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『Commandments』(1997)感想と考察

 こんにちは。noteに映画の投稿をするのが初めてのJaneです☺️♫

 今回ご紹介するのは、日本未公開映画『Commandments』✨Commandmentsとは、モーゼの十戒のこと。
 でも、本作は十戒の啓蒙ではありません❗️人生に絶望した男が神に怒り、「十戒を破ってやる」と突っ走るストーリー。

 エイダン・クインの主演映画を探している時に見つけました。私は勝手に『十戒を破れ!/セスの復活』と、邦題をつけています😸
 通称は『十戒を破れ!』でOK♫

あらすじ

 妊娠中の妻をビーチで亡くし、ハリケーンで家が壊れ、仕事もクビになったセス(エイダン・クイン)は絶望のあまりアパートの屋上から飛び降りようとして雷に打たれます。

 命は助かりましたが、彼の飼い犬は足が1本麻痺してダメになりました。神への怒りが沸点に達したセスは「何か答えが得られるまで十戒を1つずつ破ってやる!」と宣言。

 亡くなった妻の姉レイチェル(コートニー・コックス)がセスを可哀想に思って、嫌がる夫ハリー(アンソニー・ラパーリア)を説き伏せて自分たちの家に住まわせます。

 セスはさっそく十戒破りを実行していきます。しかし、その過程でハリーとレイチェルの関係に走るヒビを見つけ、レイチェルに同情するうちに彼女と惹かれあってしまい…

エイダン・クインがとても良い

セスは共感を呼ぶ素敵なキャラクター

 もともとエイダン・クインの主演映画を観たくて探し出した本作。とてもセスに似合っていて、素敵でした❗️✨

 セスの多種多様な表情や気分の移り変わりを、微妙なニュアンスでよく演じてると思います💖

 図書館のシーンや警察での証言シーンで大笑いさせたと思ったら、不気味で計画的な自殺のシーンで身震いさせる。
 声音の使い分けもできるし、びっくりするほど天才的な俳優さんだと感じました💜

ハリーが最低レベルのゲス野郎

新聞記者のハリーは誰のことも大事にしない


 ハリーは本作のナレーションもしていますが、【映画のムカつく野郎No.1】を獲得できそうなほどのクズ男でした❗️

 浮気してるからとか、そんな理由じゃありません。
 セスの十戒破りを新聞のネタにしようとしたり、セス自身に向かって「おまえの女房はおまえのセックスが物足りなくて、俺とヤったんだぜ」と自慢したり、人間性を疑うレベルです💢

 浮気がバレても、「俺は帰る家は欲しいんだ。別れないでくれ」とか言い出す虫のよさ🙄

 サイテーのクズ野郎です‼️

 アンソニー・ラパーリア、初めて見る俳優さんでしたが、イヤな野郎をしっかり演じてました👏

セスとレイチェルは十戒破りを共有する仲

夫から粗末に扱われるレイチェルはセスと恋に落ちて…

 レイチェルは夫ハリーから粗末に扱われて不満が爆発し、いつの間にかセスの十戒破りの協力者になっています😸

 彼女とセスのロマンスは、そのまま「汝 姦通するなかれ」を破ることになるのが皮肉
 ベッドインの前、2人は互いの意思をしっかり確認してますから、「騙された」とか「利用された」というゴタゴタが起きないのも面白いところ♫
 普通の映画なら、高確率でケンカ起きそうですが…😂ケンカするのは別件なんですよね。

 ただ…レイチェルを演じたコートニー・コックスはかなりドラマ性に欠ける気がしました💦
 ホームドラマ風の場面では悪くないのですが、深刻な場面を演じきれないので、もどかしくなります。
 何より困るのは、脚本にあるレイチェルの温かみと優しさをまるで表現できてないこと🥺

 コートニー・コックスは、ドラマ『フレンズ』で評判をとった女優さんらしいので、日常的なストーリーのほうが真価を発揮できる方なのかもしれません。

〜ここから先は物語の核心に触れます。未鑑賞の方はお気をつけください〜

セスの妻はなぜ死んだ?

カレンとセス

 回想シーンにチラッと出てくるだけのセスの妻カレン(ジョアンナ・ゴーイング)。いかにも蓮っ葉な女ですが、彼女はなぜ死んだんでしょう❓

 私は事故死とは思いません。泳ぎは達者そうでしたし、溺れたとは考えにくいです🏖️
 眠っていたセスが濡れてもないのですから、嵐が来た可能性もゼロ。風もたいしたことありません。

 そもそも、セスはなぜあのタイミングで眠り込んでしまったのでしょう❓ 自然に眠くなったのか、何者かによる人為的な眠りだったか、観客には分かりません。

 カレンはハリーと浮気していました。彼女が身籠っていた子供はおそらくハリーの子だろう、と私は思います。

 もし彼女が上手くセスを捨てて、ハリーと駆け落ちしようとしていたら❓ 夫を眠らせて、ハリーと合流しようとするでしょう。

 ところで、ハリーはカレンが身籠ったら困ったと思います。映画の描写を見ても分かるように、ハリーは浮気はしても離婚する気はないタイプだし、カレンが邪魔になったかもしれません。

 セスが眠っているのは、ハリーにとっても幸いで…あとは想像にお任せします😨

ハリーのギターを盗んだのは誰?

