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【物語2】出発までの10日間

整理できない気持ちが頭の中をぐるぐる回って
さすがに昨日の夜は眠れなかった。
出発の日まであと10日。
一気に僕の生活のすべてが強制的に忙しさを増すだろう。

今日から色んな下準備に取り掛かることになる
◆今回の任務の最終目的の把握
◆下の世界の「僕」のパ-ソナル設定作業
◆基礎知識の猛特訓

僕は勉強が嫌いだから、最後の下の世界の基礎知識
を学ぶというカリキュラムが一番憂鬱だ。
こう見えて「順応スキル」のスコアは高いから
行けば何とかなるって思ってるし、
いざとなったら何でも乗り越えれる自信がある。
まぁ適当にカリキュラムの消化をしようと思う。

朝食のテ-ブルはなぜか僕の大好きなホットサンドと
これまた大好きなミルクセ-キ、
そしてキラキラ輝く美味しそうな果物がいっぱい並んでいた。
お父さんもお母さんも少し戸惑い笑顔で僕を見てる。

「おはよう。セス。眠れたかい?」
コ-ヒ-を飲みながらお父さんが声をかけてくれた。
「さすがに色々考えちゃって、ちょっと寝不足だよ」

この平和で幸せな朝食が10回終わった朝、僕は出発する。


「おはよう!おはよう!セス、おはよう!」
弾むような声がウェルカムポ-チに響き渡る。
ミラが僕を迎えに来たのだ。
ミラは同い年の女の子。
僕が今回の指令に戸惑いや不安が少ないのは
ミラもこのミッションメンバーに入っていたからだ。

昨日の午後、学校のセッションル-ムに4名が集められた。
僕とミラ、2学年上のダイとアミ
今回の指令はこの4人のチ-ムミッションだと告げられた。
…ということはこのミッションが「高度&難解」だということだ。

ダイとアミは学校で顔を見たことがあるくらいしか知らない。
ただ僕の世界ではスコアで大体のことが判断できる。
そのスコアの総合判断の結果、この4名の組み合わせが
この任務の遂行に最適だと判断されたから僕らが選ばれたんだ。

僕とミラは出発準備カリキュラムに向かった。
今日から学校も通常授業ではなくなる。

学校の東側一角に緑豊かな木々に囲まれたエリアがあり、
その突き当りに指令を受けた者だけが入ることができる校舎が立っている。
今日から出発までここで特別授業&特訓が行われるのだ。


僕がこの校舎に通うのはこれで2度目だけど
この校舎に通えると思うだけで僕のテンションがグワッと上がる。
初指令の前回は、簡単にクリアできるミッションだったから
僕ひとりの単独任務だった。
その準備期間にもこの校舎に通った。
僕はこの校舎、この空間がとても好きだった。
いっそ365日こっちの校舎に通いたいと思うくらい。
色々なことが新鮮で刺激的で僕の興味をそそった。

またあそこに通えるんだぁ~
不安もあるけど、ワクワクする~~♪
                             (続く)

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