【海街diary】すずはいつ家族の一員になったのか?・・・そして家族になる
映画「海街dairy」で鎌倉の三姉妹の家にきた腹違いの妹、すず(広瀬すず)。大人しく三姉妹の言うことを聞いて、自分の意見を主張しない。でも、それは三姉妹とは家族になれていない証左なのだ。
では、すずはいつ家族の一員になったのだろうか?
三女の千佳(夏帆)がカレーを作り、すずと2人で食べるシーン。
千佳がお母さんのシーフード知らないんだよね、と言う。私にとってはカレーと言えば、おばあちゃんのちくわカレー。そう言ってちくわカレーをすずと食べる。実は、その少し前に、四姉妹が集まってお母さんがよく作ってくれたというシーフードカレーを食べる出来事があった。長女と次女は懐かしく食べていたシーフードカレーだったが、実は千佳にとってはそうではなかったのだ。すずはその意外な事実を知って千佳との距離を短く感じたのであろう。すずも「嘘ついてた。実はしらす丼食べたことあったんだ」と告白するのである。
そしてすずは千佳から「お父さんのこと、教えて」と言われるのだ。「お父さんのことあんま覚えてない。すずの方が思い出いっぱいあるね」と。すずは、初めてお父さんのことを肯定してくれる存在に出会った。それまでは、すずは忌々しい存在として、仙台でも山形でも居場所がずっとなかったのだ。この笑顔である。
そして、鎌倉の家の柱にすずの身長を刻むのが象徴的なシーンだ。柱に刻んであった幸、佳乃、千佳の年齢と身長を読み上げるすず。そこに、幸(綾瀬はるか)がすずの身長を測って書き込む。最高に美しいシーンだ。
私も夏休みに祖父の家に帰省したときに、柱に身長と年齢を書かされていた。是枝監督は、柱に身長を刻むという日本の日常にある文化を上手く映画にしている。
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