【斎藤元彦】【石丸伸二】似てる?似てない?
SNSを見てると、この二人をほぼ同一視してる人って結構多いのよね。
石丸アンチには斎藤アンチが多い。
石丸支持者には斎藤支持者が多い。
でも二人は全然違うよ。(笑)
その理由を論じる。
▼前提:
先に私の評価を簡潔に書いておく:(100点満点)
斎藤元彦=間違いなさそうなので、基本的には応援。81点。
石丸伸二=絶対に政治家にしちゃダメ。13点。
折田楓=たぶんアホ。31点。
立花孝志=正しいことを言うときもある。61点。
マスメディア大手新聞テレビ局=多くは偏向報道ばかりしている。チャイナや宗教団体に牛耳られているようにしか見えない。平均30点。
…っていう感じ。
▼斎藤元彦と石丸伸二は、真逆である:
完全に逆なのよ。
石丸伸二はメディアが応援して、選挙に負けた。
斎藤元彦はメディアに攻撃されて、選挙に勝った。
ね。
東京都知事選が始まったときに小池百合子と蓮舫と田母神俊雄という長年の実績のある三人に加えて、大手メディアは石丸伸二を有力候補として報道したじゃん。それも田母神俊雄より格上の並びで。
石丸伸二が安芸高田市長時代におこしたアクションは概ね好意的に紹介されていたし、石丸伸二が議会を敵に回してズバズバ言う様子も好意的に報道された。
石丸伸二は大手メディアにめちゃ応援されていた。
ところが投票日が近づくにつれて選挙関連の報道がパッタリ消えた。なんか「小池百合子の露出が無いから報道の公平性を保つために他の候補者のことも取り扱いできない」みたいな理由はどこかで読んだ。これがどこまで本音で、どこまで建前なのか、私にはちょっと判らないけども。
そしたら、いざ選挙で負けた石丸伸二が「僕のせいじゃないもーん!メディアが報道してくれなかったからだもーん!」と小学2年生のように幼稚な駄々をこねて責任転嫁を始めた。くそダサい。みっともない。
そして石丸信者は教祖の言葉をそのまま信じるわけ。「そうだ、そうだ!メディアが石丸さんを報じなかったから、石丸さんの政策や魅力が伝わらなくてこの選挙に負けたんだ」って。いやいやいやいや、あんなに有力候補として報道してくれてたのを、もう忘れたのか?(笑)
かたや。
斎藤元彦は、まず3月にマスコミに徹底的に叩かれるところからスタートしてる。パワハラだの、おねだりだのと。週刊誌から新聞テレビまで総攻撃だった。
ところが当事者の業者さんが「おねだりは無かった」と公言して、当初上がった疑惑は次々と否定されていき、世間は大混乱した。そうした大炎上を受けて、兵庫県議会もきっちりケジメをつけざるを得なくなって、それで百条委員会というものを始めた。
しかし、事の発端になった「怪文書」をマスコミ各社に送った県民局長が百条委員会での証言を直前にした7月に自殺してしまったことで更に混迷を極めた。マスコミは「通報者の自殺はパワハラ気質の斎藤元彦が追い詰めたせいだ」と断定するような報道を執拗に繰り返した。
そして9月に兵庫県議会は、百条委員会がまだ続いてるのにもかかわらず、斎藤元彦知事の不信任決議案を全会一致で可決した。もちろん、こちらもメディアは毎日熱心に報道した。
ここまでの過程で、斎藤元彦を擁護するメディアはほとんど存在せず、斎藤元彦はメディアから徹底的に攻撃され続けてきた。
石丸伸二は議会や記者会見であんなにパワハラめいた言動を繰り返してきたのに全くお咎めなしだったのに、である。
これだけで、すでに石丸伸二とは真逆だと言える。
しかし、それ以上に決定的なことに斎藤元彦は11月の選挙に勝った。
石丸伸二は負けて、斎藤元彦は勝った。
ここまでくると、両者の違いは決定的である。
だから両者とも「SNSで人気を集めた」という表面的な理由だけで同一視してる人達は、すごく浅いと思うよ。(笑)
