見出し画像

【あの花】が叩かれている件について

ツイッタランドで『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』がなかなか酷評されていた。

▼今回の震源地:

震源地はここかな?

視聴完了、みんなも見てほしい。俺の週1のお休みのうち120分無駄にしたのムカつくので。

https://twitter.com/Hard_Core_Bure/status/1827634089257791990

ツイートは8月25日付だが、サブスク配信の開始は8月上旬だったはずだ。昨年にかなりヒットした映画なので、終戦の日までに一応できれば観ておきたいなァ…と思った記憶がある。

あと、女子卓球の早田ひな選手が五輪からの帰国直後に「特攻資料館に行きたい」と語った(正確には鹿児島にある知覧特攻平和会館と思われる)ときに、「ああ彼女もアマプラでこの映画を観たのかしら」なんて思ったから8月上旬で間違いないはず!(笑)
https://youtu.be/aflD5B1k8T0

▼映画を叩く人達の言い分:

ほぼ同じ主張(二番煎じ?)だが、下記のメモは否定派の不満点を比較的もれなく書けている気がした。

今ちょっと話題の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』をアマプラで観た。内容は「太平洋戦争末期の特攻隊員を通して、タイムスリップした現代人のヒロインは命と今後の日本を想う」というなんかどっかで見たり聞いたりしたような集合体の詰め合わせで、類似作の多い気がする今作はじゃあ煮詰まった内容かというと、設定のアラを探したり整合性を求める人には向かない。逆にその場のライブ感というか感情でストーリーを読み進められる人は違和感なく視聴できると思う。

「運命的な出会いと恋」「青年特攻隊員の命と国を憂う心」「結ばれない運命の二人」「引き裂かれたと思いきや奇跡的に成就する愛」などで分かりやすくデコレーションされた、美男美女の俳優が演じる観やすく作られた映画、それが『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。

興味のある人は予告編の90秒動画がYouTubeにあるが、時間がない人は予告編を観れば大体内容を補完できる。この映画はそのまんまの内容が2時間を使って流れると思ってもらっていい。

早く寝ればよかった。

https://twitter.com/iriya19470624/status/1828141946185126322

うーん、本編を観た後に予告を見直したけど、さすがにそれは言い過ぎかな。予告を見ただけでは絶対に読み取れない部分はあるので。まあ本作は127分あるけど上手くやれば90〜100分に収めることは出来たよなァ…くらいに間延びしていたとは私も感じたけれど。

他にも。

アマプラで見たけど、1時間超えたあたりで本当に申し訳ないけど、「はよ特攻しろや」って思っちゃった。

https://twitter.com/hayonero112/status/1827986435795800174

うん。言いたいことはわかる。

私もアマプラに来たから(主にトレンドを勉強する目的で)観たけど、展開の遅さと時代考証のファジーさにイライラして、途中で止めてしまった。今回、このnoteを書くにあたり最後まで視聴したが、それなりに苦痛を感じた。(暴)

でもさあ…「それなりに本数をこなしてる映画ファンなら観る前から察しただろw」とも思うんだよね。(笑)

それこそが、まさに私が劇場公開時に見送った理由だし。

だからサブスクが始まった直後に、学者テイストの時代考証や批評家テイストの正論パンチで叩いてるコメントを見ると、漏れなくダサいと思っちゃうよ。

そういうのは、自腹でチケット代を払ったヤツだけがしろよ。(呆)

あと、、、最後の20分は結構よかったぞ。
お前ら、本当に最後まで観たのか?(笑)

▼そもそも誰向けの映画か:

次の人の意見は私と似ている。

学生カップルが隣同士に座って、手を繋ぐタイミングを見極めるために互いに腹の読み合いをする時のbgm用の映画なのに、明らかにターゲットではないTwitter歴史ハカセ界隈の超博識教養オタクに叩かれててかわいそう

https://twitter.com/largemediumsm/status/1828081811576246545

そう、本作は純粋な未成年向けデート映画なのだ。

超博識教養オタクって…結局はみんな、正義にかこつけて、公然と叩ける題材を探してるだけなんだよね。それはミジメじゃないか?(しかも劇場公開期間にチケット料金を支払って観たのではなく、毎月数百円のサブスクで済ませているのが絶妙にダサくないか?)

例えば石丸伸二のようにメディアの力を使って選挙に勝ち、実社会での権力を握ってしまいそうなケースでは、SNSで注意喚起する意義は十分にあると思うけど、『あの花〜』はただのエンタメ映画だからなァ。

今になって考えると、都知事選開票直後のあの石丸伸二の態度は、メディアの力のおかげで2位まで得票を伸ばしたくせに、「メディアの力に頼ってない」という支持者(または信者)への印象操作を行うための戦略だったのかもしれない。結果的にはやり過ぎてしまい、石丸構文なるトレンドまで爆誕して、すっかり正体がバレて人気を落とす結果(つまり大失敗)になってしまったが。

しかも時代考証のファジーささえ目を瞑れば、映画が帰結するのは「現在の日本が平和で恵まれている国であることを幸せに感じて、今の自分にできることを一所懸命に生きよう」という非常に真っ当なメッセージ(まさに早田ひな選手が会見で述べたことと一致している)なので、些末な揚げ足取りをしてこの映画を叩くのはあまり良くないと私は思う。

