【陰謀論かも?】インターステラーが3位ゴールを逃した件【ドリパス】
誰かTogetterとかで纏めてほしかったけど無さそうだったので自分で。
▼何が起きた?
それは令和5年4月3日(月曜)の午前9時過ぎに発生しました。
映画『インターステラー』が3位から転落したのです。
それも不可解なスピードで。(←ここが大事)
ドリパスとは、過去の映画作品を映画館で再上映させるためのアンケート収集サービスです。ウィキペディアから引用します。
ドリパスで4月3日の月曜日の午前9時に新たに3本が上映候補になりました。
しかし、この『冬薔薇』が『インターステラー』を逆転して3位に滑り込んだことについて疑義が出ました。
最初に引用した8RRRアンガサラム氏の投稿によれば、同日の午前8時59分ごろまで1,000ポイント近くあった差分が1分程度で逆転されたようです。少し混乱されたツイートが続きます。
▼これまでのドリパス戦インターステラー:
ここで少し時計の針を戻しましょう。
あべんた氏は日本でおそらくトップクラスにIMAXへの造詣と愛情が深い人物です。彼は常日頃から、この『インターステラー』がドリパスで当選するようにTwitterで広く呼びかけていました。
以下、あべんた氏がスレッドで投稿した画像を引用して経過を見ていきます。
さらにフォロワー数6,000オーバーのたてはま氏(ノーラン映画をよく扱う人気YouTuber)も呼びかけを始めてドリパス投票者は加速的に増えていきました。
ということで、一時は暫定2位まで昇り詰めましたが…
結果は、、、
蓋を開けてみると『インターステラー』は4位でした。
1ヶ月にわたり戦ってきたあべんた氏は落胆を隠しませんでした。
IMAXに実に4回も再上映した『RRR』については、実働実績として542人収容できるgdcs池袋のIMAXシアターが連日の超満員でしたからねえ。ドリパスなどで草の根運動しなくても実現しやすいのは納得です。
▼裏側で何が起きたのか?
しかも、正確には9時00分ちょうどの時点では3位だったようです。
そして、この件にドリパス公式からメールで回答がありました。
・4月3日9時0分の時点で3位だったことは運営も確認済み。
・しかし落選した原因は4月3日の時点では不明。
・今回の選考結果には反映させない。
・次回以降にシステム改修する。
という、内容でした。
これは公式のメールなので会社としての決定事項になります。
うーん…少なくない人達が時間と労力を注ぎ込んだ事案についての重要な決定を、原因不明の時点で、当日のうちに即決・即回答するのはあまり良くなかったかなと思います。
そもそもドリパスでは、上映候補に入っても実際に上映が実現せずに候補に残り続けているケースも多い(*)ので、この中で上映候補追加はあくまで3本にこだわり、『インターステラー』の選考漏れをここまで緊急に決断する必要があったのか理由がよく分かりません。『冬薔薇』も『インターステラー』も合わせて、4作品を上映候補にすれば良いだけの話ではないですか。
ここまでの情報だけを見ると:
・どうしても『インターステラー』を落としたい勢力がある。
・システムで投票結果の数字を操作して逆転させた。
という【陰謀論】めいた発想もしやすくなります。
ただし、数日後にどうやらシステムエラーではなかったらしいことが分かってきました。
▼本当は裏側で何が起きたのか?
あべんた氏から重複投票はペナルティになるというアナウンス。
残念ですが、これはネット投票あるあるですね。匿名性の高いネットでは、別アカウントを作って所謂「自作自演」や「ボット攻撃」という戦術が取れてしまいます。以前Twitterでフェミ系の署名運動で「私は4回署名しました!」と宣言する猛者(バカ)が現れて失笑を買ったこともありました。しかし、署名を受け取る側からはIPアドレスが見えるので、それで多重投票を見分けることができます。
これをシステムで即時にエラーで弾くとかではなくて、候補作品を決定するタイミングでまとめて除外処理をしているなら、4月3日に突然『インターステラー』が弾かれたという根拠は分からなくはないです。
この理屈は実は他の候補作品にも同じことが言える(不正投票やボットがいるかもしれない)のですが、今回の『インターステラー』は初めてバズって大量に利用者が流入してきた状態だったので、特に不正投票の割合が大きかった可能性はあります。
仮に不正投票がなかったとしても、そもそも洋画がここまで異常なスピードで順位を上げたなら、何らかの不正を疑いたくなるシステム管理者の心情はある程度は察することができます。