妻よりギターを大事にするハリーの悲劇

 ハリーが逮捕され、人生が暗転するキッカケがギター盗難事件🎸しかし、あのギターを盗んだのは誰でしょうか❓

 単純に考えれば、セスが十戒破りの一環としてギターを盗んで偽証したと考えられます。

 しかし、これでは辻褄が合わないのも事実🧐

 最大の謎が、「セスはギターをどうやって持ち出したのか」

 セスは車を持っていません。移動の時は徒歩か公共機関を利用しています🚌これはセス犯人説に疑問を投げる大きな要因。

 ギターはいくつもありましたから、運び出すには相当かさばるはず。彼はどうやって移動し、どうやってハリーの愛人の家に忍び込み、地下室にギターを置くことができたのでしょう❓

ハリーの愛人の家を窺うセス

 もう1つの反証が、ハリーの愛人の家の前にいるセスのシーンです。彼は犬の散歩をしながらハリーと愛人が仲睦まじくしているのを目撃しますが、この時ギターのコレクションを持っている様子はありません

 さらに犬を連れていることも、この時にギターを持っていない証明になりそうな気がします🐕
 スパーキー(犬の名前)はよく吠えるし、そうでなくても家宅侵入する時に犬を連れてくる人はいないでしょう。

 そもそも、セスはハリーの愛人について事前情報を持っていたはずもなく、鍵を開けられるはずもありません🏠

 考え合わせると、「セスがギターを運んだ可能性は低い」となります。

 では、もし嘘をついているのがハリーの方なら❓ 実はこのほうが自然なんですよね。

 ハリーは車で移動しますから、ギターを持って行くのは簡単。愛人の家には自由に出入りしているのですから、地下室に置くのも面倒はありません。
 愛人の家で異常にナーバスになっているのも、変と言えば変。

 もしかすると、ハリーはセスに罪を着せるつもりで保険金詐欺を実行しようとしたのかもしれません💰

 セスはハリーの目論見を逆手にとって、自分とレイチェルのために復讐したとも考えられるわけです(様子から見て、セスは妻とハリーの不倫に気づいていたと思うので😑)。

 セスは、ハリーが殴りかかってくるのを予想して、ハリーご自慢のジャケットを着て待ってるようなタイプ🧥
 こんなに頭のいい男ですから、ハリーの悪巧みを利用しないほうが不思議です。

 ちなみに、ハリーのパソコンに8(=十戒の8項め「汝、盗むなかれ」を指す)を連打したのはセスだと思います💻

レイチェルがセスに怒るシーンが不満

思い込みの激しいセスと観の鈍いレイチェルのすれ違い

 この映画、全体としてとても面白く、とても気に入っていますが、唯一レイチェルがセスの気持ちも分からずに騒ぐシーンだけはいただけません❗️

 セスのセリフは、オペラ《ヴァルキューレ》のジークムントを思い出すようなロマンと哀しさが漂うのですが、対するレイチェルはヒステリックで現実どっぷりの雰囲気🙄

「もう二度と会えない」
(行き先は)モントーク」
「僕が愛するものを神は全て取り上げる」
「僕は不幸を呼ぶ。きみには不幸になってほしくない」←
これがオペラにそっくり

 これだけの言葉+様子を見ていたら、セスが明らかに追い詰められているのが分かるはず。しかも、モントークはいちばんハリケーン🌀が荒れ狂うと新聞やテレビでも報道されていた地域。
ここで自殺を疑わないレイチェルは鈍すぎると感じました

 最後の浜辺での再会シーンも素敵だし、このシーンまでの経緯もいいので、レイチェルのこの態度は残念です。

あえて言葉を使わない再会シーンは素敵❗️

ラストの再会シーン

 2度目に自殺を図ったセスがクジラの腹の中から生還し、降り注ぐ太陽を嬉しそうに見つめているところにレイチェルが駆けつけるラストは素敵です💓(C.コックスさんの演技にはやはり不満がありますが、ここでは何も言いません)。

 私が高く評価しているのは、2人がまったく言葉を交わさないこと✨セスが彼女の姿に驚き、次に満面の笑顔になって抱き合うだけ。

 映画で初めて太陽☀️がさんさんと輝く中、恋人たちが喜び合うのは、ロマンティックで非常に良いと思いました🩷

やっぱり作品の魅力はエイダン・クイン!

 全体として、低予算映画としては非常に良い作りだと思います。何と言っても主役を演じるエイダン・クインがとても素晴らしい💞✨

 気の利いたセリフもたくさん散りばめられているし、ドラマ性とコメディ性を融合したストーリーも面白いです♫

 なぜ日本で未公開なのか不思議。DVDのみでもいいから、入ってきて欲しいですね💗

#ドラマ・映画 #日本未公開映画

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