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知っておくべき!どうしてjpgで画像修正を依頼するのはダメなの?


「元データないの?」は、もう終わりにしましょう。

画像の日付が古い!直してもらおうと社内デザイナーにjpgファイルを渡すと「えっ!?元データないんですか?」とドン引きされた…。

「元データは?」ってすぐに言うデザイナーは何なの?
プロならjpgやpngでも頑張れば直せるんじゃないの?
もしかして自分だけ楽しようとしてない?

jpgを渡して色修正を依頼したら、何だか色が汚いし思った仕上がりにならない…。
「元データがないと無理」っていうけど技術の問題じゃないの?

もしもこんな場面があったなら要注意!
実は…元データのアリナシは、「デザイナーの業務が楽になる」ということではなく、
最終的に、依頼者のアナタが長期的に困ったことになるのです。

・普段あまり画像を業務で使わない方
・なんとなく知ってるけど、ちょっとあやふや…
・本当は元データ必要なのはなんとなく分かってるけど、忙しいからダメ元で最初はjpgで依頼しちゃう…

そんな方には、
ここをきちんと理解しておくだけでも、一歩差がつきます!
また次も同じことを繰り返す前に、理由をはっきり理解しておきましょう。

そもそも制作会社など画像ファイルをプロとして扱う業務であれば、「デザイナーが持っていない場合は最初からpsd等元データを渡す」など社内ルールで明示されていることが多いですが、
まだルールが決まっていないチームの場合、どうしてダメなのか、順を追って説明していきます。


「jpg」「png」「psd」「ai」の違い

よく聞く画像の拡張子。拡張子とは、ファイル名の後ろについている.jpgや.pngのことです。
本来は細かく違いがありますが、ここではざっくり分類するとこのような違いがあります。

・画像データ

jpgpnggifなど。
プレビュー専用の圧縮データで、編集できないが、比較的ファイルサイズが軽い。メールのやりとりやwebサイトの表示向き。
特にjpgは「不可逆圧縮」という圧縮方法で、保存するたびにデータを捨てていくので、一度落ちた品質や捨てたデータを元に戻すことはできず色調整に不向き。もちろん文字やデザインの修正も不可。

・元データ

psdairawなど。
データの情報量が多い。基本的にはこの元データでデザインや色の調整を行う。印刷物では元データのまま入稿することが多いが、
webでは、jpgなど画像データへ書き出して使用する。
「psd」→photoshop、「ai」→illustrator、と、特定のグラフィックソフトで作成されたデータ。文字の編集やデザインの修正が可能。
「raw」は写真の撮影データで、現像前のフィルムにあたるもの。rawの段階であれば、明るさや彩度、色の調整ができる。特に商品写真など、繰り返し使う画像はrawからの現像時点で色を合わせることが望ましいでしょう。


画像データを修正してしまうことで起きる悲劇

もしかすると、
・元データ(.psd)→ 「wordファイル(.doc)
・画像データ(.jpg)→「プリントアウトされた紙
と例えるとイメージしやすいかもしれません。
同じ文字の修正があったとして、元データがあるときとないときでどのような違いがあるでしょうか?
手間が大変そうなのはすぐに想像がつきますが、重要なのは修正後に起こる悲劇です。

・元データで修正する場合

「word」で文字を修正する場合。

制作工程:文字を打ち直すだけ。
完成品:キレイ。修正前と遜色ない。
所要時間:3秒
次回以降:今後も何度でも修正できる。

【結論】
・元ファイルが手元にない場合、依頼者が最初に探す手間はあるかもしれないが、事業全体制作コストクオリティともに良い。

・画像ファイルで修正する場合

「プリントアウトされた紙」で文字を修正する場合。

制作工程
1.何のフォントがどんなサイズで使われているか、見た目だけで探す
2.同じサイズで文字を作り、切り貼りする
背景に色や柄があったり、文字数が違う場合はさらに地獄に

完成品
・切り貼りの後で汚い
・近い文字とサイズで貼られてるけど微妙に違和感。まるで怪文書

所要時間:3時間
次回以降さらに時間がかかり、さらに汚くなっていくことが確定。
あとから元データが出てきても、もう取り返しがつかない。

【結論】
制作コストが必要以上に高いが、クオリティが低い
・次回以降はさらに高コスト・低クオリティになることが確定する負の連鎖
・大変な割にいいことがないため、依頼者、制作者、関わった者すべてが不幸になる

