星を繋ぐもの(Starlink)

 今や宇宙開発の最先端を行く民間企業として知名度も高いSpace Exploration Technologies Corp.(以下、スペースX社)。2002年にイーロン・マスクにより設立された数あるベンチャー企業の中の一社にすぎませんでしたが、今、そのスペースX社が地上のあらゆる箇所を星で繋ごうとしています。

 火星移住計画を目標に掲げて設立されたスペースX社は、当初その目標の壮大さゆえに話題性優先の事業者と思われていましたが、低廉なロケットや園周辺技術の開発で着実に実績を伸ばしてきました。2015年に使い捨てが当たり前だった垂直型ロケットの着陸回収を成功させ、一躍世界中の注目を集めます。その後も数々の宇宙開発プロジェクトを進めた同社は、ついに回収したロケットの再使用化に道筋をつけ、宇宙開発スペースを加速させます。打ち上げで使用されている同社のロケット「ファルコン9」は、2017年中には18回も打ち上げられ、今年、2020年中には新型のファルコンヘヴィを含め全24回のミッションが計画されています。
 こうした打ち上げラッシュの中でスペースX社が進めているのが、衛星コンステレーション計画です。
 「コンステレーション」とは星座の意味。星座のように衛星をつなぎ、その送信網によって従来十分にカバーできなかった地域に高速インターネットを供給しようという構想で、このスペースX社の衛星網を「Starlink(スターリンク)」と言うのです。まさに、星を繋ぐものですね。

 ただ極端に人工衛星を増やすことについては、天体観測の妨げになるのではないかと危惧する声もあがっています。現在、宇宙に上がっている人工衛星の数は7000〜8000と言われているのですが、スペースX社が目標としているのはなんと1万2000機。今後、これについては論議が深まることでしょう。

 今月7日にはアメリカのケープカナベラル空軍基地でスターリンク衛星の第3回目の打ち上げが行われ、60機の衛星が軌道に投入されました。これまでに投入された衛星の総数は180で、まだまだこれからという感じですが、本年中の打ち上げでは全てスターリンク衛星を搭載するとのことで、4回目はなんと明日22日の日本時間午前1時59分。
 地球上のどこにいてもインターネットで繋がれる日はそう遠くないかもしれません。

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