そして、更に謎の点数調整が続きます。
ポイントが引かれるのは納得しやすい部分です。毎週候補作品を選んでいるので、古い投票から順次無効化(有効期限切れ)していくというのは理に適っています。でないと新参者がランクを上げるのが難しくなってしまいますから。
ただ、あべんた氏が言及してる「ボーナスポイント」というのはちょっと理解に苦しみます。まあでも、こちらも新規作品を速くランクを上げるための仕組みかもしれませんが。ちょっと恣意的になりそうな気はしますね。ただ今回の『インターステラー』だってボーナスポイントで一気に順位を上げた可能性もあります。
全体的にTwitterのトレンドと似ている部分がありますね。累計ではなくて、現時点での加速度に重きが置かれるという点では。
ただ、いずれにせよ、一定数以上のサポーターがずっと継続的に応援しないと、上映候補入りは難しいということなのでしょう。残念ですが、洋画を応援する人達は日本映画やアニメと比べれば、圧倒的な少数派であるという事実が示されただけと言えそうです。(少なくともドリパス利用者の範囲では)
▼私の感想:
最後に、今回の落選騒動を受けての私の感想を書いておきます。
以下は、まだ不正投票による減点が発覚する前の私のツイートです。原因不明の状態で候補から外す決定をしたことに対しては疑問を持ちました。
ここで言及している炎上屋とは、もちろん滝沢ガレソ氏のことです。ガレソ氏はなぜかアバターWOWを推薦するツイートを投稿してたくらいですから割と洋画好き寄りのスタンスだと予想できます。このクラスの大物インフルエンサーが取り上げてくれれば今回不透明な決議をしたドリパス運営に強く社会的制裁を加えることになるかもしれません。
しかし、それは同時にこれまでドリパスなど見向きもしなかった不特定多数の一般人が一気にドリパスユーザーになって押し寄せる可能性を伴います。そうしたらこれまで数百人の規模で戦っていたレースが一気に数千人規模に膨れ上がる可能性だってあります。
普通に考えると日本の映画市場は女性客とアニメオタクが支えていますから、女性客が好む日本のイケメン映画とオタクに支持されるアニメ映画が上位になるのは当然の流れです。
一方で著名なインフルエンサーが拡散すると、映画館に行かないネット民がドリパスを玩具にする危険も生じます。それこそ5ちゃんねるに掲示板が立って、そこで結託した人々が数の暴力で『とっとこハム太郎』とか『実写版デビルマン』とか『シャークトパスVS狼鯨』を無責任にランクインさせることがあるやもしれません。(笑)
むしろ今回は洋画ファンが結束して『インターステラー』に一点集中するという奇跡の流れになった(あべんた氏やたてはま氏の呼び掛けのお陰で)から、日本映画を押しのけて暫定2位まで食い込んだとも言えます。これはある意味ネット民がドリパスを玩具にするような集団行動を、たまたま少数派の善良な洋画ファンがやったから今回はこういう結果になっただけ、というのが私の観察です。
なお、あべんた氏は4月3日当日中には元気を取り戻し、再びTwitter上で草の根運動として『インターステラー』の支援者を増やす活動に戻られました。今回は本当に惜しかったので、来週こそ3位以内でゴールできれば良いですね。
●余談
ここからはすごく重箱の隅の、余談になるのですが、先のツイートで「500名が強く訴えて」と書かれている部分に私は少し思うところがあったので書いておきます。
これは全興連会長でgdcs池袋の社長でもある佐々木伸一氏が『洋画と実写邦画の客入りを増やす施策』をゆるく募集したツイートに対する回答で、あべんた氏が投稿したリプライを指します。
あべんた氏はリプライを使って『gdcs池袋のフルサイズIMAX環境が活用しきれてないので、インターステラーなどの規格合致する作品を定期上映すべき』という提案をして、同時にアンケートを実施しました。実に578票が集まり97.2%が『定期上映するべき』に投票しました。(メディアが非表示でしたら「表示」をクリックすると投票結果が反映されます↓)
提案内容は正論だと思うのですが、TPOに問題がありましたね。
まずいきなり喧嘩腰な文体なのも無礼で良くないですが(苦笑)、TPOとしてもっと重要なのは、もともとgdcs池袋のIMAXシアターは連日ほぼ満員の大盛況なので、そもそも佐々木伸一氏の問題意識はそこにない(と思われる)ことです。
だってそうですよね?
