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永遠の桎梏

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映画「エレジー」(主演 ペネロペ・クルス  ベン・キングズレー)

年老いた男が若い娘と深い仲になった時、一番恐れるのはやはり若い男の出現である。放っておけば、奴は必ずやって来て、彼女を当たり前のように攫って行く──。老いた男は四六時中、その瞬間を恐れるようになる。このデイヴィッドのように。

そこから逃れるには、彼女を結婚という桎梏に嵌めるしかない。デイヴィッドは、彼自身がその桎梏に嵌まるのを恐れたようだが、通常の老いた男はそうではない。それを実行すれば、そう遠くない将来、彼女の重荷になることが男には分かるから、おいそれとそれができないのだ。

だからと言って彼女を諦めきれるわけでもなく、このまま関係が続けばいいなどと身勝手に夢想する。

そうこうしているうちに、この関係に明るい未来はないと断じた彼女から別れを切り出される。

「わたし、あなたと居てもときめかないの」

などと最初は遠回しに言われる。老いた男が納得できないでいると、

「好きな人が出来たの」

と単刀直入に告げられることになる。本当かどうかは問題ではない。それが唯一無二の説得力ある答であることを彼女も知っているのだ。

女性はよく、「恋愛と結婚は別」などと嘯くけれど、結婚という未来が見えないと知った時点で、その恋愛は覚めてしまうものらしい。このコンスエラのように。

通常なら、そうした異常な関係はそこで永遠に終わる。彼女に何が起ころうと二度と電話がかかってくることはない。しかし、コンスエラはかけてきた。なんのために? 死ぬ運命にある彼女がデイヴィッドを永遠の桎梏に嵌めるために。若い男には効かない。年老いた男であればこそ、その桎梏は嵌まる。

画像引用元 Le cahier de Kobe

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