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【レポート】キリシマ祝祭管弦楽団

今年8月、キリシマ祝祭管弦楽団が11年ぶりに東京にやってきます!
1992年から32年間霧島国際音楽祭を見届けてきたジェスク音楽文化振興会のスタッフが、2023年公演のリハーサルの様子を交えながらキリシマ祝祭管弦楽団の魅力をお届けします。


 「教える側と教わる側が影響し合って成⻑する」「技術的、⼈間的に⾃⽴した⾳楽家を養成する」ことを理念に掲げ、1980年以来44回に亘り開催されてきた霧島国際音楽祭。音楽祭の目玉企画の一つであるマスタークラスには厳しい審査を通過したハイレベルな受講生たちが世界中から集まり、中には講師として再び音楽祭に招かれる卒業生もいます。

 もう一つの目玉企画が、このキリシマ祝祭管弦楽団です。キリシマ祝祭管弦楽団は、マスタークラスの卒業生を含む、国内外で活躍する世界的なプレイヤーが多数参加するその年限りのフェスティヴァル・オーケストラです。
第45回霧島国際音楽祭 キリシマ祝祭管弦楽団メンバー一覧はこちら

フェスティヴァル・オーケストラといえば、異なる音楽的背景を持つ奏者が集まって結成されるもの。各々が普段過ごしている環境の違いが相乗効果を生むこともあれば、スリリングな場面があることも想像されることでしょう。しかし、キリシマ祝祭管弦楽団の特別さは、参加する音楽家たちの多くが霧島音楽祭にルーツを持っているというところにあるのです。

 霧島音楽祭の東京公演は過去に1999年、2013年と2回開催されており、今回は11年ぶり3回目となります。この特別なフェスティヴァル・オーケストラも、鹿児島以外で聴ける機会は滅多にありません。2013年の東京公演では、直前に開催された鹿児島公演が反響を呼び、東京公演も大変な盛り上がりとなりました。

 2024年の東京公演は、指揮には昨年に引き続きデイヴィッド・レイランド、ソリストには霧島国際音楽祭マスタークラスの卒業生であるピアニスト・谷昂登を迎え、ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死、リスト:ピアノ協奏曲第1番、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》(1967年版)を披露します。

 前回2023年、霧島国際音楽祭メイン会場であるみやまコンセールで行われた最初のリハーサルは、出だしから圧倒的な音圧を聴かせてくれました。日本を代表するオーケストラの首席奏者たちやかつて受講生として霧島で学んでいた一流の音楽家たちが一堂に会し、その集中力から生まれる息をのむような静寂の後に放たれた《音圧》は、リハーサル初日にもかかわらずすでに一丸となって私たちに迫ってきます。

 舞台上の奏者たちは顔ぶれの豪華さもさることながら、どの席を見渡しても自信に満ち情熱が迸っていました。

「霧島」という地の持つ求心力からくる、輝く美しい音の塊。異なる音楽的背景を持つ奏者たちが、所属団体の枠を超えて発揮する緻密なアンサンブル力。個性が掛け合わされて増幅する音のうねりと響き。自由でありながらお互いを尊重し、時には一体となってハーモニーを奏でる、合奏の喜びに満ちたまさに《スーパー・オーケストラ》です。

 世界中で活躍する音楽家達が日常を飛び出してかつての学び舎《霧島》に集い、芋焼酎、豚しゃぶ、さつま揚げといった霧島の名物で英気を養いながら語り合う夏の風物詩。
 そして今年は、この《スーパー・オーケストラ》を東京でも聴くことができます!
 11年ぶりの東京公演、8月6日(火)はぜひサントリーホールへ足をお運びください。

第45回霧島国際音楽祭 キリシマ祝祭管弦楽団 東京特別公演
音楽監督 堤 剛
日時:2024年8月6日(火) 19:00
会場:サントリーホール
出演:デイヴィッド・レイランド(指揮)、谷昂登(ピアノ)、キリシマ祝祭管弦楽団

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