米国株高値更新の背景
典型的でないパターン、幸運がいくつも重なる
筆者の基本想定では、21年11月から22年年初にかけて記録した米国3指数の最高値は、重要な長期サイクル(最短でも4年以上)の天井であり、しかも歴史的なバブルの要因(超低金利、信用の膨張、投機心理の広がり)を満たしていたので、時間を掛けながら、天井の後に当然到来するはずの長期サイクルの安値に向かうものと考えていた。
しかし、現実には想定したほどの下落が起きる前に、複数の株価押し上げ要因が重なり、新たなピークが形成されることとなった。
結果として筆者の展望が間違っていたわけであり、現状を踏まえて新たな長期展望を作成する必要があるのは明らかだ。
時価総額的にも、カバーの広さからも、米国の中心的な株価指標はSP500なので、これに注目して議論を進める。
最初の高値は22年1月3日4818だった。
それ以後の最安値は同年10月12日朝の3491である。
サイクルの起点はコロナ禍での最安値だった20年3月の2191であるのは明確である。
22年初の高値が更新されてしまった現在、20年3月安値と22年10月安値までのサイクルは、本来の4年前後のサイクルが短縮されたものと解釈せざるを得ない。
この場合、株価サイクルを重視するテクニカルアナリストとしては、20年3月に始まった6年半以上のサイクルが進行中で、この天井打ちの後に、22年の下落を時間的にも値幅的にも大きく上回る下落が到来すると判断せざるを得ない。
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