熟睡のわけ
ぐっっっっっっすり眠った。
いつもより深く眠りすぎたのか、すこし頭痛を感じる。
2日前に受けたセラピーを思い出す。
韓方よもぎ蒸しとタイ式セラピー。
よもぎを煎じた蒸気を下半身を中心に体全体に浴び、発汗してデトックスするよもぎ蒸しと、内臓と子宮のマッサージを体験したのだ。
***
年下の友人・タカハシちゃんがある日突然、カラダと心のケアをする人になっていた(突然というのは、わたしの見方。もともと彼女は、おいしいごはんをつくる人であった。そこから本質を見つめつづけ、カラダと心にたどり着いたようだ)。
タカハシちゃんの施術をはじめて受けたのは、去年の秋。独立したばかりの彼女から、「ぜひ施術を受けてほしい」と連絡をもらった。
二つ返事で承諾し、贅沢にも自宅での施術がかなった。
すこし肌寒さも感じるなか、彼女がそっとカラダに触れた。あたたかさが残る手だった。
「こりゃあいいセラピストになるな」
しばらくすると、とろとろと夢と現を行き来する身となった。
効く〜! とかそういうことではなく、ただ静かに二人でそこにいた。タイ古式マッサージのようなアクロバティックな動きの施術を「陽」とするなら、このセラピーは「陰」の要素が強いという。
子宮のマッサージが終わる頃、自分の中から言葉が湧いてきた。
「いろいろと思い悩むことはあるけれど、これまでだって何度も乗りこえてきたんだから。大丈夫!」
はじめは、不安でがんじがらめになってしまう自分の言葉とは思えなかった。それほどにやさしく、すべてを肯定する言葉だった。
労りの言葉を素直に受け入れると、涙が出た。
***
「あずささんのカラダは素直です」
2日前のタカハシちゃんのセリフだ。
この度はサロンにお邪魔し、よもぎ蒸しとマッサージのたっぷりコースを体験した。
よもぎ蒸しに使用するよもぎのブレンドを、ひとつひとつ香りをかいで選ぶ(実に10種類以上!)。
「これとこれは似ている気がする。……兄弟?」
と言うと
「そうです! すごい! 天才!」
と褒めてくれた(タカハシちゃんはいつもいつも褒めてくれる)。
そうして、〈梅雨と夏の養生ブレンド(胃と脾臓)〉を選んだ。
最初にカラダのようすをチェックしてもらう。
ここが疲れていますねとか、凝っていますなんてことは言わない。「何か感じることはありましたか?」とだけ。
すこし考えてから、こう伝えた。
「悲しみ……がたまってしまっている気がするので、今日は開放できるといいな」
そうですか、わかりました。
そう言って、準備にとりかかった彼女の目には、かすかに水がたまっていた。
このマッサージはなんというか、シンクロする力が上がる気がする。
こちらが悲しいと、相手も悲しい。
感情だけでなく、体温や脈の速度までも一体になっていると感じるときがある。
30分よもぎ蒸しを浴び、汗を十分にかいたところで、内臓のマッサージをしてもらう。目をつむったとたん、とろとろとする。
カフェの2階にあるサロンは、カフェのオーナーの好意で自宅の一室を借りている。そのため、夕方になるとオーナー家族の子どもたちが元気よく帰って来る。どしんどしんと、子ども怪獣の足音もする。
にもかかわらず不思議だ。ずっととろとろとしていた。むしろ怪獣の足音すら、心地いいと感じていた。
施術が終わった頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。タカハシちゃんは、真っ暗な中で集中し、わたしのカラダと向き合ってくれていたのだ。
***
施術を受けたその晩はよく眠れなかった。
「2、3日かけてカラダの変化を観察してみてくださいね」
そう言われていたので特に気にしていなかったが、2日目にきたか〜。
カラダはやさしい。
これを意識すると、すこし安心できるのかもしれない。
spetial thanks to 韓方よもぎ蒸し・タイ式セラピー「真ん中」
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