日本ではなく世界に発信せよ〜寛斎のメッセージ〜

山本寛斎さんの訃報

 デザイナーというよりその枠に収まらない活動で知られた山本寛斎さんが昨日亡くなりました。テレビは過去VTRを流して彼の業績を回顧。70年代から50年以上もデザイナーの第一線で活躍してきた寛斎さん。VTRをみて気づいたことが3つありました。まず❶声がでかい。そして❷常に前向き発言。これは彼が自分自身をデザインするなかでそのように作り上げてきたのでしょうか。彼の型破りなファッションを際立たせるには必要だったと思います。

日本ではなく世界に発信せよ

 そのVTRの中で私が特に「これは」と思ったのが学校の廊下で中学生とおぼしき生徒たちに彼が語りかけていたことです。「❸日本に向けて発信するんじゃない、世界に向けて発信するんだよ。俺はいつもそう思って行動している」これって今の日本、特に若い世代に大事なメッセージだと思うんです。

内向き思考の日本

 30年間GDPがそのままの日本。世界有数の少子高齢化。 経済的、人口的な沈滞がもたらしたもの。外形的なものだけではなく、日本人の内面にも深い影響を与えていると思うんです。それは「内向き思考」。海外で勝負しようとしない、ワールドワイドで発想し思考しない。そういうメンタルが社会を覆っていると思うんです。数字上では日本人の海外留学生の数は増えています。2013年には首相官邸が発表した「日本再興戦略-JAPAN IS BACK-」において、「2020年までに留学生を倍増する」として、大学等においては6万人から12万人に留学生を増やす成果目標が掲げられました。結果2017年には6万6000人の日本人が海外留学しています。そして海外からの観光客が大多数日本にやって来ています(今年はコロナ禍で違いますが)。数字上ではグローバル化が進んでいます。しかし実感としてはどうでしょうか。「やってる感」だけがひとり歩きしているような気がします。何かが決定的にたりないと思いませんか。

常に世界に発信する

 寛斎さんが登場したときその衣裳のデザインは型破りでインパクトが強く、一方でジャパネスクでした。寺院の石段をモデル達に降りさせるショーといった演出も衣裳を際立たせ、あのDavidBOYもステージ衣装に用いるほどでした。常に世界を意識していたからこそ、寛斎さんのコンセプトとイマジネーションがこうしたデザインと伝え方になったのでしょうね。私は今こそ寛斎さんの手法とメッセージを再評価すべきと思ってます。しかしそれは寛斎風のデザインをトレースすることは違います。寛斎さんのデザインが受け入れられた時代と今の時代は違います。今の時代だからこその世界発信。それがわかるひとが寛斎さんのメッセージを受け継ぎ、スピリットの後継者となるでしょう

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