見出し画像

藤原和也の仕事場

来ましたね春! スプリングハズカム!
私が社会人になって先輩に言われた言葉のうち、
一番大切な事のひとつは
「夜桜は真冬の如し」です。
新社会人などはうっかり春めいた格好で参戦することが多いので
ゆめゆめ忘れないようにしてください。
そんな第2回のイクカラニハ!は、
JAGDA大阪の新入会員、
「ツバメと虎」の藤原和也さんです!どうぞー!

--------------------------------------------------------------------

年賀状2020

イクカラニハ!
チーム(以下イクカラニハ)本日はよろしくお願いします!

藤原さん
こちらこそよろしくお願いします。
夕方からずっと緊張してます..

イクカラニハ
そんな硬くなってもらうようなアレじゃないので、
気楽にしてください。笑
早速ですが、事務所はどちらにあるんですか?

藤原さん
大阪市内のシェアオフィスと、自宅の2拠点でやってます。
集中してやりたい時はシェアオフィス、
一人でやっているので
ちょっと行くのがめんどくさいな、という時は自宅です。
今日は自宅からですね。

(画面の端っこでもぞもぞ動いてる)

スクリーンショット 2021-03-21 1.31.06

イクカラニハ
あれ? わーネコだネコだ!(なんてZOOMっぽいんだ!)

藤原さん
えへへ。

イクカラニハ
名前なんて言うんですか?

藤原さん
リリーです。
谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」から命名しました。

イクカラニハ
ちりんちりん鳴ってますね。笑


工作好きな少年時代

イクカラニハ
子供の頃はどんな感じだったんですか?

藤原さん
兵庫県の朝来市っていう山の中で幼少期を過ごしたんですけど
同級生が2人で男子は僕だけでした。
途中で引っ越して、1クラスが30人くらいになって
びっくりしました。笑
何かを作るのが好きな、いわゆる、工作好きの男の子で、
漠然と何か作る仕事には憧れてたものの、
中学高校で何かするわけでもなく、陸上部に入ってました。
大学も普通の大学の文学部で..。

イクカラニハ
工作というと、授業とかのああいう?

藤原さん
そうですね。
夏休みの自由研究にすっごい本気を出したりしてました。
例えば、小4の時に
「おみくじ貯金箱」というのを作ったことがあって、
お金を入れたらお金が動いてる時だけ
電気でルーレットが回るっていう仕掛けを作って、
近畿大会まで行ったりして。

イクカラニハ
すごい!おもしろそうです。やってみたい。

藤原さん
理科や図工に小学生らしいロマンを感じてて、
遊びたいものを自分で作っていた、という感じで。

イクカラニハ
なるほどなるほど。
飾るだけじゃなくて、遊べるのがいいですね。
大学では何を?

藤原さん
その頃はまだデザインっていう職業も知らなくて、
史学科で、教職を目指していました。
ちょうどその頃はまだ就職氷河期って呼ばれてる頃で(2005年)、
教員になるのも難しいなあと感じてました。
将来を考えたときに、そういえばものづくりが好きだった!
ということを思い出して、
とりあえず家にはパソコンがあるぞ、ということで、
在学中にイラストレーターとフォトショップを学べる
スクールに週2回くらい通うようになりました。

イクカラニハ
イクカラニハ!スタッフ全員同世代なので
ゼロ年代のあの雰囲気、よくわかります。
でも普通の文学科でものづくりを目指す学生だったら
例えば出版社の編集とか、花形職業もあると思うんですが、
そういうのは目指さなかったんですね?

藤原さん
そうですねー。
職業=○○屋さん、みたいな、
「手に職」系をイメージしている感じだったので、
入社してから部署が決まるような、
いわゆる総合職や、一般職のような業種は、
いまいち想像できませんでした。


いろいろな経験を積んだ20代

イクカラニハ
無事にダブルスクールを終えられてからは、
どうされたんですか?

藤原さん
卒業してからは、大阪でカタログを中心に作ってる
DTPの会社に入りました。
初めはMacを使う仕事に就けた!って
思ってたんですが、やっているうちに、
ちょっと違うな…と思い始めて。
そのあたりで他の会社がやってることとかも見えてきたこともあって、
Macを使ってる、ということだけで、
自分はそもそもデザイナーなのかな、と思ったり。

イクカラニハ
当時はどういうデザインをみたり、本を読んだりしてたんですか?

