忍殺ヘッズがロシアの特撮映画「ガーディアンズ」を見てきた

このタイトルを見てクリックした人はおそらくほぼヘッズだと思うので、以下の文章はすっ飛ばしてしかるべきなのですがなんかの間違いでクリックした人もいるでしょうから一応書いておきます。

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まず皆さんは忍殺、つまりニンジャスレイヤーというものをご存知ですか。
普通の人は知らないと思います。それは正常なことでございます。
ちょっと知ってる人は「あ、夜やってたわけのわかんないアニメか」「アイエエエの小説でしょう本屋に分厚いのが置いてある」「用語は知ってる」「ネットで検索するとひっかかってウザイ」ぐらいの感じでは無いでしょうか。

詳しくは ニンジャスレイヤーの翻訳チームが書いているnote記事の本家本元に詳しく書かれているのですが、要はちょっと欧米の人が間違えたジャパン感とサイバーSFを混ぜた背景で特大の異能力を得てしまったダークヒーローが同じ力を持った異能力者、即ちニンジャと闘い、殺し、共に闘っていくという話でございます。
そのお話は割と皆さんが思うよりディープな人気がございましてファンの人たちを称して「ヘッズ」と称するのです。なお平沢進のファンは「馬の骨」と称します。

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さてまず最初に言いたいのは上記のちょっと間違えた世界観で闘う異能力者が好きなあなた・・・もしくはヘッズなら「ガーディアンズ」を見てしかるべきだということです。
そしてソビエトやロシアの機械が大好きな人・・・そして兵器が大好きな人・・・が好きなんじゃ無いかな?わたくしはあんまり兵器詳しく無いけどいつも見たこと無い戦車とか戦闘機とか見て楽しかったもん!ミグ久々に見たし!

閑話休題、ガーディアンズとぐぐるとハリウッド映画のガーディアンズオブギャラクシーがまず出てきますので「このタイトルを決めたのは誰だぁ」と海原雄山並みの顔になりそうですがぐっとこらえまして、あらすじを紹介します。
なお、大事なことなので先に言っておきますがこの映画はネタバレされて面白みが減るというものではありませんのでフルスロットルでいかせていただきます。

かつてのソビエトの時代、遠隔操作で機械を操る研究をしているクラトフ博士がおりました。そして遺伝子操作を行う博士もおりました。クラトフは失敗し、遺伝子操作の博士は成功。
それをねたんだクラトフは同じような研究をして結果を自分のものにしようとしましたがバレまして研究所を爆破して行方不明、結果生まれた異能力者は年をとることも出来ず長いこと田舎や大都会でひっそりと、そしてその異能力を逆になんかの特撮と思い込ませることで隠れ住んでおりました。
しかしクラトフ、その時の爆破で異能力を身につけまして機械を操る力で世界を征服にかかるわけです。
まず無人のトラックや戦車、多足高機能戦闘マシンなんぞ操りまして拠点を制圧、そして自分のクローンをもりもり作って戦わせ、日本でいうとスカイツリーをぽっきんと折りましてそれをアンテナにして新宿のど真ん中にすえましてアンテナにし、そこから世界の都市を滅せる旧ソビエト時代の衛星をコントロール、そして世界中の通信機器をコントロールしようと企むのです。

そこで軍がこれはいかんとクラトフに作られた、もしくはその時の遺伝子操作を自分でやってた異能力者4人がかき集めましてあっさりと「クラトフやっつけるぞー」モードに入ります。
この辺はハリウッドなら個々の恋愛何ちゃらを入れて30分ぐらいやりますでしょう。しかし尺が短いせいなのかロシアの感性に合わなかったのか「個人にべらべら喋らせる」で済ませております。
が、軍の裏切りもありましてあっさり冒頭で3人捕まったりとそう簡単にはいかないのですが軍のNo.2のてきめんなロシア美女が孤軍奮闘、がんばれがんばれと尻を叩きつつ強化スーツこさえさせたり「わしが遺伝子操作の博士です協力しにきました」があったりしまして最後は4人の素晴らしい協力技でアンテナと通信機器をばりばりと壊しましてやれめでたしめでたし!クラトフは行方不明!2あるからな!という終わりでございました。