じゃあ、なんでそうなったのか、という考察を続ける。
▼斎藤元彦への批判の本質:
兵庫県政については、非常に多くの事案が短期間に発生して、複雑に入り乱れているので、混乱してる人も多そうに見える。
最大の誤解は、そもそも県民局長の初手は「公益通報ではなかった」ことだろう。県民局長はまずマスコミに「匿名で告発」した。そして斎藤元彦知事にバレて処罰された後に、同内容で公益通報を申請した。
告発内容が真実で、自分の身を守りたければ、最初から公益通報者保護制度を使えば良かったのに、県民局長はそれをしなかった。むしろ、知事を追い込むという目的のためだけに、途中から公益通報扱いに変えたように見える。これは意図次第では、かなり悪質な行為だと言える。
マスコミへのリークは通報者はバレなければ匿名をキープできるが、自己責任なので組織は守ってくれない。しかし厳しいファクトチェックを受けずに済む。これが県民局長が最初に選んだ道。
一方で、公益通報は通報者が誰なのか必ず組織にバレるが、その代わりに告発した組織からの人事処分など社会的制裁を受けないように保証される(=これが通報者保護の原則なので匿名だと成立しない)。その代わりに厳しいファクトチェックがある。これが県民局長が途中で乗り換えた道。
両者のいいとこどりだけするなんて、虫が良すぎる話だ。
よくある「斎藤元彦が通報者保護に違反した」という主張は、マスコミリークと公益通報を混同しているものが多い。一般市民はシンプルに事情を知らない人がほとんどだと思うが、プロ市民には知ってるけど斎藤元彦を失脚させるためにわざと話をごちゃ混ぜにしている人も結構いると思われる。
そして県民局長は百条委員会に証人として出頭する直前に死んでしまった。死人に口なしで真実は永遠に藪の中となってしまったが、客観的な状況だけ見れば、県民局長は証言(ファクトチェック)から逃げただけのようにも見える。
なぜなら、マスコミへのリークは嘘をついても法律違反ではないが、公益通報で嘘をつくことは法律違反になる。県民局長は百条委員会で嘘をつきたくなくて、自殺を選んでしまった可能性がある。
なんなら、その可能性が高いと私は思う。(これは個人の意見)
少なくとも、上記のような経緯があるのに、自殺の原因が斎藤元彦知事にあると決めてかかるのは、いくらなんでも無理筋である。(これは客観的な論評)
▼更に混迷する斎藤元彦問題:
●稲村和美
不信任で失職した知事の対抗馬として現れた稲村和美がバリバリの左翼だったことで炎上は加速した。
左翼といえばデモ活動という名の暴力行為に興じる高齢者の「しばき隊」の知名度が今年は一気に上がったが、リアルだけでなくネットでも左翼の活動は激しい。
つい2年前までTwitterでも毎日のように自民党を批判するハッシュタグやツイデモが流行っていた。イーロンマスクがTwitterを買収して大幅なリストラ解雇を実行した後は、キュレーター業務を担当していたTwitterジャパン内部の左翼活動家が居なくなったので勢いが大きく落ちた。しかし依然として左翼活動家はネットにも健在である。
日本のネット民も年々賢くなっているので、いい加減に左翼活動家に騙されなくなってきた。それで稲村和美を支持する左翼と激しいバトルが展開されるようになった。
かく言う私も、それまで兵庫県知事問題にはあまり関心が無かったが(私は東京都民なのでどうしてもね)、稲村和美がゴリゴリ左翼だと知ってからは危機感を持つようになった。
そして調べてみると斎藤元彦には報道されているような問題は無かったことが判った。左翼が暴れてくれたおかげで、ちゃんと実態を見るようになったというは皮肉な話である。
そして、続けて、更に大きな変化が訪れる。
●立花孝志
