かつて私は色ある世界だった
幼き日の思い出は
それはとても懐かしく
全ての人、全てのものに
私の命は映し出され
今思えば懐かしく
そして輝かしく
まさに色ある世界だった
キラキラ光る鱗のように
海原を泳ぐ魚のように
全てがそのように映っていたのだと
僕は幼き日の僕に懐かしさを問いかけた
眩くひかる
それは実に美しく
歪みなく
幼き私には
そのように世界は映っていた
幼き日は、従順で、
信じ、ただ信じ
裏切りも、嘲笑も
いくばくの痛みも苦しみも
全てを色が掻き消してくれていた
いつからか、
そういつからか、
僕の心には翳りが見えてきた
悲しさと、虚しさと、涙とが
こころに、脳裏に、意識に、
全てに焼き付いて
自らを呪い、嫌悪し、
キャンパスノートに全てを書き綴った
全てを求めた
矛盾なき世界を
世界を見るごとに
少しづつあの色は失われていったのだと
そう気付かされる
そして私は灰色の光に照らされた
全てはかすみ、全ては歪み、
全てが動かぬ物に変わって行った
それでもそれらは消える事なく
ただただ色褪せた事を知らせてくれていた
ただそれだけだった
灰色の光、
灰色の世界
いつしか光は失われ
ただただそれは灰色に
君は死んだのだ、
幼きあの子はもういない
ただただ
それを実感した