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J3優勝へのカウントダウンコラム②

二回目の決戦前夜。選手たちからいつもと変わらず、もう一度仕切り直してという言葉がよく聞こえてくるので、私も先週の流れをトレースして臨むことにする。

先週は期せずしてとんかつを食べたのだが、今週は狙ってカツ丼を食べた。そして今こうして文章をしたためている。

しかし、これまで何も手にしてこなかった俺たちの前にJ3とはいえ優勝というドデカいものが見えている。こんな状態でいつも通りやれというのが無理な話だろう。明日のミクスタも少し浮ついた雰囲気はあるだろう。それを感じ取って選手たちの動きが違うかもしれない。でももっと上を目指すのならこういう時にしっかり勝ちを拾うことが全てだ。俺たちも、選手たちも、これからの成長のために今しか味わえない雰囲気を存分に味わおう。そしてその先にはきっとシャーレがあるはずだ。

前回の池元友樹の文に関してはそこそこ見てもらえたようで喜んでいる。自己満足の文章とはいえ、やはり文章というのは見てもらえてなんぼなので反応してもらえると非常にありがたい。そして北九州サポーターの池元友樹への愛を存分に感じた。

今回は前回の内容と一緒に書くつもりのそこまで大した話ではないのだが、池元友樹への愛が溢れすぎたために一緒にすると酷いことになりそうだったので仕切り直した。

では今回。これで一旦終わりのつもり。

「誰も欠けてはならぬ」

タイトルはトゥーランドットのオマージュだが、そんなのは別にどうでもいい。

先週の試合前に円陣で話している動画を見ただろうか?岡村和哉がその話の中で「誰一人欠けても今この順位にはいなかった」という旨の発言をしている。サポーターもこれに近い気持ちを持っているのではないだろうか。残り試合はあと二試合しかないが、許されるなら今年のこのメンバーで何処まででも進んでいきたいと、そう思っている。

少し真面目に今年のチームの振り返りをしてみる。岡村和哉の名前が出たので守備陣から行こうか。

GKは高橋拓也が正守護神だが、今年の最終ラインを高く保って拓也自身もビルドアップに参加するやり方が合っているようだ。守備陣との連携でシュートを打たれてもコースを事前に切ってあるからイージーなセーブになる、そんな展開が多い。ただ拓也も安泰なわけではなく、後藤や開帆(最近のセカンドチョイスはほぼ後藤だが)による突き上げもあり、切磋琢磨で良い流れが出来ているように思う。

DF陣は新加入の岡村和哉・寺岡真弘によって完全に生まれ変わった。寺岡に関しては出戻りになるが、かつて所属していた頃とは双子の別人か? と思うくらい素晴らしい選手になって帰って来た。当初、岡村は飄々と静かに落ち着いて戦い、“軍曹”寺岡が激しく熱く戦うという「静と動」「冷と熱」のような対照的な良いコンビだと思っていた。試合中はそうなのだが、岡村和哉のムードメーカーぶりがシーズンを進めるにつれてどんどん発揮されていく。不真面目に見えるくらいおちゃらけているのだが、締める時にはしっかり締める。そんな格好いい大人が守備陣の中核を形成しているのだ。讃岐戦後には讃岐サポーターのところに挨拶に行き、「讃岐があっての今の俺やから」と言う姿は本当に惚れてしまう……オカさんLOVE。。FM KITAQのFacebookに上がっている熊本戦後のインタビューを引用する。

(略)もう今の時期は何言われてもいいから。もがいてく姿も楽しんで欲しい。色々こういうプレーもしたい、このプレッシャーあったらこれしかできへん。こいつらなんかかたくなってるなーっていうような見方をして楽しんで欲しい。
やる事やって来てるから俺らも。後はそれを試合に全部出す。残りしっかりしめていくのは俺らおっさんの役目やから。

いや格好よすぎか。岡村和哉の記事になってしまうので次へ。

最近は岡村or寺岡と河野が組む形がメインになっている。河野は本当に試合を重ねる毎にどんどん良くなっている。これも岡村・寺岡がどちらが出てもほぼ同じ水準で守備陣を締めているので、河野がある程度自分の仕事に集中して遂行できているような部分があると思う。讃岐戦ではようやく生駒仁も登場し、更なる守備陣の強化を期待させた。生駒は来年もいるでしょ?