藤原さん
その頃は佐藤可士和さんとか葛西薫さんのことを
デザイン系の雑誌で知ったり、
デザインケータイが流行ってたりしてた頃だったので、
深澤直人さんとか松永真さんとか。

イクカラニハ
わーあの頃のケータイはワクワクしましたね!
(注:2000年代初頭に、デザインケータイブームがありました)

スクリーンショット 2021-03-21 2.35.51

藤原さん
楽しい時代でしたねー!
会社でも感度の高い先輩がいて
音楽やファッションのことなど教えてもらいましたし、
大型本屋さんで、
仲條正義さんの花椿とかTDC年鑑、
写植時代の組版の本などにも出会いました。
デザインだけじゃなく、カルチャー全体の魅力を知って、
だんだんと感度の解像度が上がっていった時期で、
なんてデザインは深くて畏ろしんだろう、
とのめり込み始めていました。

イクカラニハ
(うんうん)その会社にはどれくらいいらっしゃったんですか?

藤原さん
4年くらい勤めた後、デザイン会社に転職したりもしたんですが、
デザインを専門的に学んでいない劣等感などあって、
少し心が離れた時期がありました。
そんな時に、時代のトレンドがWebになってきたので、
Webを学べる学校に行き始めました。

イクカラニハ
今度はWebの学校に!

藤原さん
そうですね。
ちょうどその頃に、システム開発の会社の立ち上げに関わった友人が
声をかけてくれたので、学校を途中でやめて
Webデザイナーとして入社しました。
ガラケーっぽくないガラケーサイトを作るのが得意でした。
しばらく紙のデザインと離れていた時期ですね。

イクカラニハ
そちらにはどれくらいいらっしゃったんですか?

藤原さん
3年くらいいてちょっと疲れてしまって。笑
その頃は、ネットで知り合った人と
文章を書いたり、描いた絵をグループ展に出したりもしてたので、
趣味軸で、ものづくりと関わってもいいかなと思っていました。
それで1年くらい通信教育を受けて
今度は小学校の先生になりました。

イクカラニハ
えー!また学校的なやつに!!ほんで小学校の先生に!!!!

スクリーンショット 2021-03-21 12.41.52

藤原さん
笑。
算数とか書写とか外国語のクラスを受け持っていました。

イクカラニハ
(メッチャ学校に行く人だ..)
その時点でおいくつくらいなんですか?

藤原さん
先生になったのが30歳くらいですね。
全く違う世界で、全く違う専門的な仕事に深く入れたのが
よかったと思います。
授業も、これまでの経験を基にして、
作る前に考え方を考える、という発想を取り入れたり、
作った後も「どこがよかったのか」を子供たちに話したりしました。

イクカラニハ
なるほど。小学生時代に、作ったものがただの掲示物にならずに
どこがどういいかを聞けるのは、
子供たちにとっても小さな財産になったと思います。
その後はなにを?(ドキドキ)

藤原さん
デザインを辞めてる間に、改めてデザインが好きだな、
ということを再確認しまして、
またWeb制作の会社に入りました。
その時に今度は、
京都でやってたアートディレクション講座に通っていました。
(注:千原徹也さんの「れもんらいふデザイン塾」)
アートディレクションっていうのはこういうことなんだ!
というのを初めて教わって、
チームとしてのまとめ方も意識し始めた時ですね。

イクカラニハ
今度は講座に!!
何かをしよう!ってなった時にはいつも
何かを学ぶ場所に属されることが多いんですね。
真面目なお人柄が出てるように思います。

藤原さん

(にゃー)

リーンショット 2021-03-21 1.28.16


「ツバメと虎」始動

イクカラニハ
次はどうなるんでしょう? わくわく。

アートディレクションの講座を受けたことで、
もう少し全体を見れる仕事ができたらいいなと思っていたところ、
ご縁があって今度は大手メーカーのインハウスデザイナーになりました。

イクカラニハ
今度はインハウスに!

藤原さん
はい。でもいざ入ってみると、内側すぎたということもあって、
今度は早めに辞めてしましました。
それで2018年の終わりに独立した感じです。

スクリーンショット 2021-03-21 16.39.43

イクカラニハ
おお!やっとここで「ツバメと虎」に!
屋号はどういう由来なんですか?
スワローズとタイガース?