立花孝志が「ルールブックが想定しない選挙活動」を行い、事態はますます派手に混乱して、より多くの人々の注目を集めるようになった。
立花孝志は自分が知事として当選するためではなくて、斎藤元彦を攻撃する兵庫県議会の不審な点を広めるために活動した。本来、選挙における立候補とは自分が当選することを目指して行うものだ。当たり前すぎる。
しかし、当たり前すぎるゆえに、公職選挙法では「売名だけを目的とした立候補」を禁止してないし、今回の立花孝志のように「他の立候補者を当選させることを目的とした立候補」も禁止してない。選挙管理委員会としては、アホな立候補者が落選したら供託金だけ貰って丸儲けなので、無下に禁止する道理も無い。そんな「法の抜け道」を突く、まさに立花孝志らしい一手であった。
立花孝志は話術に長けているので、注目度が大いに高まった。それで視聴者が各自で経緯を調べるようになり、斎藤元彦にかけられた疑惑が事実無根らしいことが世に知れ渡ることになった。
一つ断っておきたいのは、私は立花孝志が語る一から十まで全てを信じてはいない。
立花孝志は一般人にも興味を持ってもらうために、話をかなり簡略化して面白くする。その最たるテクニックが男女問題を織り交ぜることである。思い出せば、立花孝志の名前が最初に全国区レベルまで大きく売れたのは、2019年の政見放送でNHKアナウンサーによる「不倫路上カーセックス」を連呼したことだった。それを兵庫県知事選でも実践した。
立花孝志は、県民局長が使用していた県庁の公用パソコンに仕事上不適切なデータが含まれていたという情報を持ち出し、県民局長のキャラを「複数人の女性と不倫関係を持っていた人物」として前面に押し出して、県民にアピールした。
しかし県民局長の人格については、推測の域を出ないというか、県民局長自身が死亡しているため、絶対に肯定も否定も証明できない領域の話である。だから真実を言ってるかどうかはわからないが、嘘を言ってるとも断定できない。つまり立花孝志は絶対に負けないのだ。
一連の立花孝志の行為は、率直に言って品性に欠ける。
しかし効果は抜群だ。
それにある程度、論理的思考ができる人なら、県民局長の「だらしない女性関係」など立花孝志が注目を集めるために強調してる部分を排除して、県民局長が斎藤元彦のパワハラやおねだりをマスコミリークしてから現在までの流れを冷静に分析することができる筈だ。事実、私も前章ではそうして時系列を整理した。
そういう意味では、立花孝志はプラスの価値がある仕事をした。
▼アンチ石丸伸二のメイン層:
私も石丸伸二には厳しい評価をしているし、今でもたまに石丸伸二を批判した文章を書くくらいだ。
だからこそ、同じく石丸伸二を批判している人達の多くが、斎藤元彦を石丸伸二と同類に捉えて批判しているのを見るのは少し悲しい。
いや、意見が違って、少し寂しい、が正確かな。
右派からも左派からも嫌われる石丸伸二だが、今でも石丸伸二を懲りずに叩いてる人達の多くは左派、というか共産党にシンパシーを持つ人が多いからだろうね。なんかネット左派の人達って執念深いイメージがあって、私がそう感じるだけかもしれないけど。(笑)
実際に兵庫県知事選では共産党が応援する稲村和美が敗北したので、そうすると共産党シンパの人達から見れば斎藤元彦は敵なわけで。どうしたって、そちらに流れやすいんじゃないかな、と邪推する。
石丸伸二の実態を世に広めるために大きく貢献していると私は評価してる取材不足も、斎藤元彦には否定的なスタンスらしい。取材不足は「政治の知識や興味は無い」とご自身で語っているが、取材不足が参考にしている哲学系ゆーちゅーばーじゅんちゃんはガッツリ共産党シンパのように見える。そこから影響を受けてるんだろうな、と思う。
(了)