増床するフロアは、JDDの強みである「金融」「技術」「体験」を融合して新たなソリューションを生み出すための場所を目指し、「プロジェクトの推進と共有」をテーマに作り上げることになりました。

田村 :「実際のワークスペースのイメージを固めるために、さまざまなコワーキングスペースを訪れてイメージを膨らませましたね。JDDさんのコンセプトに即した空間はどのようなものなのだろうか、と。お互いが作りたい空間イメージを細部まで議論できたので、方向性をかなり一致させた状態でプロジェクトが進められたように感じます」

その一方で、オフィスのグラフィックデザインを担当していた野口は苦労した部分もありました。

野口: 「空間としての完成イメージを掴むまでが大変でした。オフィスにはプロジェクトに合わせて自由にレイアウトできるデスクや、空間ごとに最適化されたライティングなど、こだわりがたくさんあるんですが、そういったものが実際に働いている環境ではどんな印象なるのかを検証するのが難しくて。そこに関しては、五代さんや田村さんと何度もディスカッションして、徐々にグラフィックデザインの構想を固めていきました」


多様なプロジェクトを支える「柔軟な空間とツール」

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JDD Work Tools

7階の新フロアでのこだわりは数え切れないほどあります。その中でも、3名が強いこだわりを持って取り組んだのが、空間レイアウトとプロジェクトで使用されるワークツールでした。

五代: 「まず、空間レイアウトに関しては、プロジェクトを推進するための場所としての役割をきちんと果たすことをまず考えました。快適さだけでなく、自由に使ってもらう場所としての機能も必要で、複合的な要件をまとめるのが難しかったですね。田村さんに提案も含めていろいろとアイデアをいただきました」

田村 :「JDDは部門を横断してプロジェクトチーム単位で働く機会が多いと事前に伺っていたので、レイアウトを固定することで働きにくさが生まれると思ったんです。プロジェクトの規模やフェーズによって、チームメンバーの人数も変動しますからね。

そこでご提案したのが、『ワークツール(JDD Work Tools)』をはじめとした可動式のワークシステムです。デスクの配置、パーテーションなどの間仕切り、ホワイトボードやプロジェクターなどのオフィス設備、これら全てについて既製品を利用するのではなく、JDDオリジナルの設備を一から製作しました。固定的ではなく自由に空間を変えられる仕組みとすることで、プロジェクトの規模やフェーズに柔軟に対応できる働きやすい空間を生み出せるのではないかと考えました」

最終的に、新フロアではプロジェクトのフェーズによって使い分けられる3つの空間、「STUDIO」「FACTORY」「COLLEGE」と、その中で利用できる移動式のワークツールを実現。すでに各社員がプロジェクトに合わせて新しいオフィスを活用しています。

野口 :「デザイン面で意識したのは、クリエィティブコンセプトとして考えているオフィスをひとつの『街』として表現することですかね。6階から9階までがJDDのオフィスとなるので、そのすべてのフロアをまとめて、JDD社員にとっての『街』であってほしいなと。そう考えたときに、JDDのブランディングを考慮しつつ、『STUDIO』『FACTORY』『COLLEGE』の3つの空間をビジュアル的にどうまとめるか悩みましたね。看板、照明、壁材や床材などの細かい点を一つひとつ確認したうえでビジュアルデザインを行っています」


働きやすさだけでなく、「働く人をポジティブにするオフィス」に

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新フロアがオープンして4カ月ほどが経ちました。社員一人ひとりが自由に働く場所を選びつつ、楽しみながらオフィスでの時間を過ごしています。その傍ら、プロジェクトに関わった3名は、オフィスづくりを通してオフィスの持つ重要な役割を改めて感じていると言います。

野口 :「リモートワークが当たり前になっている時代で、当初オフィスの役割は、作業に集中するためとか、ミーティングを行うためとか、機能的な部分を想定していました。ただ、今回オフィスを新たに検討するなかで、気軽に安心して人が集える場所であることがオフィスに求められていて、それはオフィスが人をポジティブにしているんだなと気がついたんです。機能面だけでなく心理面にも配慮した新しいオフィスになったと思ってます」

