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『ゴッホのあしあと』を読みました。

『ゴッホのあしあと』
 原田マハ
[幻冬社文庫]

『たゆたえども沈まず』の副読本。
副読本と呼ぶには、なんという内容の濃さ。
『たゆたえども沈まず』の制作秘話であり、ゴッホのガイドブックであり、資料集。
学校で使う社会や国語の資料集も、教科書そのものではないのに内容がぎっしりだから、「副読本」で間違いないのですが、とても読み応えがありました。

『たゆたえども沈まず』にグングン引きこまれたのはどうしてだろう、どうして私はゴッホに惹かれるんだろう、そんな私の中での疑問の答えがこの本に書かれていた気がしました。

原田マハさんのゴッホに対する愛の深さ。「愛」というと安易に聞こえてしまうかもしれないけれど。
盲目的にゴッホの作品が好き、というよりも、作家としてのゴッホをリスペクトしていることが、どのページを開いても伝わってくるんですよね。

ゴッホという人物についてのイメージが先行しすぎて、どうしても衝撃的な内容になりがちだと思うのですが、そうではなく、ずっとゴッホに寄り添っている。
そこが読んでいて心地よいのだと思いました。

とはいえ、『たゆたえども沈まず』は林忠正がキーパーソンであり、彼に対する思いにも胸が熱くなりました。ご家族を取材されたときに、書かせてほしい旨を伝える場面は必読です。

文庫版にあとがきが加えられているのですが(文庫の初版は令和2年8月10日)、こちらもぜひ読んでいただきたいです。
いま、読めてよかったです。

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