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身体の内部に耳をすませば幸せになるかもしれない話

胸を裂くようなつらさとか、怖くて震え上がるとか目の前に何かがあるわけでもないのに人は想像だけで心を揺さぶられ、感覚として認知している。これらは感情という脳の変化が起こっているときに、身体にも反応が起きていることになる。でもこの反応の流れが、初めに身体反応があってそれが感情に影響しているという学説がある。

そもそも身体反応として表現されるものが「感覚」の一つなのだという考え方があるらしい。これを「外受容感覚」の対称的なものとして「内受容感覚」とよぶ。「外受容感覚」というのは、触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚といったいわゆる「感覚」とよばれるものでいずれも外からの刺激を感じ取る能力ということになる。一方「内受容感覚」は内臓や血管など身体内環境の変化に関する感覚となる。でも、ここで感じる「心臓がバクバクしている」とか「胃がキリキリ痛む」と感じるのはまだ感情ではない。「内受容感覚」が「感情」となって伝わる仕組みについては別の機会に譲るとして、この「内受容感覚」がいかに私たちの幸福感に関わっているかを考えてみたい。

内臓と脳がつながっていることはよく知られている。血管がどうなっているか、筋肉の緊張度合いはどうか、腸管の状態はどうか、といったことが無意識に伝えられ、その後感情となって表れて行動を形成する。これは脳の一部を損傷した人がホラー映像や暴力的な映像などを目にしても全く心拍数の変化や震えなどの身体反応が起こらないという経験からもわかる。これは思っているよりも重要なことで、身体反応が起きなくてどんな状態だと分からなければ、例えば危険な場面に遭遇した時、身体反応が起こらず危険を回避する正しい選択ができなくなってしまう。

精神疾患のような不安を抱えている人は自己受容信号に注意を払っていると思っているが、実際はより「大げさ」にとらえていることが多いそうだ。つまり取り越し苦労しがちなのだ。これは感覚を正常に近づけていくことが望ましい。そうでないと常に過剰な信号を浴び続けている状態で消耗してしまう。

脳に損傷があったり精神的な疾患でなくとも、身体反応を感じ取る感覚を大切にして、さらに鍛えていくことはできる。例えば、自分の心拍数を1分間数えてみて実際に測定したものと比較してみることでその「感覚」が研ぎ澄まされていく。
また、マインドフルネスのテクニックの中にも内部感覚に集中するプログラムがあり有効だ。こういったトレーニングは健康状態に関わらず誰にとっても役に立つだろう(theguardian.com/science)。

私たちが様々な環境の中で感じる感情に伴ってドキドキしたり胃が痛んだり身体が硬直したりしていたのは、実は逆で、身体反応が起こっているから感情が生み出されているのだという説があることを知った。
感情をコントロールするには身体内部に起こっていることに耳を澄ませて集中するところからやってみるとよい。これからますますマインドフルネスを使ってウェルビーイングな人生を送ることが重要になってくるかもしれない。

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