五代 :「よく『体験設計』なんて言葉を仕事のなかで使いますが、体験は決してスマホやPCなどの画面の中のみに存在するものではなく、身体性を伴うものなのだと改めて実感しました。オフィスで過ごすことによる偶発的な出会い、何気ない気づき、空気感の共有はリモートワークでは得られないですからね。金融ビジネスもハードやソフトを融合した顧客体験をつくることが求められているので、実務でも応用できる部分は多くあったなと感じています」

一方、今までさまざまなオフィスづくりに取り組んできた田村さんは、JDDのオフィスプロジェクトを通して空間の新たな可能性を見出しました。

田村 :「第一に、空間は作るだけで終わりではなく、どう運用していくのかがとても大切です。今後見えてくる課題やフィードバックなどもあるでしょうから、それらをしっかり汲み取っていきたいですね。また、今回空間に合わせてワークツール(JDD Work Tools)を開発できたことがプロジェクトの大きな成果だと思っています。空間に新しい設備や仕組みを組み込むことで初めて生まれる価値があるなと。JDDのみなさんが働く姿を見ていて、空間とツールや仕組みが掛け合わさって新たな価値や関係性をつくっていると実感しています」


オフィスは社員が「行きたい」と思える身近な場所に

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新フロアの7階は、現在複数のプロジェクトで利用されており、プロジェクトや個人の働き方に合った自由な使われ方が社内でも浸透しつつあります。3名は7階だけでは解決できない働き方に関する課題に対しても向き合っていく心構えです。

野口 :「使い方が決められていないことで逆に使いにくく感じることもあるのかなと。まだ7階を利用していない社員もいたりするので、多くの人が気軽に使える仕組みも考えていきたいなと思っています」

五代 :「オフィス全体の構想では、6階と7階が対の関係で役割を持つ場所にしたいんです。7階はプロジェクトを推進するONなコミュニケーションの場なのに対して、6階はちょっとした休憩やランチを取りながらのOFFのコミュニケーションを行える場にしたいなと。7階の利用状況を確認したり社員から意見をもらいながら、次は6階がどんな場であるべきか考えていきたいですね」

田村 :「ツクルバは内装設計の役割で呼んでいただいていますが、内装以外にもデジタルツールの導入、運用の工夫などを織り交ぜながら空間を作りたい。今後も一緒に良い場を生み出せるように取り組んでいきます」

働き方の多様化に伴いオフィスの存在意義が見直されているこの時代。オフィスの理想のあり方に対して、それぞれの思いがあります。

五代: 「オフィスを増床したからといって無理やり出社する必要はないと思っています。結局、オンラインにもオフラインにもそれぞれメリットがありますから。オフラインの良いところを活かすためにオフィスは存在してほしいし、せっかくならこのオフィスはそのメリットを最大限引き出せる場でありたい。人と人が出会い、予期せぬ発見やアイデアが生まれる空間にこのオフィスがなれたら面白いです」

野口 :「JDDのオフィスのクリエイティブコンセプトが『街』なので、気軽に行ける場所としてオフィスがあると良いなと思います。今日は渋谷、今日は下北沢、のような感覚で『今日は家ではなくオフィスに行こう』と感じてもらえるくらいの立ち位置でありたいですね」

田村 :「気軽にオフィスに行ける状態って、つまり、心理的なストレスがないということ。オフィスが日常生活に馴染めるくらい身近な場所になるって、企業への愛着心も湧くので素敵なことだと思うんですよね。だから、これから先もJDDのみなさんと『行きたい』と思えるオフィスを考えていきたいです」

オフィスが社員と社員のつながりや新たなプロジェクトの発生を促す、そして社員の行動や新たなプロジェクトに合わせてオフィスは日々変化していく──。社員と一緒に変化し続けるのがJDDのオフィスなのです。

新たな時代の流れや働く人の多様性を受け入れる「街」のようなオフィスが、これからもJDDのビジネスを、そして社員の成長を支えていきます。