ここでは『もっとお客さんを集めたい』と言ってるのであって。
どうして今すでにお客さんが限界まで入ってるIMAX箱の運用を変える必要がありますか?(あくまで経営者の視点で考えてみてくださいね)
佐々木伸一氏は客入りが比較的よくない普通のスクリーンや、gdcs池袋以外の映画館やシネコンを人で埋める施策を募集しているのであって、現時点で順調なIMAX箱の運用改善案は求めていません。優先順位はかなり低いはずです。少なくとも私がgdcs池袋の経営者だったら、あべんた氏の提案は(たとえどんなに丁寧な言い方だったとしても)今回は無視するか後回しにしたでしょう。
映画はアートとビジネスが拮抗する難しい業態です。経営者にはこのジレンマの最適なポイントを探して日々努力する姿勢が求められます。ましてや佐々木伸一氏は全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)の会長です。
gdcs池袋におかれましては、令和4年には『NOPE/ノープ』のIMAX上映を期間延長(他のIMAXシアターがどんどん終了するのを尻目に)したり、令和5年には『イントゥ・ザ・ネイチャー 自然が教えてくれること』を採算度外視で1日2回上映にしてくれたり、少なくとも『フルサイズIMAXの作品を東日本ではここでしか上映できない価値』に自覚的で、アートに歩み寄った経営をしてくれていると私は理解しています。
言うても『イントゥ〜』の2回上映のうちの1回は朝8時15分開始なので、他作品の上映前にアサカツ感覚で1枠追加しただけとも揶揄できそうですが、それだって業務時間を早める劇場スタッフが必要になるわけで、劇場側はそういう追加コストを払って多くのIMAXファンに門戸を開いていると言えます。それこそ出社や登校の前にパパッと観覧できて助かる方も居られるでしょう。
私だって、貴重なフルサイズ対応IMAX箱は、もっとフルサイズ作品の再上映に使ってほしいと願いますが、現状ではIMAX箱がgdcs池袋の最大の稼ぎ頭であることは疑いようがなく、むしろそれで他の通常シアター箱の赤字を補填してシネコン全体で黒字にしている可能性だってあります。逆に考えれば、他の通常シアター箱の売り上げが伸びれば、IMAX箱をもっとアートに寄せた運営が可能になるかもしれません。
あと、こんな言い方はあまりしたくないですけど『インターステラー』は令和2年の『TENET/テネット』の直前にgdcs池袋で再上映した実績がありますからねえ。「それ、もうやったじゃん」という話です。あれはコロナ禍で他に大作映画が無かったという事情もあるでしょうけど。だから訴える題材としては、少しパンチが弱い気は正直します。1本に限定せず「ノーラン作品を中心にフルサイズ作品を順次」と書いていれば少し違ったかもしれないとは思います。
ただし作品チョイスに関しては、Twitterで意見を募るからにはバズりやすい物を選ぶのも肝要なので、あべんた氏はノーラン作品の中でも一番人気の『インターステラー』にあえて絞ったという背景があるかもしれません。だからこそ500名が賛成票を投じた可能性があるのです。なので、この判断については責める意図は毛頭ありません。
その上でですが、こちらも細かくて恐縮なのですが、あべんた氏は「500名が強く訴えた」と表記されていますが、実際には「500名は定期上映を望んでいると意思表明しただけ」で、強く訴えたのは一部の人達だと考えるのが妥当でしょう。おそらく大多数の投票者はあまり深く考えずに「定期上映があれば嬉しい」くらいに思って投票したのではないでしょうか。
私は当時あべんた氏のリプライを見つけなかったので投票できませんでしたが、仮に見つけていたとしてもリプライ全体が攻撃的なニュアンスなのでYESにもNOにも投票しなかった可能性が高いです。
それなりに実績も立場もある大人が「何かアイデアある人お願いします!」とフレンドリーに訊いてる場所に、第一声から「あなたは価値を分かっていませんね?」と挑発的で相手の名誉感情を損ねるような喧嘩腰で凸して、しかも提案内容が募集案件の本質からズレているので、手放しで賛同する気に私はなれません。
以上が「TPOに問題があった」と私が感じた理由です。
もし私が当時あべんた氏のリプライを見つけていたら、佐々木伸一氏の元ツイートに別の提案をしていたでしょう。gdcs池袋では全シアターで4Kプロジェクターを導入していながら実際の4K上映は全体の2割以下です。しかし最近の撮影現場では4K以上のカメラを使うのは当たり前ですから、ストリーミングサービスとの差別化を図るためにも、映画館では4Kの美しい映像(非圧縮の4K画質)をもっと売りにしていく、そのために配給会社への4KのDCP制作をもっと呼びかけていく。…というのが私の提案になりますかね。ただし、これとて全興連や劇場だけで対処できる案ではないので、採用される可能性はとてつもなく低いでしょうけれども。(DCPの仕様決定はおそらく配給及び制作側のイシューだと思われるため)
余談と称して細かい指摘をいろいろ書いてしまいましたが、最初に断ったとおりあくまで重箱の隅であり、あまり本質的なことではありません。
ただしビジネス思考の大人を文章で動かすのは難しいよなあ、と改めて実感したので、小言のように逐一書いたまでです。
フルサイズIMAX映画の一番人気作『インターステラー』のフルサイズIMAX上映を見逃した人達や、もう一度観たい人達や、何度でも観たい人達はたくさん居らっしゃるのは事実です(私もその1人です)ので、ドリパスなど信用の高いサービスを利用して、リクエストの声を形や数字にしていくのはとても大事で有意義なことだと思います。
今回このnoteを書きながら、私は3年前に職場で後輩から言われた言葉を思い出しました。「いやあ、今までマイルズさんに言われても正直そこまで納得できてなかったんですけど、池袋のIMAXで『インターステラー』を観て価値観がガッツリ変わりました。やっぱ違うんですねえ!ちゃんとしたところで観ると!なんか、今まですみません。笑」それまでも彼は映画好きでスマホでも満足できるタイプだったのですが、本物の作品をより良い環境(少なくとも日本では最高)で観覧すればここまで言うことが変わるのか、と私も強く実感した出来事でした。(私から質問したとかじゃなくて、彼からこの話題を振ってきたので相当感動したのだと思います)
『インターステラー』を筆頭に、フルサイズIMAXの定期上映が実現することを、私も望みます。
了。
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