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ドイツ、ライン川一気下り

1999年7月作成

今まで自分が行く事など全く想像もしていませんでした。

「ライン河下り」

ドイツの観光でまず思い浮かぶ人も多いこのフレーズ。

はっきりいっておのぼりさんです。

正直あまり魅力は感じていませんでした・・・

 

ライン川は遥かアルプス山脈からはるばるオランダまでドイツ西部を流れる1320kmの河です。

観光のハイライトはシュツットガルトから北へ車で約2時間のマインツという町から、さらに北へ車で2時間のケルンまでの地域だそうです。

特にマインツ~コブレンツ間が一番名所が多くあります。 

 

7月2日(金曜)

シュツットガルトを車で出発し、北西へ2時間。 ローテンブルクを観光。 夕方に一路西へ3時間、ハイデルベルクに泊まる事にしました。 ラッキーな事にハイデルベルクで最古(400歳以上)の屋敷で名所にもなっている「ツム・リッターホテル(騎士の家)」が飛びこみで予約できました。

到着したのが夜10時を過ぎており、ホテルで食事ができません。

町はまだ宵の口でにぎわっているのでホテルを出てまっすぐ3分ほど歩いて行くと、いきのイイジャズが聞こえてくる店がありました。

吸い込まれるように中へ入ると、生バンドのジャズトリオが演奏する「コントラ・バス」というレストランバーでした。

ラッキーが重なり、おしゃれなBGM付きの食事にありつけました。

7月3日(土曜)

朝9時頃からハイデルベルク城に登り、その後市内を散策して午後1時頃に町を出発、進路を北に向かってコブレンツという町を目指します。アウトバーンで約2時間半程度。

ホテルのオジさんがコブレンツに行く事を話すと親切にもライン川沿いの一般道がある事を教えてくれました。

ハイデルベルクから北へ1時間ほど走ってから進路を西へ変え、30分ほど走るとリューデスハイムという町があります。

ここから一般道がライン川沿いに北へのびており、穏やかな河の流れを見ながらドライブする事ができました。

ライン河はこの辺りの幅で枚方の淀川の3倍ぐらいでしょうか。

ゆったりとした流れで、多数の観光船や貨物船が行き交っています。 川沿いに綺麗な町があり、そのコントラストを見て初めてライン川の良さが分かってきました。

 

ゆっくりと左にライン河を見ながらドライブし、約3時間ぐらいかけてコブレンツに到着。 ここはライン河とモーゼル河が合流する地点で、ローマ時代は交通の要所として要塞なども建設されて発展した町です。

エーレンブライトシュタイン要塞はライン河を挟んでコブレンツの町とは反対の東岸側の丘の上にあります。

車で上がる事ができるので岩壁が両側を囲む通路をぐるっと登って行きました。 さすが要塞だけあって所々に大きな木の扉や橋があり、昔の警備の厳重さを感じます。

5分程で到着、登りきるととても大きな広場になっていて、今では観光用の展望台になっています。

そこからは対岸のコブレンツの町が一望でき、眼下の左右に流れるライン河に正面奥からモーゼル河が合流しています。

その合流地点は「ドイチェス・エック(ドイツの角)」を呼ばれるデルタ地帯となっていて、巨大な騎馬像とドイツの州旗が見えます。

注意してみると河の水の色が違う事に気付きました。 ラインはにごった深緑色をしていて、モーゼルは黒っぽい色をしています。 ちょうどドイチェスエックの所で色がくっきりと分かれていました。

ドイチェスエックのすぐ近くのライン河のすぐ前のホテルが空いていました。これもラッキー。(屋根裏部屋でしたが) 

 

これ以上北へ行くつもりはなかったのですが、なかなかここまで来る機会もないし、夜の大聖堂の写真がとても印象的だったので元気を出してケルンを見に行く事にしました。

少し休憩してから車で北へ更に1時間、途中ボンを通過してケルンを目指しました。

ちなみに現地では「コルン」に近い発音をします。 フランス語では「コロン」だそうです。 そう、ケルンはオーデコロン発祥の地なのだそうです。(EAU DE COLOGNE:ケルンの水)

 

人口100万人を超える大都市なので、道も分かりにくく、迷いながらも無事大聖堂前の地下駐車場まで到着。地上への階段を登りきると、ちょうど大聖堂の広場に出ました。

なんと大きい事! 霞ヶ関ビルより高い157mの塔が2本そびえており、ドイツの3大大聖堂のトップです。

見事なゴシック建築で、圧倒的な迫力を感じました。

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夕食を広場のレストランで食べ、暗くなる10時頃に車に乗り、町の東側にかかるライン河の橋を渡って遠くから大聖堂のライトアップを見る計画でした。