ヘッズなら、そして特撮好きならあらすじだけでわかると思いますがこの映画はあらゆるもののオマージュをきちんと突っ込んでいてゲップが出るぐらいなのです。
まず直接的なニンジャオマージュとしての異能力者としてハンというのが出てきます。電光石火。特製シミター二刀使いでなんでも切ってしまう。異能力発揮の際は日本のアニメ表現によくある「瞳が無い」を見事に再現。
最初の登場シーンは三菱やトヨタの武器付強化ランクルに乗ったジャパニーズヤクザマフィアをぶった切るという分かりやすさ。
己の中に響く玄田哲章さんの「ザッケンナコラー」を再生しながら拝見しておりました。
他にテレキネシスでその辺の石を操り自らの鎧や武器とする元修道士レア、不可視能力を持っているクセニア、賢い博士が熊に変身してすげー強いけどその間はちょっとおバカちゃんになってしまうアルルス、などなど「あ、どこかで!何かで!なんとなく!」とヘッズでなくても思うのでは無いでしょうか。
みんなで闘っているところでは荒野の三忍を彷彿とさせますし、クラトフはあらゆる機械を操る?アルゴス?電気バリバリするところはアガメムノン?
こんな感じで見ておりました。

しかしニンジャスレイヤーだっていろいろなもののオマージュでもありますから、この程度のもので見るべきだと勧めているのではありません。
見ていただきたいところは「ちょっと勘違いした世界観」ここでございます!
むろん場所はロシアそのものなのでその辺りは間違ってもよーわからんのですが、わたくし達がロシア、そしてソビエトに持っている世界観を逆利用している、と端々に滲み出させているのです。
見ればわかるのですが彼らは特大の科学力を持っている設定になっています。
研究基地のコントロールセンターは透明パネルに対象が描写され、フリックやタッチで操作。映像付会話は当たり前。強化スーツすげえ。
なのになんで基地の入り口が蛍光灯なんだ!白熱灯使ってるんだ!
注射がいちいちガラス筒だよ!わかりやすい緑色の液体が入ってるよ!
おじいちゃんそのPCいつのや!うちにまだあるPC8801より絶対前のやつまだつこうとるんか!わしゃこれしか扱えんのじゃパターンか!
というかなー、世界を滅ぼす衛星に通じてる通信機がものすごくアナログ!モニターがぷくっとふくれていて映る文字は黒いバックグラウンドに白文字がぴろぴろーって!そのメーターはアナログですね!あと水銀柱ついとりませんかこれ!
その機械の説明の絵がすごく雑!なんかわけのわかんないエネルギーを中から出してる謎設定絵がネオンで表示!
なのに世界を破壊する衛星はすごく現代的デザイン!冷戦時代デザインだろ君は!
そもそもクラトフ!インターネットに繋げれば一発だろう!

ぜえぜえ。というようにものすごく突っ込もうと思えば突っ込める世界観。
ただ、これらはわざとやっていると思っているのです。クラトフが衛星と通信してるシーンがなんども出てくるのですが、その度にぷっくりモニタが大写しされているので本人達もそのちょっと勘違いしたソビエト時代の世界観をオマージュとしてるんじゃないかなーと。
そんなところをコロナビール飲みながらわーわー言うのが正しい映画なんだろう、そう思いながら見ておりました。
2を見るかと言われれば「あるんですかこれ」と返したい集客率ではありますが、わたくしはこれをヘッズと見たいと素直に思いましたためここに駄文をしたためたものであります。

最後に少々感じた欠点を書いておきます。
・ロシア美人は尻はさほどでもないから尻推しはやめましょう。尻推しはブラジルを起用しましょう。ナンシー=サンは素晴らしいのですが。
・状況を語らせると眠くなるのでここは改善してください。わたくしは地の文を語るゴブリン=サンに変換することで乗り切りました。
・無駄に沈黙シーンがあり、わたくしはニンジャスレイヤー アニメイシヨンのオフェンダー=サンを思い出してふふっとなりましたが普通の人にはちょっとたるいんじゃないかなこれ。
まあ減点法で語るとラズベリーなんちゃらとかもらいそうな映画ですが、いつか逆噴射映画祭にノミネートされることを信じてここに筆を置くものです。

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