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Episode4|桃鉄ドラフト会議に込めた想いの軌跡 〜Season3〜 Part2

前回のエピソードはこちら

前回のエピソード3では、
「運営チームの一新」
「当時の環境に対する問題意識」
の整理を中心にまとめた。
1エピソードではまとまり切らず(まとめる気がそもそもなか…)、
Part2として筆を執る。

今日のテーマは、「桃ドラSeason3のこだわり」
では、早速いってみよう。


大会日程のスリム化

「一気に駆け抜ける大会があったっていいだろ」

①大会開催期間の長期化

要因としては主に日程調整難航と大会乱立によるもの。(一部寝坊により待望のセッティングが流れるという悲報も…) 大会長期化による一番の弊害だと強く思っていたことが1つあって、「準決勝、決勝と勝ち進めば進むほど大会の注目度が薄れていく」こと。「あの大会、まだ続いてたんだ?」みたいな。とてももったいないなぁ…って思ってました。 

Episode3|桃鉄ドラフト会議に込めた想いの軌跡 〜Season3〜 Part1より

1つの大会で最初から終わりまで大体3か月。
長くて半年続く大会を横目に、次回大会の構想を考えていた。
参加者にも、視聴者さんにも、運営自身にも終盤まで飽きられず、
人気絶頂の中、惜しまれながらも美しく完結した「鬼滅の刃」や「スラムダンク」、「バクマン。」亜城木夢叶の「REVERSI」のような。
桃ドラ Season3では、そんな美しい「短期決戦」を描きたいと考えた。

ジピョンが一番好きなジャンプ漫画が「バクマン。」
実写映画化もしている作品でイチオシ。友情×努力×勝利!

「桃ドラ3はコンパクトに。
でも中身は薄めることなくギュッと凝縮して。
アメリカンじゃなくてエスプレッソを飲んでいるような…
そんな濃厚な1ヶ月間を創りたい」
 

いつしかそう考えるようになった。

試合日程と種目を固定。予選は前夜祭を含めると16日で完結した
(1/7 ドラフト会議 1/14 前夜祭 1/15~29 予選リーグ)

 直前まで仕事等の関係でスケジュールが分からずに参加を断念or保留される方が出ることを織り込んだ上で、大会開幕1か月半前の12月1日の選手エントリー開始と同時に最短で1月末までのロードマップを示すことで前向きに参加をご検討いただける可能性を見出した。
 実際、日程を固定して大会を進行するのは1dayトーナメントを除けば桃鉄界隈の大会では初の試み。
冷静になって考えると、他のゲームタイトルの大会って割と日程が決まっていることが多くて、大会日程を参加者どうしに100%委ねる方式って実は少数派であることに気づく。(そこで大会の進行がどれだけ遅れようが、参加者に責任の所在を押し付けるのは心が痛いし実際難しい)

どちらにもメリデメはあるが、
大会長期化のデメリットが目立ちつつあった当時において、
「メリハリのある大会運営」
「盛り上がりを色褪せさせない工夫」
は欠かせないと判断した。

(大会に参加してない視聴者さんや推しのYoutuberがいる方で、当日に「〇時から配信します!」って急に告知されても見逃したり都合がつかなかったり…っていうのがあるので、情報公開はasapを徹底!)

もう1つは「全チームが同じ時間帯に試合をする」ことでより、
大会全体の「熱狂」が生まれやすくなるように設計した。

例を挙げると、1/15の開幕戦は全チーム20時から長期の試合で、
「70名を超える参加者全員が長期色に染まる日」
各チームの「開幕戦」を1/15に一本化することで、
各チームの「現在地」を外から見ても比較しやすくした。
この「外から見ても」という観点については「広報」の視点から後ほど詳しく書き残したい。
※桃ドラ1,2は大会日程を対戦オーダー確定後、参加者どうしの都合の良いタイミングで試合を実施としたので、各リーグの進捗度に差が生まれてしまった。

