【あの花】が叩かれている件について
ツイッタランドで『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』がなかなか酷評されていた。
▼今回の震源地:
震源地はここかな?
ツイートは8月25日付だが、サブスク配信の開始は8月上旬だったはずだ。昨年にかなりヒットした映画なので、終戦の日までに一応できれば観ておきたいなァ…と思った記憶がある。
▼映画を叩く人達の言い分:
ほぼ同じ主張(二番煎じ?)だが、下記のメモは否定派の不満点を比較的もれなく書けている気がした。
うーん、本編を観た後に予告を見直したけど、さすがにそれは言い過ぎかな。予告を見ただけでは絶対に読み取れない部分はあるので。まあ本作は127分あるけど上手くやれば90〜100分に収めることは出来たよなァ…くらいに間延びしていたとは私も感じたけれど。
他にも。
うん。言いたいことはわかる。
私もアマプラに来たから(主にトレンドを勉強する目的で)観たけど、展開の遅さと時代考証のファジーさにイライラして、途中で止めてしまった。今回、このnoteを書くにあたり最後まで視聴したが、それなりに苦痛を感じた。(暴)
でもさあ…「それなりに本数をこなしてる映画ファンなら観る前から察しただろw」とも思うんだよね。(笑)
それこそが、まさに私が劇場公開時に見送った理由だし。
だからサブスクが始まった直後に、学者テイストの時代考証や批評家テイストの正論パンチで叩いてるコメントを見ると、漏れなくダサいと思っちゃうよ。
そういうのは、自腹でチケット代を払ったヤツだけがしろよ。(呆)
あと、、、最後の20分は結構よかったぞ。
お前ら、本当に最後まで観たのか?(笑)
▼そもそも誰向けの映画か:
次の人の意見は私と似ている。
そう、本作は純粋な未成年向けデート映画なのだ。
超博識教養オタクって…結局はみんな、正義にかこつけて、公然と叩ける題材を探してるだけなんだよね。それはミジメじゃないか?(しかも劇場公開期間にチケット料金を支払って観たのではなく、毎月数百円のサブスクで済ませているのが絶妙にダサくないか?)
例えば石丸伸二のようにメディアの力を使って選挙に勝ち、実社会での権力を握ってしまいそうなケースでは、SNSで注意喚起する意義は十分にあると思うけど、『あの花〜』はただのエンタメ映画だからなァ。
しかも時代考証のファジーささえ目を瞑れば、映画が帰結するのは「現在の日本が平和で恵まれている国であることを幸せに感じて、今の自分にできることを一所懸命に生きよう」という非常に真っ当なメッセージ(まさに早田ひな選手が会見で述べたことと一致している)なので、些末な揚げ足取りをしてこの映画を叩くのはあまり良くないと私は思う。
少なくとも、このポジティブなオーラに包まれた本作は、若いうちに観ておいて損するものではない、と私は思ったよ。
▼若者だけがバカなのか:
この方が書いてるように、シリアスな題材までエンタメにしてしまう姿勢に懸念を持つという点は、私も理解できる。(もしくは予告などプロモーションがシリアスな映画に見えるような作りだったという批判なのかしら)
ただ冷静に映画を観てほしいのだが、劇中で「チャラい」のは現代からタイムスリップしてきた主人公の少女だけで、周囲の人達は全くチャラくない。そして主人公のキャラ造形は、まさに《戦時中や特攻のことをほとんど知らない令和の女子高生=観客のメインターゲット》のリアルに近いわけで、これは令和に作る映画ではある意味《必要悪》だったと言えるのではないか、という思いの方が私は強い。
だから女子高生が最初に興味を持つきっかけの映画としては、このくらいファンタジーな脚色でも良い気がする。そして逆に言えば、女子高生でもこれが史実とはそれなりに乖離があることくらいは理解してエンタメとして愉しんでる子が大半だと思うのよ。つまり、ジジイ達が思い悩んでるほどムスメ達はバカじゃないと思うってこと。
だって世間には、左翼思想をスーパーブーストした『はだしのゲン』を全て歴史に忠実だと思い込んでる団塊の世代以降のジジイ達もそれなりに多く居るわけで、彼らは『あの花〜』をとりあえず歴史に忠実だと受け取ったムスメ達と何が異なるのか?
あえて比較するならば、これから長い人生で史実に触れるチャンスが多いぶん、若者の方がまだ救いがあると言えるよね。
▼この映画の社会的評価:
映画の価値を測る一つの物差しとして、興行収入がある。それで測れば『あの花〜』は間違いなく価値が高い映画である。
このツイートは、一文目で同映画を擁護するような書き出しをしてるけど、注意深く読むと、文章後半ではディスってて、全体としては女子供をバカにしてる魂胆(=悪意)が透けて見える。みっともなくて、笑える。
しかも恋空やタイタニックにも喧嘩を売ってるし。(笑)
あるいは「オレが好きな高尚で素晴らしい映画」が興行収入では大きく負けてるから、劣等感と嫉妬でティーン向け恋愛映画を蔑む発言をしてる天邪鬼かもしれないね。CDBの本心はどちらにせよ、作品や女子供へのリスペクトを感じられないツイートだよ。ここでも石丸伸二を思い出したわ。(笑)
『あの花〜』は数字で結果を出しているから、その面では超優秀な映画である。
…で筆を止めておけば良いのに、CDBは何か守りたいプライドがありそうというか、恋愛映画に熱狂してる人達より精神的に優位に立ちたくて、憎まれ口を叩いてしまったように見える。
ちなみに『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は第47回日本アカデミー賞でも7部門ノミネート+新人俳優賞を獲得した。もし『ゴジラマイナスワン』が無ければ幾つか受賞していたかもしれない。
日本アカデミー賞は映画業界のお祭りとしての側面が強く、純粋な作品の魅力に加えて、興行収入や配給会社のパワーバランスも反映しやすい映画賞なのでシネフィルからは揶揄される傾向があるが、さりとて大手事務所の政治力だけで決まるものではないので、ここに名前が挙がるだけで十分に価値があると言える。
くりかえしになるが、とりあえず大東亜戦争に興味を持ってもらうきっかけとしても、あるいは人生に希望を持って生きることの素晴らしさを少しでも共感してもらうためにも、本作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、中高生の若者が観る映画として《悪くない=むしろ良い選択肢》だと思う。
(了)
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