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ヴァイキング関連まとめ

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考古学発見からの考察、その他
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2022年7月の記事一覧

ハラルド美髪王(ノルウェー)とアゼルスタン勝利王(イングランド)

9世紀前半、群雄割拠のノルウェーに、圧倒的なカリスマ性を持つ強力な王が現れました。〈美髪王〉と綽名されたハラルド1世(ハーラル1世)です。 ヴェストフォルドの王であった彼はホルダランドのエイリーク王の娘ギュザに求婚した際、「ノルウェー全土を支配する王となられましたら、わたくしは貴方の妃となりましょう」と、つれなく断られたことで奮起、各地を征服し、領土を広げていきました。最後の戦いとなったのが、有名なハヴルスフィヨルドの戦いです。 そして、ついにノルウェーの大部分を治める王に

ヴァイキングの結婚指輪

海外ドラマの人気シリーズ『VIKINGS』や『ラスト・キングダム』の影響もあってか、北欧諸国をはじめ欧州ではヴァイキング時代のマーケット等を再現したフェスティバルの開催や、出土品のレプリカジュエリーや日用品などを販売するショップが以前より増えています。 ジュエリーの幾つかはカップルで楽しめるようなペアアイテムも多く、ルーン文字を刻印した結婚指輪もあるようです。 先日、SNSでも話題になっていたのですが、そもそもヴァイキング時代に結婚指輪はあったのでしょうか。 一概に否定はで

ヴァイキングの綽名いろいろ

ヴァイキング時代の北欧人には姓がなく、名前の後に父称をつけていました。 エイリーク・ホーコナルソン(ホーコンの息子エイリーク)、オーラヴ・トリュグヴァソン(トリュグヴィの息子オーラヴ)、テュリ・ハラルズドーティル(ハラルドの娘テュリ)などです。 男子には息子を表わすソン、女子には娘を表わすドーティル(ドッティル)が付きます。 同じ名前の人物が多かったので、父称や綽名で区別していたようです。 『エギルのサガ』の主人公エギル・スカラグリムソンはアイスランドのスカルド詩人で、典型

土の塊の中からヴァリャーグのフィギュア

今から6年前、2016年。 スウェーデン南東部、ストックホルムとエスキルステューナの間にあるクラハーマルという場所にあるヴァイキング時代の墳墓遺跡で大規模な発掘調査が行われた時のことです。 発掘チームが鉄以外の金属をマッピングした際、小さな不定形の茶色の塊が採取されました。 土に覆われていましたが、金属反応があったので丁寧に洗浄してみたところ、中から戦士を象った銀製フィギュアが姿を現したのでした。 戦士は長髪で、顎が長く見えるのはたぶん髭を伸ばしていると思われます。右手に