当然のこと「自分が関わらない対戦カードへの注目度」って下がりがちになると思う。
「自分が恋愛に夢中な時はそれしか考えられない癖に、他人の恋愛話には微塵も興味がない」、みたいな。
特に「敗退が決まってしまった大会について、途端に熱意がどこかに飛んで行ってしまい、興味が薄れてしまう方」って多くて、それが通常の人間の心理だと思っている。
 その状態を考えたときに、
「同じ日の同じ時間、同じルールで」という共通の接点を軸にした環境を大会運営側で半強制的にセットすることにより、
他リーグの配信への注目度合いが高まって、
折角配信してくださる各配信者さんの同時接続者数が少しでも増えたり、
大会全体の参加者間のコミュニケーションの本数が増えたりしたらいいな!
そんなことを裏でこっそり考えていた。

前夜祭の実施

開幕日の前日に1dayトーナメントを実施。
この前夜祭の対戦カードはドラフト会議前に公開するということで、
選手の参加有無もドラフト指名の戦略の1つに。
ルールを決める選手も抽選にて決定。事前に種目については発表されており、バラエティ豊かなルールが選択された。私のいたA卓は最終ターンまで勝敗がもつれる好ゲームになりました。

 「開幕戦前日に1dayトーナメントくっつけたら、大会開幕前日のボルテージを高める仕掛けとしては相性抜群だよね!」と考えた。

桃ドラ3の前夜祭のポイントは、前夜祭の組み合わせ抽選がドラフト前に行われるため、各監督は「前夜祭に出場するかどうか、するとしたら前夜祭予選から決勝まで誰と当たる可能性があるかを考慮して選手の指名検討の要素の1つに加えることができる」こと。

実際のところ各監督がどれだけ前夜祭を考慮して指名を組んだのかは分からないが、このような仕組みにした背景には「ドラフト会議当日の指名の戦略性を強化する」ことが挙げられる。

 前夜祭では1名が抽選の結果シード枠に当てはめられた。シードは初戦が免除され、準決勝からの出場になる。それがチームにとってはかなりのアドバンテージになるのだが、今回それを見事射止めたのが浦島さんだった。
 つまり、今回で言うと「浦島さんを指名することで前夜祭優勝する確率が高まる」=ドラフト会議の指名戦略に影響を与える ということ。

 これは対戦カードにも同じことが言える。例を挙げると、「A卓はジピョンとのーさんが同じ卓だから、ドラフトで2名を同時指名すればどちらかが準決勝に進む可能性が高まるな」各監督にこのような発想を促し、ドラフト指名を考える情報の1つにしてもらいたかったというのが今回の前夜祭の肝である。

前夜祭当日は対戦カードによっては「同じチーム2名vs1名vs1名の条件戦」になった。わたしはそうなる可能性があることを織り込んだ上で、「ドラフト会議自体の戦略性を強化する」ことを優先し、桃ドラ3ではこの決定をした。
チーミングがどうこうという話が後から出てくるケースもあるので賛否両論ある部分だが、そこは結果論。大会運営者として重要なことは、「こうした設計には裏側の目的や背景をブレずに持っておくこと」だと考える。流されてはいけない。(そこがしっかりしてさえいれば、誰に後からいちゃもんを付けられようとも、自信をもって大会進行すれば良い)(今後大会を運営したいor現在進行形でされている方へのMessage)

対戦種目のバリエーションの多様化

特に3年において幅広いルールのラインナップを確保。結果的に☆禁など、やり慣れていないプレイヤーを配置しやすいシンプルなルールが好まれる傾向があったのが個人的に想定外ではあったものの、試みとしては好感触を得る。

 桃ドラ Season3は「新しい桃鉄の楽しみ方」を示唆できるものにもしたく、主に私個人の希望で3年青番決めの対象ルールを大きく広げた。
ルールを考案された方が陽の目を見るような大会になったとしたら、
それにもまた価値があるだろうと考えた。

