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那須まちづくり広場の絶品ケーキ。「くるみの森」のパティシエは、園児のお母さん。

田舎の食の喜び

「那須暮らしをはじめた」というと、不便、不自由を想像する人がおられる。

たしかに、見渡す限りの牧草地。牛の数が人間より多い? 車より獣に注意……という場所はあります。

コンビニまでは歩けば明日の朝になりそうなくらい遠い。街場からの帰り、車中から「ここが最後のコンビニだからね」とセブンをちょっと心細くみつめる。那須は田舎町です。都内からやってくると、それは確か。

でも、本当に必要なものはちゃんとある。都会の視点で見れば不便で不自由だけに見える土地でも、とてつもない魅力があるにちがいない。那須にきて「辺鄙」「なんにもないところ」と聞くと、私の知らない美味や、風景があるにちがいないと思うようになりました。

那須は田舎といっても観光地であり、別荘地も控えています。野菜や乳製品といった自然の恵みを想像しますが、パンや洋菓子のレベルが高いようです。いずれも、街場でいうところの隠れ家的なお店が多いのですが、その美味しさを都心で求めたら、私はたどり着けないなあと思います。

材料のすべてが調和されたケーキ

那須に来て、いろいろな美味に出会いお福分けにもありつけている幸せ。今回ご紹介する「くるみの森」のケーキは那須ならでは、というより那須を出て全国区になって不思議ではない美味しさ、と私は思うのです。

「甘さ控えめ」というのがケーキを評するときに聞かれる言葉ですが、このケーキたちは「甘さ」を控えているというより材料のすべての調和が絶妙。甘党でなくとも引きずり込まれてしまう。

この味を創造しているのは、6歳の愛息のおられる児玉早美さん。那須まちづくり広場の撮影で、この児玉さんのケーキに出会いました。

しかし、私はどちらかというと、ケーキは遠慮したいほう。パフェといった類も三口で気持ちも胃もいっぱいで、これまでちょっと無理をしていただいてきました。ですから、食レポはとてもできません。が、この児玉さんのケーキは一度に3つくらい食べたくなります、とだけお伝えしておきます。

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かわいい子どもに、働く背中を見せる児玉さん

そんな児玉さんのケーキですから、昨年クリスマスは予約がいっぱい。

そこで、まだまだ児玉ママから離れたくないご子息と、普段から家事や育児も担うおつれあい、ご両親までが、那須まちづくり広場の簡易宿泊所「あさひのお宿」に泊まりこみ。児玉さんは寝ずの勢いでケーキを作っていました。

児玉さんのお菓子工房は、広場に隣接する赤い屋根の一室。ここで一人クリスマスケーキを作られていた児玉さんの後姿を思わず写メしました。

ご自身の仕事に切磋琢磨する児玉さんの背中は、きっとご子息の記憶にも残るでしょう。親は子どもの背中を見守り、子どももまた親の背中を見て暮らす。母子はそうありたいと、児玉さんの働く姿を見て思いました。

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そして、クリスマスの大働きを終えて、広場のカフェで親子ランチの児玉さんとご子息。二人ともまだまだ♥️♥️で、私も遠い昔の子どもたちを思い出しちょっと胸に迫ります。

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2021年3月の下野新聞に、児玉さんの記事が掲載されていて、お母さんたちの雇用についても言及されています。そうか、そういう魂がこもったケーキだったのかと、美味しさのヒミツがひとつ解けました。自分のことだけを追求しても美味の創造はできない。常に他者を意識することで、味も深まるのだ。なるほど。             

下野新聞(くるみの森)トリミング

児玉さんのケーキは、宅配することはできないので残念です。ぜひ、那須まちづくり広場に試食にいらしてみてください。P松田




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