見出し画像

ソムリエ・ワインエキスパート試験【#7 ワイン概論①】ワインとは

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

>>  ワインチャンのワインラジオ トップはこちら
>>【#7】ワイン概論①【ワインとは】 はこちら

はじめに

こんにちは。ワインエキスパートのワインチャンです。

本日から試験内容についてお話していきます。まずはじめに、ワイン概論、そもそもワインとは何なのか、というテーマからお話しします。混同しがちなのが「ワインの話」と「ブドウの話」です。もちろんワイン造りにはブドウが必要ですし完全に分けて考えることはできませんが、一番初めなので、「お酒としてのワインの話」と「果物としてのブドウの話」というように、視点を切り分けて、考えてみましょう。今回はお酒としてのワイン、ワインとは何なのか、ワイン造りの歴史にも焦点を当ててお話していきます。

今回から試験内容のため、国や土地や原産地の名前も出てきます。読み方は基本的にソムリエ教本に準拠した、ルビがふられているような読み方で進めます。フランス語やイタリア語といった各国の発音はわかりかねますので、アルファベット表記のものは英語発音で進めさせていただきます。

はじめから話の内容をすべて覚える必要はありません、なんとなく頭の片隅に残すことができれば大成功です。それでは始めていきましょう。

お酒とは

 そもそも「お酒」「アルコール分(アルコール度数)」とは何でしょうか。

酒類とはアルコール分1度以上の飲料をいう(薄めてアルコール分1度以上の飲料とできるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とできる粉末状のものも含む)

酒税法第2条

アルコール分とは、温度15度のときにおいて原容量100分中に含有するエチルアルコール(エタノール)の容量をいう

酒税法第3条

粉末状のものもお酒なんですね。エタノール C2H5OH も高校化学以来です。

また同酒税法では、お酒の種類を4つに大別しています。これから勉強する「様々なワイン」は「醸造酒類の果実酒」と「混成酒類の甘味果実酒」とに分類されていきます。

◆発泡性酒類:ビール、発泡酒
醸造酒類
  ◇果実原料:果実酒ワイン、スパークリングワイン、シードル)
  ◇穀物原料:清酒(日本酒)
◆蒸留酒類
  ◇果実原料:ブランデー
  ◇穀物原料:ウイスキー、スピリッツ(ジン、ウォッカ)、焼酎
混成酒類:合成清酒、みりん、粉末酒、雑酒、リキュール、
  甘味果実酒(酒精強化ワイン、フレーヴァードワイン)  

酒税法

スパークリングワインは発泡性酒類ではないんですね~。ビールの裏ラベルには「発泡性酒類」と書いてありますがスパークリングワインの裏ラベルを見てみると「果実酒」と書いてあります。機会があったら見てみてください!みりんもなぜか酒類だという意外性があるので頻出です。

ワインとは

一般的に「ワイン」といったら「ブドウ果実を原料とした醸造酒」のことです。酒税法の分類(上の図)では「醸造酒類の果実酒」にあたります。

醸造酒:原料の糖分を酵母という微生物の働きによってアルコール発酵し、アルコールと炭酸ガスに分解させてつくられたお酒のこと

   C6H12O6   →     2C2H5OH + 2CO2
   ブドウ糖 (酵母) エタノール   二酸化炭素

化学式:Joseph Louis Gay-Lussac(ジョセフ・ルイ・ゲイリュサック)
酵母の働き:Louis Pasteur(ルイ・パストゥール)

さらに、醸造酒のなかでも、醸造方法の違いによって4つに分類されます。ひとつずつ説明していきます。

1.スティルワイン
2.スパークリングワイン
3.酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)
4.フレーヴァードワイン

1.スティルワイン

まずスティルワインとは、普通のワインです。ワインといったときに一般的に想像するワイン、「醸造酒類の果実酒(酒税法)」です。発泡性のない赤、白、ロゼワイン、また近年ではオレンジワインというカテゴリーも注目されつつあります。味わいは辛口から甘口まで、アルコール度数も9~15%程度と多様です。よく目にするのは12~13%程度ですかね。つまりワインには水分が85%程度、アルコール類が15%弱、プラス、様々な香りや味わいの成分が含まれているということです。