SB陣。初期は左サイドを新井が勝ち取っており、鳥取戦でのゴールなど今年の左サイドは安泰だと思っていたが、途中から福森がポジションを左に移して奪い取った。最近の福森は“ダイナモ”として守備に攻撃に凄まじいハイパフォーマンスを見せている。奪われた新井は小林監督も言うように更に強くなるチャンスで、来年も左サイドの競争が激化しそうだ。右は現在野口が完全に君臨しているが、これは夏に加入した髙橋大悟とトリッキーな攻め上がりがハマってからはこちらも欠かせない存在となっている。もはやウイングでは? というような攻め上がりに最終ラインに全力で戻ってと、本当にSBというのは過酷なポジションだなあと感じる。川島大地や、茂がたまにSBをすることもあるが、大地はベテランの落ち着きやトリックがいい具合に効いている。茂はSBよりはもう一列前で見たい。

守備陣でこんなに時間かかると思わなかった。

次に中盤。ボランチは基本的に川上竜・加藤弘堅・藤原奏哉の3人からのチョイスで、ベンチの事情によっては國分も十分にボランチでやれている。初期は川上・藤原のコンビが多かったが、どちらも守備的な意識がわりと強いので加藤弘堅がチョイスできるようになってからは攻撃の手数がかなり増えたように思う。公式の「シマダノメ」加藤弘堅回で詳しい話が書いている。個人的にも弘堅を入れると攻撃はすごく回るものの、一手出すのが遅い場面で奪われてピンチを招くなど少し怖い部分があると思っていた。最近はその辺りを完全に改善したのだろう。相手の寄せに合わせて簡単にはたく時、溜めて時間を作る時、一発で裏を狙う時と様々な使い分けをしているなと感じる。こうやって辛い時期を知るベテランがもう一皮剥けてポジションを奪い取る姿は泣ける。弘堅の試合後の涙も合わせて泣ける。

現状で加藤の相方はほぼ藤原奏哉になっており、奏哉が本当に渋い働きをしている。加藤弘堅の美しいパスや、國分や髙橋大悟のゴールのような目立つ動きはそこまで多くないが、相手のカウンターの芽を摘み取ったりゴールに繋がる起点は奏哉のパスカットだったりと、一家に一台は欲しいような存在である。そして両サイド。左は新垣パターンと國分パターンができている。新垣の場合はドリブルキープできるので溜めを作り、その後ろを福森が駆け上がってサイドを深く抉るような攻撃ができる。パスのセンスがいいのでFWが裏を取るラストパスなどもよく見られ、いい攻撃が生まれる。ただ、シュートの感覚がまだいまいち合ってないのか、もっと積極的に打ちに行ってもいいのにと思うときはある。一点取れば何か掴むかもしれない。國分はバランス感覚とサッカーIQが相当高いなと思う。YS戦で大悟がPKを獲得する裏へのボールや、群馬戦で中盤のルーズボールをモノにしてから前を急ぐのではなく、落ち着いて加藤に振ったパスとか、讃岐戦の得点に繋がるサイドチェンジなど空間の把握が非常に上手い。それでいて自分で仕掛けることもできるので、後半途中までは國分でバランスを取りつつ上手くやり、相手が疲れてきた頃にドリブルでかき回せる新垣や椿を入れるという今の流れはかなり納得できる。國分も来年いるよね。

右サイド。もうこれは髙橋大悟の印象が強すぎる。救世主髙橋大悟。散々語り尽くされているのでここでは敢えて書かない。清水さんなんとか残留頼みます。来年もよろしくお願いします。何卒。来年磐田戦で活躍する大悟を見に来ておくれよ!!!頼むよ!!!