報道陣から「今やりたいことは?」と聞かれると、「鹿児島の特攻資料館(知覧特攻平和会館)に行って、生きていることを、そして自分が卓球をこうやって当たり前にできているということは、当たり前じゃないというのを感じたいからです」と語った。
https://www.j-cast.com/2024/08/21491262.html?p=all

少なくとも、このポジティブなオーラに包まれた本作は、若いうちに観ておいて損するものではない、と私は思ったよ。

▼若者だけがバカなのか:

"あの花"酷評に関して同様のことを考えてたので。

観る前から事前情報で自分に合わない薄味な映画だって分かるだろ。わざわざ観るなよ。と言いたいところだけども、、この作品の難点は戦争モノとしても売り出してるところで、戦時中と特攻を利用してチャラいもの作るなよという憤りは理解できる。

https://twitter.com/tyunsehosihosi/status/1828142519731003507

この方が書いてるように、シリアスな題材までエンタメにしてしまう姿勢に懸念を持つという点は、私も理解できる。(もしくは予告などプロモーションがシリアスな映画に見えるような作りだったという批判なのかしら)

ただ冷静に映画を観てほしいのだが、劇中で「チャラい」のは現代からタイムスリップしてきた主人公の少女だけで、周囲の人達は全くチャラくない。そして主人公のキャラ造形は、まさに《戦時中や特攻のことをほとんど知らない令和の女子高生=観客のメインターゲット》のリアルに近いわけで、これは令和に作る映画ではある意味《必要悪》だったと言えるのではないか、という思いの方が私は強い。

だから女子高生が最初に興味を持つきっかけの映画としては、このくらいファンタジーな脚色でも良い気がする。そして逆に言えば、女子高生でもこれが史実とはそれなりに乖離があることくらいは理解してエンタメとして愉しんでる子が大半だと思うのよ。つまり、ジジイ達が思い悩んでるほどムスメ達はバカじゃないと思うってこと。

だって世間には、左翼思想をスーパーブーストした『はだしのゲン』を全て歴史に忠実だと思い込んでる団塊の世代以降のジジイ達もそれなりに多く居るわけで、彼らは『あの花〜』をとりあえず歴史に忠実だと受け取ったムスメ達と何が異なるのか?

あえて比較するならば、これから長い人生で史実に触れるチャンスが多いぶん、若者の方がまだ救いがあると言えるよね。

▼この映画の社会的評価:

映画の価値を測る一つの物差しとして、興行収入がある。それで測れば『あの花〜』は間違いなく価値が高い映画である。

『あの花が咲く丘で〜』を映画ファンは半笑いでバカにするけど、興行収入45億円って『恋空』を超え恋愛映画史に残る大ヒットなんですよ。しかも劇場は女子高生で満員。タイタニックから21世紀に至るまで「恋した相手が自分を守って死に、自分は生きていく話」がいかに若い女子に需要あるか恐ろしくなる

https://x.com/C4Dbeginner/status/1828202518582894794

このツイートは、一文目で同映画を擁護するような書き出しをしてるけど、注意深く読むと、文章後半ではディスってて、全体としては女子供をバカにしてる魂胆(=悪意)が透けて見える。みっともなくて、笑える。

しかも恋空やタイタニックにも喧嘩を売ってるし。(笑)

あるいは「オレが好きな高尚で素晴らしい映画」が興行収入では大きく負けてるから、劣等感と嫉妬でティーン向け恋愛映画を蔑む発言をしてる天邪鬼かもしれないね。CDBの本心はどちらにせよ、作品や女子供へのリスペクトを感じられないツイートだよ。ここでも石丸伸二を思い出したわ。(笑)

CDBの本性は石丸伸二と似てそうな気がする。。。

『あの花〜』は数字で結果を出しているから、その面では超優秀な映画である。

…で筆を止めておけば良いのに、CDBは何か守りたいプライドがありそうというか、恋愛映画に熱狂してる人達より精神的に優位に立ちたくて、憎まれ口を叩いてしまったように見える。

ちなみに『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は第47回日本アカデミー賞でも7部門ノミネート+新人俳優賞を獲得した。もし『ゴジラマイナスワン』が無ければ幾つか受賞していたかもしれない。

第47回日本アカデミー賞
優秀監督賞:成田洋一
優秀脚本賞*:山浦雅大、成田洋一
優秀主演男優賞:水上恒司
優秀助演男優賞:伊藤健太郎
優秀助演女優賞*:松坂慶子
優秀録音賞*:鈴木健太郎
優秀編集賞*:岩間徳裕
新人俳優賞:福原遥

*をつけた部門は『ゴジラ-1.0』が最優秀賞を受賞した。

日本アカデミー賞は映画業界のお祭りとしての側面が強く、純粋な作品の魅力に加えて、興行収入や配給会社のパワーバランスも反映しやすい映画賞なのでシネフィルからは揶揄される傾向があるが、さりとて大手事務所の政治力だけで決まるものではないので、ここに名前が挙がるだけで十分に価値があると言える。

くりかえしになるが、とりあえず大東亜戦争に興味を持ってもらうきっかけとしても、あるいは人生に希望を持って生きることの素晴らしさを少しでも共感してもらうためにも、本作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、中高生の若者が観る映画として《悪くない=むしろ良い選択肢》だと思う。

(了)

この記事が参加している募集

最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!