2.スパークリングワイン

スパークリングワインとは、炭酸ガス(二酸化炭素)による発泡性のあるワイン、「醸造酒類の果実酒(酒税法)」のことです。スパークリングワインとは一般的に3気圧以上のガス圧を持ったものとされており、代表的な物にフランスのシャンパーニュ、クレマン、ヴァンムスー、イタリアのスプマンテ、ドイツのゼクト、スペインのカヴァなどがあります。3気圧以下のガス圧のものは微発泡性ワインとよばれており、フランスのペティヤン、イタリアのフリザンテ、ドイツのパールヴァインなどがあります。

3.酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)

酒精強化ワインとは、ワインの醸造工程中に40度以上ときには80度もあるようなブランデーやアルコールを添加したワインのことで、「混成酒類の甘味果実酒(酒税法)」です。フォーティファイドワインとも呼ばれ、スティルワインやスパークリングワインよりもアルコール度数が高く、15%~22%程度のモノが一般的です。アルコールを添加する理由の一つは、ワイン自体の保存性を高めるため。昔の船での長期輸送に耐えられるような作りをされたといわれています。代表的な物にはスペインのシェリー、ポルトガルのポートワインやマデイラ、イタリアのマルサラなどがあります。

4.フレーヴァードワイン

最後にフレーヴァードワイン、ワインに薬草や果実、甘味料、エッセンスなどを加えて独特な風味をもつように仕上げたワインのことです。こちらも「混成酒類の甘味果実酒(酒税法)」。フランスのヴェルモットやリレ、ギリシャのレッツィーナ、スペインのサングリアなどがあります。

ワインの成分

1.スティルワイン で、ワインの成分は水分やアルコール分、香気成分や味わいの成分とお話ししましたが、その豊富な水分にミネラル分(主にカリウムやカルシウム)が多く含まれています。また、酸の含有量が多いです。酒石酸やリンゴ酸、クエン酸といったブドウ由来の酸から、コハク酸、乳酸、酢酸など発酵によって生じる酸もあります。また、貴腐ワインにはグルコン酸やガラクチュロン酸という有機酸も含まれており、味わいにおいても酸味が重要な要素であることが分かります。また先ほどのミネラル分とこの有機酸が結合・反応することで白色結晶が析出されます。酒石酸からできる酒石やガラクチュロン酸からできる粘液酸カルシウム塩というもので、たまにボトルの瓶底にたまっているのを見ることができます。体には無害です。

世界のワイン

あと少しです!

それではそのワイン、どのくらい造られて、どのくらい消費されているのでしょうか。最後に考えて終わりにしたいと思います。

◆世界のワイン生産量:2.92億hL
1.イタリア
2.フランス
3.スペイン
4.アメリカ
5.アルゼンチン
6.チリ / オーストラリア
8.ドイツ
9.南アフリカ
10.中国

◆世界のワイン消費量:2.46億hL
1.アメリカ
2.フランス
3.イタリア
4.ドイツ
5.中国
6.英国
7.ロシア
8.スペイン
9.アルゼンチン
10.オーストラリア

2021年度版 ソムリエ教本

生産量トップ3は何といっても、イタリア、フランス、スペインです。これはブドウの栽培面積やブドウ生産量ではなくワイン生産量です。混同しないよう気を付けてください。ちなみにブドウの栽培面積世界一位はスペインです。いまは大体の値や国のラインナップを頭の片隅に入れる程度でOKです。

おわりに

以上、今回は、ワインとは何か、お酒やワインの定義から、ワインの分類、含有する成分などお話ししてきました。次回は、ワインの歴史についてお話しします。ワインがいつから作り始められて、どのように世界に広がっていったのか、一緒に勉強していきましょう。

ワインの歴史は「ワイン概論」の内容ではありませんが、試験範囲からの抜粋です。ワインについて学んだ今、ワインの歴史について流れを知っておくことはとても効果的です!今後の国ごとの単元においても活きてくる内容になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

それではこれからも、こつこつ一緒に頑張っていきましょう。
おつかれさまでした!

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

>>  ワインチャンのワインラジオ トップはこちら
>>【#7】ワイン概論①【ワインとは】 はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?