特筆すべきは、
制作コストが必要以上に高いが、クオリティが低い」
そして一度画像データでの修正をしてしまうと、次回以降はさらに悪化
高コストと低クオリティが加速する呪い」が残るという点です。

そもそもその画像が必要になった経緯は何でしょうか?
ECサイトで売上を伸ばす、SNSでリーチを増やす、など、その画像の先に必ず目的があるはずです。
どんな目的の場合でも、「高コスト、低クオリティ」というのは、致命的です。
また仕事でその画像を使う場合、競い合う相手は「自分たちよりも知識がない格下」ではなく、「自社よりももっと売上や実績があるプロ」。その相手に勝つためには、「低コスト高クオリティ」を常に意識し続ける必要があるでしょう。

特に修正しながら何度も使う可能性がある、webページやバナーで
この画像データからの修正を行うのは致命的です。

この場合、依頼者も、それを引き受けてしまった制作者も、事業においてマイナスになることは間違いなく、依頼者には「元データを探さなくてよかった」という一瞬の楽は生まれるかもしれませんが、長期的には必ず困ったことになります。

「元データは?」と聞かれて嫌な気持ちになった方も、
仕事のために、その段階で止めなければならないデザイナーの立場と、
本来なら最終的に困ることになる依頼側こそが、最低限その認識を持つ必要があるということが少しでも伝わればと思います。

どうしても元データがない、この1回限りの非常事態、という場面も稀にあるかもしれませんが、
もし繰り返しこのような手順を繰り返す人がチームにいたり、チーム全体で何度もこのような会話が生まれる場合は要注意です。

実際、筆者の経験としても、こういった「少しの手間を惜しんで大きな損害を出す」タイプの人は、目先の誘惑に弱く、時間やお金の管理も苦手なケースが多いため、さまざまな場面でチームに損害をもたらします。
無意識にそんな人になってしまわないためにも、目先の一瞬の楽さだけでなく、工程全体を考えるスキルを身につけましょう。


どうして元データがないの?

そもそも元データが手元にある場合、このようなケースは起こらないでしょう。
それぞれの原因について考えてみましょう。

1.外注制作で、元データ納品の契約をしていない。

元データを納品するかしないか、はデザインや撮影外注の際の大きなポイントです。
制作者としては、渡してしまうと別の制作者でも編集できることになるので、「psdなど元データは別料金」と明示している場合があります。
特にデザインでは、jpg納品のみ=この修正は次回以降もそのデザイナーに依頼する、もしくはこの完成品のみの使い切りである、ということです。

しかし、「会社が元データの契約してないんだから仕方ない。」
果たしてそうでしょうか?よく考えてみましょう。
社内デザイナーや、別のデザイナーに依頼している時点で、その前提は崩れています。元の制作者に依頼しない時点で、基本的には追加料金を払ってでも元データをもらう以外の選択肢はありません。


2.「正直どういう契約かわからない、聞きづらい」

実はこれが一番多いケースかもしれません。
契約時には明示しておらず、頼まれれば元データを渡しているデザイナーや制作会社もありますが、聞かれなければ当然渡しません。

この場合、いますぐ聞きましょう
頼まれれば渡される元データを、最初から社内デザイナーに渡さなかった依頼者の業務遂行能力には非常に問題があります。
初心者であれば、最初は許されるかもしれませんが、何度も繰り返す場合は「なんて短絡的な人なんだ」という烙印は免れないでしょう。

一瞬聞きづらいとか、忙しい、を理由にしてしまうと、さらに評価を下げてしまいます…。

こういったことは慣れが解決します。
仕事なので、さらっと聞いて、ダメなら今後はその制作会社は元データを渡さない契約ということを踏まえて、業務を進めるべきです。

「人に確認したり、依頼することをつい自分のボールで抱えてしまい、止めてしまう」
こういう癖のある人はよくいますが、
そういうときは「洗濯機」で「料理」で置き換えるとわかりやすいです。

両方のことを進めたいとき、
まず「洗濯機」をまわして、その間に「料理」をするほうが効率的ですよね。
他の人が動くことは、自分がやることよりも先に依頼してしまいましょう。



デザイナーへの依頼で困っている方や、
依頼されて困ったけれど言語化して伝えるのが難しい…という場面で
少しでもご参考になれば嬉しいです。