見出し画像

鉄火場日記~ver2.0~

はじめに

 こちらは自分の麻雀戦術本「フリー麻雀で食う超実戦打法」に収録されているコラムです。今回は無料記事となっています。

 ちなみに似たようなコラムがnoteのアップされてますので、こちらもよろしくお願いします。

「鉄火場日記ver1.0」https://note.mu/jangorok/n/n522aefc7d221?magazine_key=m602d280f7a2a

「名古屋フリー旅打ち日記」https://note.mu/jangorok/n/n0cda04153d63?magazine_key=m602d280f7a2a

「鉄火場日記ver~1.5~」https://note.mu/jangorok/n/n0d00ddec37ee?magazine_key=m602d280f7a2a

「鉄火場日記~ver1.8~&フリー旅打ち日記~大阪編~」https://note.mu/jangorok/n/nbd536c988e28?magazine_key=m602d280f7a2a

「雀ゴロ旅打ち日記~広島編~」

https://note.mu/jangorok/n/n7169ecb4c26d?magazine_key=m602d280f7a2a

 では本編スタートです!


~2014年10月某日~


 この日は夕方からの麻雀の誘いがあった。場所は面子の都合でいつもとは違う中野の雀荘。この日は一言でいうと不調。


 スタートからしばらくアガリはおろか、テンパイも無い。ただただ座っているだけの展開が続いている。ツモられた分だけ点数が減り、終わってみれば3着かラス。

 麻雀をやっていると必ずこういった地蔵の日が来る。こういった日は、ただ耐えるしかない。


 6回戦目、ここまでトップは無い。東3局、点数は平たい局面の2着目、親番で左の手が入った(※6巡目、2本場)

画像2

 ※ドラ五萬 ツモ⑤筒

 ドラにくっつけばシンプルな形だったが、⑤筒をツモってのテンパイだった。

 選択肢としてはドラの五萬単騎のダマ満に構えつつ、字牌単騎や索子のノベタンなど一通確定の形になったら曲げるか、あるいは筒子の高め一通の3面張で曲げるか。どちらも選択としてはアリ。

 
 自分は筒子の3面張で曲げた。もし安めのリーチ平和で終わったとしても2900は5900(一本場1500)なら十分な加点だ。現状2着で、大きな加点がどうしても必要な局面でも無い。これがこの局面ではベストの選択だと思った。


 結果は⑦筒をツモって裏無しの1300は2300オール。加点としては十分。

 しかし、リーチをかけた3巡後、自分の河には赤五萬が並んでいた。

 自分の選択に後悔は無い。自分の中でベストだと思いこのリーチを打った時点で、自分は為すべきことを終えている。その後の結果は関係ない。

 ただ、


(今日は噛み合わないのかな)


 そんな思いはあった。


 その局はなんとか2着。しかし、そのあとは3着が続き、ジリ貧に戻る。
そして、9回戦目のオーラス。自分は3着目だが、満貫をアガればトップ。
2着目の親からリーチがかかっている局面で手牌はこうなった(※8巡目)。

画像3

 ※ドラ八萬 ツモ三萬

 絶好のツモ三萬でテンパイ。打牌選択で少し考えた。一萬も七萬も無筋。七萬を切れば3面張だが、リーチに対して、両面の他にカンチャン・ペンチャンに刺さる危険がある。


 一萬を切れば両面にしかならない。リーチにはカンチャン・ペンチャンは無いがシャボ、単騎受けも考えられる。


(寒いのは一萬を切って、萬子の下の待ちに刺さるケースや、三萬でのアガリ逃し。それを考えれば素直に3面張に受けるべきだ。)


 なんとなく嫌な予感はする。しかし、その不安を振り払って、七萬を切って曲げた。


 親「ロン」

 ドラ表のカン七萬に刺さり、さらに裏が3枚乗りラスに転落。


 (駄目だったか……)

 
 先ほどと同じく、後悔は無かった。同じ局面が来たとしても、必ず同じ選択をする。自分は100回麻雀をしたら、51回以上うまくいく結果が出る打ち方を心がけている。

 ただ、今回はうまくいかない方を引いてしまっただけ。ただ、それだけのこと。

 そしてただ、それだけのことでこの日は50万以上の負けを喫した。

 この日は完敗だったが、メンツとは帰り道に笑顔で話す。負けたときは空元気でも明るく振る舞う。それがこういった場で打つ最低限の礼儀だ。
メンツと別れ、1人になったときふと思う。


(今日の負けで今までの勝ち分がまた大きく減った。結果を積み重ねては崩されて、また積み重ねては崩される。これからもずっとその繰り返しなんだろうな。いつになったら終わることやら)


 そんなことを考えながら、帰り道を歩く。これから先、何度も今日と同じ苦しみを味わうかと思うと、その辛さに気が重くなる。ただ、それでも、


 (これが自分が選んだ道だ。後悔なんて無い)


 そう心の中で呟き、帰り道を1人歩いた。

いただいたサポートは記事を充実させるのに使っていきます!