さてようやくFW陣に。本来こんな長々とやるつもりじゃなかったんだ。。ここまでどこのポジションでも「誰も欠けてはならぬ」チームであったが(名前出してない選手も頑張ってるんだよ、そこまで触れたら今日中に書き終わらないから)、個人的に一番欠けてはいけなかった選手。

ディサロである。

今でこそ町野や北川の影に隠れて少し壁にぶつかっているような部分はあるものの、後半戦から出場機会が少なくなっていったにも関わらずチームトップタイの7ゴールを挙げている時点でその貢献度は計り知れない。

ただ、そういうことよりも今年このチームに火を点けたのがディサロであると思っている。

監督も変わりシーズン前からキツい練習を続け、何か手応えのようなものはきっと選手たちの中にもあっただろう。ただ、公式戦ではどうなるか。

過去二年どうやっても報われなかったそんな記憶の中で、少し怖さも感じながら入ったかもしれないFC東京戦。ディサロの劇的な先制弾。あの瞬間、チームもサポーターも今年は行けるという根拠のない自信が宿ったのではないか? あのゴールがもたらした精神的な影響というのはとてつもないと思う。

ディサロは長野戦・C大阪戦・富山×2と、勝ちに繋がるゴールが少ない。ただ、富山戦はいずれも先制されて追いつくゴールであるしどちらも北九州の試合が出来ていたとは言い難い。シーズン後半の富山の追い上げを見ても、もしこのゴールがなく富山に6ポイント献上していたら? 現在この場所にいるのは富山だったかもしれない。一歩一歩、こうして積み重ねてきた先にある今の立場なのだ。ディサロには今厳しい時期かもしれないが、彼の持つ熱さが、エゴイスティックな姿が必要になる場面がこの先絶対に訪れる。その時まで悔しさを胸に爪を研ぎ続けて欲しい。

池元友樹に関しては先週書いたので割愛。町野はシーズン当初と比べて信じられないくらい素晴らしい選手になった。最初はたまに気が抜けるところが見えるというか、疲れてきた頃にそれが表に出すぎる選手だなあと思っていたが、今は7つの肺を持つ男(古い?)のような最後まで走り切る献身的な選手へと成長した。そして北川柊人。久々に生粋のストライカーを目撃している。“そこにいる”のだ、本能で動くストライカーは。讃岐戦の4点目、あんな力のないシュートとは言えないようなシュートでも、そこにいれば点は取れるのだ。町野は北川の得点力に恐れと羨ましさを感じているかもしれないが、あれは真似してはいけない。奴の“本能”を真似するくらいなら今の自分の武器に磨きをかけろ。本能本能と言うが、もちろん監督の求める守備意識だったりチームプレーをできるから使われている。ただ、試合中に自分が咄嗟にいるポジションを決めるのは“本能”に他ならない。町野も北川も来年いるよね。いるんだよ。北川はインタビューの時の汚いタオルに目が行って気になって夜しか眠れない。最後に佐藤。相模原戦でのセンセーショナルな勝ち越し弾はあったものの、その後はあまり出場機会を確保できていない。今年様々な若手が出場機会を得てその力を伸ばしていったので、彼も沢山試合に出ているところが見たいところではある。

死ぬほど長くなってしまったが、とにかく今年のチームは誰も欠けちゃいけなかったんだよ!!!ということが伝わっていればそれで良い。

今年本当に思ったのは、勝つことで得られる自信というのは成長への一番の近道なんだなあということだ。J3優勝チームが勢いそのままにJ2でも旋風を起こすことが近年続いている。J2の下位で負けが多いチームと、J3で勝ち方を学んで来たチームでは後者の方がパワーを持つのかもしれない。ただ、来年はどうなるかわからないということと、若いチームは自信によって力を得られる速度が桁違いに早いものの、一度失うと崩れるのもまた早いということだ。そこはベテラン陣や小林監督の経験が生きてくるポイントだ。

来年のことも楽しみだが、まずはこの誰も欠けてはいけないチームでひとつ大きなものを掴み取ろう。終わったら小倉の街に繰り出して黄色に染めよう。そのために私は有給を取ってきた。

さあ、ピリオドは自分たちの手で。


#もろびとこぞりてミクスタへ


「誰も欠けてはならぬ」おわり

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