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読書日記『サイコロジー・オブ・マネー』モーガン・ハウセル著

海外の読書家のTwitterで頻繁にレコメンドしていた本をついに読みました。
『 The Psychology of Money 』日本語訳の副題が『一生お金に困らない「富」のマインドセット』です。これを見て、(こんなんでお金持ちになれるのかしら?)と思いましたが、それがそもそもの勘違い(→これ読んで勉強してこい)でした。
経済的自由を勝ち取るためのマインドセット、しっかり心に刻んでおきましょう。

この本は全20章からなりますが、ここでは7つのステップにまとめてみます。

[1]お金についての考え方は人それぞれ

まずは想像してみてほしい。
自分がこれまで経験してきたことは世界の出来事のどれくらいに相当するか。
なんと、0.00000001%(100億分の1)にしか相当しない。
人はそんなちっぽけな経験をもとに8割の考えを構成しているのです。
みな独自の経験に基づいてその時々に意味があると思われる判断をしているだけ。だから考え方も千差万別。
ある研究によると、個人投資家がリスクをどのくらい負うかは、その人の過去の体験に大きく影響されることがわかりました。知性でも、教育でも、教養でもなく「いつ、どこで生まれたか」という偶然の要素が左右しているのです。

「運」と「リスク」は表裏一体。
努力して成功したからといって同じことがまた必ず起こるとは限らない。
逆に失敗した時に自分の判断が間違っていたと思っても、将来の普遍的な真理というわけではない。
“何事も見かけほど良くも悪くもない”のだと冷静に対処しよう。

[2]「足るを知る」

もう十分だと考えることが大切です。
欲しいものが手に入った時さらに他のものを手に入れようとしているならば、それが本当に必要なものなのかよく考えてみようということです。新たな欲望のためにどんどん大きくなるリスクをとっていくのは危険な考えです。
▶︎ゴールポストは動かさない
▶︎富の比較ゲームに参加してはいけない
▶︎吐くまで食うな

「十分な量」を確保するには複利的な力を利用するといい。
バフェットが資産のほとんどを65歳以上に築きましたが、実はバフェットが投資を始めたのは10歳の時でした。30歳から始めて60歳でやめたなら、今の資産の99.9%も少ない資産になったというのは驚きです。若い時に基盤を作り、投資し続けたからこのような資産になったのだといいます。
途方もない結果を生み出すのに、途方もない力は必要ない。
成功の最大の要因は「時間」だったのです。

投資の最重要アドバイスは、
「黙ってじっと待て」

[3]裕福であり続けることが大切

裕福になることよりも難しいのが裕福であり続けることです。
はい、仮に裕福になったら、の話で恐縮ですが、ここにも重要なマインドセットが示されていますので見ていきましょう。

▶︎大きなリターンを得ることよりも、経済的に破綻しないことを目指す
▶︎あらゆる計画でもっとも重要なのは、計画通りに進まない可能性を踏まえて計画すること
▶︎楽観的であること
▶︎失敗が多くても全体的には良い方向に進めること

失敗が多くても全体が良いというのは「テールイベント」の効果が大きいと言います。テール、つまりピークを示す大部分とはかけ離れた、誰もが見逃すような部分にひとかけらでも成功があれば、数々の失敗は相殺され、全体としては良かったといえる状態になります。
半分は間違っていても大金は稼げる、というのは心強い。

[4]お金と幸せ

ウェルス=富、と、リッチ=お金持ちの違いは何か問われて、それらを混同していたことに気がつきました。
「お金持ちとはお金をたくさん使える人」という考えが染み付いていますが、富に必要なのは自制心です。つーーーーん。刺さりました。
どんなに高級品を買ったとしても他人にはどうでもよいことなのです。高額なものを買えば買うほどお金は無くなります。
ということは、富とは買わなかった高級品など目に見えるものに交換されていない資産のことです。使われていない資産は、将来的に今よりも多くのものを買う選択肢や柔軟性、成長をもたらすのです。
しかも、幸せにつながるのはモノではなく「時間」です。
自分の時間をコントロールできることこそが幸せにつながります。
ただただ高収入になってお金を使いまくるより大事なことがあることを知りました。

[5]貯金の価値

ここが大事なところです。
富を築くには「収入」より「貯蓄」が大事。
収入が特別多くなくても富は築けるが、貯蓄率が高くなければ富を築けない。
リターンを0.1%上げるためには特別な訓練と膨大な情報収集が必要ですが、生活費を2−3%下げることはたやすくて自分でコントロールできるというメリットもあるということです。
▶︎貯蓄は支出を減らすことで生み出せる
▶︎欲望を抑えれば支出を減らせる
▶︎他人の目を気にしなければ欲望は抑えられる
▶︎お金にはサイコロジー(人間の心理)が深く関わっている

私たちは少額の貯金をするたびに、誰かに所有されていた自分の未来を少しずつ奪い返しているのだ。

サイコロジー・オブ・マネー

貯蓄を続けていても、運用状況によって総資産は上がったり下がったりします。
短期的な視点で一喜一憂するのではなく、長い目で積み上げていけばいいと言うことです。

[6]誤りの余地

想定外のことが起きる可能性まで想定して計画する、というのはセーフティネットを張り巡らせておく消極的な態度に見えますが、実は成功のチャンスをとらえやすくする考え方です。
投資では、現金を十分に保有し、誤りの余地を確保しておくことで、別の資金で行った株式投資が失敗しても長く持続することができます。これを設けていなければ、失敗した時点でゲームオーバー。

[7]自己投資

投資の神様は代償を支払わずにリターンを求める者を嫌う

経済というのは不確実です。後悔することもあります。
しかし、市場が変化してしまったときに、「間違った判断をしたことに対する罰金」と考えず、「将来的に利益を得るために支払わなければならない手数料」と考えることを勧めています。
よく失敗したときに「高い授業料だったな」と言うことがありますがあれですね。ビジネス・投資・金融の世界ではテールがすべてを動かしているためリスクを取ることが必要。その事実を受け入れれば、物事がうまくいかないことは多いし失敗するのも当然だと理解できるようになります。

また、人の目標は望みや時間の経過とともに変わります。
そのとき、他人のしているゲームからヒントを得ようとしてはいけない。
自分用の投資のミッション・ステートメントを作っておくとよい。

最後に、不確実でわからないことが多いからこそ、人は自分の知っているわずかな情報を頼りにストーリーを作ってもっともらしい意味付けをしてしまいます。
人は都合よく解釈し、予測したがるものだということを意識しておかなければフェイクニュースに騙されるようなことになるのだと感じました。
大切なのは、あくせく働いたり急速に収益を上げることではなく、心の平穏を得ることです。他人の目を気にせず貯蓄を続けることが「富」への確実な唯一の方法であるという話でした。

サイコロジー・オブ・マネー

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