特に「海軍」や「田のつくカード集め」「男祭り」ルールについては私のゴリ押しで追加を決めた。海軍ルールに至ってはルールの生みの親かつ運営メンバーであるレイニーさんに海軍ルールの個人戦ver.を監修いただき、テストプレイを重ねて導入した。

 ドラフトが終わった今、このような「特殊ルール」が中々遊ばれていない現状は寂しいけれど、そもそも通常ルールの活況も失われつつある昨今なので発売からもうすぐ3年経過することも考慮すると致し方ないのかなと思う一方で、
 こうした新規性に富んだワクワクするルールを考案し、世にリリースしようとする方の心意気を今後も個人的に強く応援していきたい。

※桃鉄界隈には様々なローカルルールが誕生しており、ルールに何の制約もない「縛りなし」はもちろん、ゲームバランスを整えるためのルールが複数存在している。ひとりひとり得意とするルール、苦手とするルールが異なるため、個人の特性を加味したチームづくりをすることが「桃鉄ドラフト会議」の醍醐味。

桃鉄ワールドでもおそらく新ルールが誕生するだろうが、ルールを作るにはまずは「縛りなし」を遊び尽くす必要があるわけで、どんなルールが生まれるのか、3か月から半年後あたりを楽しみに待ちたい

広報機能の充実

 「桃鉄ドラフト会議」という大会の注目すべきポイントを1つだけ挙げるとしたら、わたしはこう答える。

「それぞれの監督・チームが歩んできた過程が1本の物語になっていること。12通りのストーリーそれぞれにドラマがあり、大会閉幕後も色褪せない”つながり”が生まれる」

外からは中々感じ取ることができない部分ではあるが、
今も開催されている桃ドラ3.5においても、きっと各チームで交流機会を増やし、1つの目標に向かう旅路の途中だと思う。
この「外から見えにくいドラマ」の全容は難しくても、一片だけでも外向けに展開できる仕掛けづくりを進めようと決意した。

それを一言でまとめて「広報機能の充実」に集約している。
運営メンバーのけり。さんにもご協力いただき、私と2人で分担して全チームへの取材・インタビュー配信を実施。各監督や注目選手にスポットライトを当て、チームカラーや印象的なエピソードが外向けに公開され、それぞれのチームがもつ物語に共感できるような環境づくりを目指した。

本当はもう少し色々やりたかったことあったけど、
「まずは最初の一歩目として新しいことを始めてみました!」
くらいで着地したかなと。

この「広報」って、「大会が持続的に盛り上がるか」という要素においてとてつもなく重要なことの1つ。…なんだけど、
実の参加者は既に大会の内側に深く入り込んでいるので、
「特に広報なんてしなくても大会自体の熱はずっと継続している」と感じる。
大会の「内側の温度」と「外側の温度」。
この2つを区別しないで一緒に考えてしまうと、実は上手くいかない。
そんなことを感じながら、後者の「外側の温度」まで大会運営者としてはフォローしてこそ、多くの熱狂を生み出せるような大会を創ることができることを実感していた。




エピローグ

  「桃鉄ドラフト会議」に触れた方の心に何かしらの思い出や感動を残せるような大会づくりができたらいいなと思い、
紆余曲折はありつつも、Season3まで何とか走り続けてきました。

 この「桃ドラ」という大会は桃鉄令和を愛する方々あっての大会であり、
決してわたしだけでは創り上げることはできません。
「桃ドラ」はみなさまと一緒に育っていった大会であると思っています。
いつもたくさんのご協力と温かいお言葉をいただき、
感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

さて。最後にひとつだけ。
「桃鉄ドラフト3.5」は一体どんな物語を見せてくれるのでしょうか。 
(桃鉄ドラフト”会議”じゃないこととか、4じゃなくて3.5なこととか、色々勘ぐってしまう部分はあります。

直近開催中の新しい「桃ドラ」
多くの桃鉄Loverの心を動かす物語になるよう、
心から願っています。


桃鉄ドラフト会議に込めた想いの軌跡

2023.10.08
Jipyeong


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