散々迷いながらも何とか橋へ到着、光の少ない質素な町の中に異様なまでに大きい大聖堂が青白いライトを受けてますます大きく見えました。

期待を裏切らない絶景でした。 あまり夢中になってしまい橋の途中にあるスピード違反カメラにやられましたが・・・

夜11時半頃にケルンを後にし、ホテルのあるコブレンツまでひいこらいいながら戻りました。

 

7月6日(日曜)

いよいよ待望のライン河下りです。 計画では行きは少し南のボッパルトという町から蒸気船に乗って河を上り、リューデスハイムの少し前のビンゲンという町で下船。

そこから今度は「ライン・ジェット」という高速艇でボッパルトまで下るという往復約5時間コース。

蒸気船はとても優雅なのですが、それでコブレンツ~マインツを往復すると10時間以上かかってしまうので、さすがに断念しました。

 

朝9時にコブレンツを出発して車でライン河西岸を20分も走るとボッパルトです。

そこで車を停めて観光船を待つ間に少し観光をしようと思っていたら、おもわず覗いた教会のミサに断れず参加してしまい、出発ギリギリまでいました。

 

10時に巨大な蒸気船「ゲーテ号」に乗って、いよいよライン河上りが始まりました。 小さなタイタニックを思わせるような優雅な客船です。 汽笛も「ボーッ!」と鳴ります。

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天気も日中30度を越す晴天で暑すぎるぐらい、甲板のひなたに座っているとよく焼けます。

河はゆるやかに蛇行していて、河の両側は小高い山に囲まれています。 時折小さな町が両岸に現れ、山の左右はある部分ではラインワインのぶどう畑になっていたり、またある所では険しい森となり、その斜面に城があったりします。

比較的小さな山城が多く、主にグレーの石造りになっています。

「ネコ城」「ネズミ城」「ラインフェルス城」「シェーンブルク城」などなど大小十数個の城と8つの小さくて綺麗な町がわずか100kmほどの距離の間に点在しています。

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楽しい時は早く過ぎ去るもので、おのぼりさんも終わって帰りの「ライン・ジェット」に乗換えて帰らねばなりません。

船着場で蒸気船を見送って桟橋で待っていると、遠くから異様な速さのモーターボートの親分が来ました。

まさかとは思っていたけど、船体には「Rhein Jet」としかっり書かれています。 想像ではもう少し大きくて開放感のある船かと思っていたので唖然。 更に乗組員が東南アジア系のおっさんだったので、とても怪しい感じがしました。

 

渋々屋根の上から乗船し、天井のハッチから船室へハシゴをおります。 中はぎゅうづめの50人乗りぐらい、狭いし暑いし窓は空かないし揺れるしめちゃくちゃ早すぎてボーンと波の上を跳ねるし、視点も波の高さぐらいなので何も見えないし・・・ もう早く着ける事意外はメリットは皆無でした。

 

蒸気船では日本人は一人もいなかったのに、このジェットには結構日本人が乗っていました。 ・・・日本人らしいというか悲しいながらも納得。

 

ボッパルトに夕方5時頃に無事到着、ほっと一息ついて、そこから車でフランクフルトを目指しました。

ライン河西岸の道路をゆっくり走って、途中観光のおさらいと「古城ホテル」の下見をしながら帰りました。

フランクフルトの「ケンピンスキー」ホテルに宿泊。 この系列はヨーロッパではかなり権威のあるホテルチェーンで、フランクフルトのこのホテルにはクリントン大統領なんかも泊まるそうです。

フランクフルト郊外南東部の森の中にあり、静かな環境で最後とばかりに奮発して贅沢に過ごしました。


終わってみれば素晴らしかった「ライン河」下り、正確には上りが中心で、下りはジェットであっという間に終わりましたが・・・

全ての建物や風景が、それを見に訪れる人達の期待を裏切らない美しさと古さを保っています。

はでな看板広告や四角いビルはどこにもありません。 日本でも少しは見習いたいものです。

 

どこへ行っても歴史の重みと独特の雰囲気があります。

今まで全く興味の無かった世界史なんかも改めて勉強して、これらの素晴らしいものがどうやって出来上がったかを知ってみたいと思うようになりました。

逆に日本についても全然知らない事ばかりで、外国の人達に日本の素晴らしい部分を少しでも伝えられるようになればとも思います。


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