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”ワンパターン”でいこう!

「おまえワンパターンなんだよ!」「新しさがない、金太郎飴だな」。いつも同じことを言ってる人、書いてる人、形にする人。こういう人達に向けて揶揄もしくはネガティブに言うときにつかう言い方です。実はこう書いている私は言われたことがありませんでした。しかし今この”ワンパターン”か私には限りなく耀いて見えます。なぜでしょうか。それは一貫しているから。パターンを深掘りできるから。個性にみえるからです。

これまで”表現の世界”で生きてきたと勝手に思っている私にとって「ワンパターン」は”陥ってはいけない穴ぼこであり、常に何か新しさを加えないと不安で仕方がありませんでした。ワンパターンは「クリエーターの墓場」だと思っていたのです。

そんな私の目を開かせてくれたのは「志村けんさんの死」でした。Youtubeに志村けんさんのコントの動画が数多くアップされ、私はなつかしくその大方を見ました。

私はそれまで志村けんさんの良きファンではありませんでした。志村さんは所詮”荒井注の代役”であり、中学生以下のガキの歓心を買って人気を手にしたタレントであり、その芸はやや下品なワンパターンと見下していたのです。「八時だよ全員集合!」から「俺たちひょうきん族」にチャンネルを替えたのもその理由からです。

しかし今「髭ダンス」「バカ殿」「東村山音頭」などを見返してみるとワンパターンと自分が思っていた芸にも毎回工夫があることに気がつきました。観客と呼応していたり、相手役とのアドリブをうまく生かしていたり。自分が若かった頃に見下していた志村さんの芸の奥の深さと彼の芸への追求する力を感じたのです。

志村さんがある芸人に残した言葉に「自分の好きなことを繰り返しやっている」というものがあります。「あー、そうだったのか」と今私は思います。

「一貫している」「深掘りしてる」「個性」。多くの”中トロクリエーター”に欠けているものが実はワンパターンにすべてふくまれている。そんな風に思えるのです。

独創はワンパターンから生まれる。今この言葉を思い、大切にしています。




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