藤原さん
あ、いえ、そういうわけじゃなくて。笑。
接続詞のところの「と」が重要だと思っていて、
何かと何かが掛け合わさったときに生まれる展開の
きっかけになれればいいなという想いから
まず「と」を決めました。
例えば僕のデザイン「と」お客さんに
新しいストーリーができたりしたらなと。

イクカラニハ
なるほどなるほど。その中でもどうしてツバメと虎が選ばれたのでしょう?

藤原さん
まず猫が好きだった延長で「虎」を入れようと決めて、
でも虎だけだと自分のイメージとかけ離れすぎてるので、
語感も含めて、もっと繊細な動物を掛け合わせて、
それこそ新しいストーリーになり得るような、
絶対に出会わない2つの動物の、
違和感のある組み合わせとして「ツバメ」を選びました。

イクカラニハ
アイデアは異質なものを組み合わせた時にできると
言われますが、そういうことですね。
日本語というのも素敵ですね。
独立してからはどんなことをされてるんですか?

藤原さん
自分らしさを出せたかなと思っているのが、
知り合いに頼まれた、国立文楽劇場で行われた演奏会のチラシです。

スクリーンショット 2021-03-21 16.50.05

着付師の方とバイオリニストの演奏家の姉妹がユニットで行った
コンサートイベントの告知ですね。

イクカラニハ
タイポグラフィの表現が素敵ですね。

藤原さん
「装」の方はハサミとか針を、
「奏」の方は音楽記号やバイオリンの弦をモチーフにして作っています。
依頼してくれた方も喜んで下さって、
配った人にも上々の評判だったようです。
奈良に「奈良GALA」というデザインアワードがあるんですが、
金鹿賞(最優秀賞)というのもいただきました。

イクカラニハ
素敵ですね。奈良だから金鹿賞。

画像12

藤原さん
パッケージだとこういうのとか。

スクリーンショット 2021-03-21 17.44.02

画像13


イクカラニハ
ちなみにWebサイトはどういうのを?

藤原さん
例えばこういうお寺のサイトとか。
Webサイトはあくまで何かを実現するための「道具」として
機能するように心がけてます。

画像14


デザイナーの文房具

イクカラニハ
普段はどんな道具を使ってらっしゃるんですか?

藤原さん
えーと(ごそごそ)、
これは、愛用してる金定規の150mmバージョンです。
飛行機に乗るときに刃物と間違えられて止められました。笑

スクリーンショット 2021-03-21 17.19.07

もう一つはこのユニのペンシルホルダーのBとHBですね。

スクリーンショット 2021-03-21 17.27.19

(トップの手描きの事務所の図面も、これで描いていただきました)


イクカラニハ
いろんな道を歩いてこられた藤原さんですが、
今後はどうなるんでしょうか?

藤原さん
Webもおもしろいのですが、
僕としては紙媒体やグラフィックデザインが好きなので、
今後はもっと増やしていきたいですね。
仕事数もまだ少ないので、
どんどん作品を作っていきたいなと思っています。

イクカラニハ
これからがものすごく楽しみですね!
今日は長い時間、どうもありがとうございました!



色々な経験を糧に、
新しい独自の哲学を生み出している藤原さん。
穏やかな口ぶりからは想像できないような、
情熱を持っている方でした。

藤原さん。どうもありがとうございました!

--------------------------------------------------------------------

スクリーンショット 2021-03-21 17.36.06

藤原和也(Fujiwara Kazuya)
ツバメと虎
アートディレクター / グラフィックデザイナー / Webデザイナー

兵庫県朝来市生まれ。2005年に佛教大学文学部史学科卒業。
印刷やWebの制作会社、小学校の講師、インハウスデザイナーなどを経て、 2018年に「ツバメと虎」として、フリーランスとして事業を開始。
グラフィックデザイン、Webデザインを中心に、ロゴやタイポグラフィの作成、アプリケーションのUI設計なども行う。
最近の仕事に、装x奏のグラフィックデザイン、滝谷不動尊のWebサイト
リニューアル、KONDITOREI KOBEのパッケージなど。
【主な受賞暦】日本タイポグラフィ年鑑 入選、東京TDC賞 入選、デザインアワード奈良GALA: 金鹿賞、白鹿賞受賞


イクカラニハ!スタッフ
 (右上)編集 / 外賀寛子 @sinwagraphic
 (右下)佐藤大介 @daiskesato
 (左下)竹広信吾 @shingo1978



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?