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米国で予想外の急速な景気減速

やっと効果が出始めた米国の金融引締め


米国ではこの5営業日で10年債利回りは4.638%から4.293%に急低下した。
経済指標が予想外の急低下を示したため、利下げ開始の見通しが大きく変化したからだ。
ISM製造業指数は前月49.4から48.7に、直近のデータを集計し足元のGDP暫定値を報じるアトランタ連銀のGDP Nowによる4-6月GDPは、5月半ばまで4.2%だったのが6月3日時点で1.8%に下がった。
正式な速報値が出るまで50日余りあるが、ここ10日間の動きを見ているとゼロ付近まで下がりそうな印象を受ける。

現在市場を支配している空気は、生成AI関係の投資競争がこのまま維持され、その結果関連銘柄の株高さえ続くなら、とりあえず他の悪材料には目をつぶる、ということらしい。
経済指標の急悪化はFRBの利下げ時期を早めるもので、債券相場を押し上げ、これらの銘柄にとってはポジティブであるから、NVIDIA主導の株高が一段と加速した。

GDPの急減速はいずれ企業収益の悪化となって株価にダメージを与えるはずだが、現在はNVIDIAの「GPU祭り」の真っ最中なので、同じ阿保なら踊らにゃソンソンと踊っている。
一過性であるはずの生成AI開発向け需要がいつまで続くか判らない。
祭りの参加者の多くが「あー疲れた、そろそろ利益確定しよっと」という気分になるか、大きな悪材料が出現して、「やべえ、早く逃げなきゃ」と思うまでは、行きつくところまで盛り上がってしまうのがバブル相場なので、理屈で予想しようなどと考えない方がよい。

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