本物であれ
原宿のアートギャラリーで学生主体の様々な展示を見た後、渋谷ヒカリエ8階でやっていた「青と赤展」という個展を見に行った。
アートギャラリーでは写真展やイラスト展がメインで、一つの映像展があった。8割写真展だった。青と赤展は青と赤の中立的な立ち位置に着目し、パネルを使って平面空間に奥行きを作ったり、新たな表現を方法を探る様な企画展であった。
私は友人と展示をまわっていた。そして当然、その二つを比べ、吟味するときがくる。まるで、地元のワンコイン弁当と、銀座の高級弁当を食べ比べている気分だ。
もちろん学生の展示の中でも良い作品はあった。美しい写真であったり、良いイラスト、良いアイデアの映像もあった。わざわざ一等地の一部屋を借りるだけあって作品数も多いし、みんなのやる気のあるのも伝わってくるのだ。作りたいモノもわかる。
しかしまあ地元と銀座の弁当では比べるにもレベルが違う。メインコンテンツも違えば、細部にも違いがでる。コンテンツのクオリティやモノとしての面白さ、展示の方法や、ふさわしいサイズ感や展示空間との相性、全てにおいて差が出てしまう。
確かに仕方ないかもしれない。美大でもない一般大生の展示と、多くの実践をこなしてきたであろう今年卒業する大学院生。経験や知識における差はデカイ。
しかし決して縮められない差という訳でもない。作品のクオリティはまあ頑張らねばならないが、展示場の選択、展示方法、細部への気配り、展示に来る人のUXを上げる為に様々な創意工夫を施せば、銀座の弁当とまでは行かなくても、最高でもしぶやの弁当まではいけるのではないか。「メインコンテンツが負けてちゃ話にならないよ!」なんていう輩もいるだろう。愚か者め!メインのハンバーグが負けていても、副菜のスパゲッティ、サラダ、ソースやレイアウト、弁当のパッケージをこだわれば、味で勝負しなくても客は満足できるのだ。
アートギャラリーを見た後に青と赤展を友人と見て、展示についてああだこうだ言ってる時に友人は私に言った。「お前は本物であれよ」中学からの親友だからこそ言ってくれる言葉だろう。お前は銀座の弁当になれと言われた。決して、渋谷の弁当で満足してはいけないと。いまでもはっきり覚えている。俺は一体本物になれるのだろうか。なりたいな。
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