未来の世界は、「タダでなんでも手に入る」ようになるのか?

 私達が住む日本をはじめ、多くの国々が採用している資本主義経済は、どんどん効率的にモノやサービスを作り、安価に販売するよう企業を競争させています。さらに、今後はロボットや再生可能エネルギーが普及していく流れがあります。これらの動きが続いた先に、未来の世界は「タダでなんでも手に入る」ようになるのでは、と考えてみました。

目次
・資本主義経済の仕組み
・過去との比較
・ロボットと再生可能エネルギーによる価格破壊
・完全に「タダ」とはいかない

資本主義経済の仕組み
 まず、資本主義経済の仕組みを考えてみます。私は、資本主義を「人の欲望を原動力に、お金を材料として競争を行い、欲望を満たすものを無限に創造していく仕組み」と考えており、資本主義経済はこの仕組みに沿って行われる経済活動のことと定義します。
 資本主義経済では、人々の欲望を満たすために絶えず競争を行っています。主な人々の欲望は、「今よりもっと心地よくしてほしい。今よりもっと時間を自分のことに使いたい。今よりもっと安くして欲しい」の3つになります。これらの欲望を満たすために、より良く、より早く、そして「より安く」人々にモノやサービスを提供できるように、会社や個人事業者は働くことを通して競争しています。
 この競争によって、モノやサービスの価格はどんどん安くなっていく流れに乗っていきます。

過去との比較
 具体的に「安い」とはどういう状況なのか、過去との比較で考えてみます。まず、100円均一ショップというお店が登場しました。ここでは、ほとんどの物が100円で売られており、食器や文具など日曜雑貨品の価格を個人商店やスーパーよりも下げました。また、大衆向けの洋服は、ユニクロやしまむらの登場でより安く購入することが可能になりました。
 特に価格が下がったものは、娯楽分野ではないかと思います。インターネットが登場して画像や動画を誰もがどこでも見られるようになり、それまでの漫画雑誌を買ったり映画館で映画を観るよりも格段に低価格で漫画や映画を楽しめるようになりました。さらに、YouTubeやネットゲームなど無料で楽しめるコンテンツも数多くあり、娯楽についてはお金を使わず楽しむことができます。
 また、価格は変わらずとも性能が向上したり内容が充実するなど、質が向上したことで実質的には安くなったモノやサービスもあります。
 例えば、ノートパソコンは過去と比較して全体的には価格があまり変化していませんが、画像のキレイさや起動時間の短縮など性能は格段に上がっています。ノートパソコンに限らず、家電系のモノは「実質的に安く」なっていると思います。

ロボットと再生可能エネルギーによる価格破壊
 現在のモノやサービスの価格を構成している要素として、人件費と電気代が占める割合は大きいのではないかと思います。他の価格を構成する要素である原材料は結局他の人が用意しますし、加工には電気を使わないことはありません。運搬も電気自動車が行うとすれば、やはり電気が必要になります。この人件費と電気代を、ロボットや再生可能エネルギーにより限りなくゼロに近づけることが、可能ではないかと考えます。
 まず、ロボットが様々な作業を代替することで、人件費を大幅に削減できます。人の場合、そもそも給与を与える必要がありますし、休息も必要になります。しかし、ロボットであれば給与を与える必要もなく、休息も不要です。どれだけ性能が上がっても、人と違って昇給させる必要がなく、バイトテロや情報流出のような、悪意ある行為もしません(ハッキングにより、間接的に「させられる」可能性はあります)。
 次に、太陽光や風力・水力、最近では人が歩く際の地面を踏むエネルギーを電気に変える技術が出てくるなど、飛躍的に進歩している再生可能エネルギーがあれば、ずっと低価格で電気を作り出すことができます。まず、燃料となるものが無料のうえ無限に使用することができます。さらに、一度発電を開始すれば、これまでの火力発電や原子力発電と比較して、少ない保守点検で運用することができ、発電コストははるかに安いと思います。もちろん、既存の発電所でもロボットが導入されれば、その分人件費が抑えられ今よりも低価格になるでしょう。
 このように、初期投資を行った後は保守・点検程度で済むロボットと、無限に発電できる再生可能エネルギーを組み合わせれば、モノやサービスを創る際のコストは大幅に下がり、結果として価格が大幅に下げることが可能になります。資本主義経済による競争も相まって、最終的には何でもタダで手に入る世界になりそうです。
 
完全に「タダ」とはいかない
 しかし、資本主義による競争やロボット等の活躍があっても、完全にタダにはならないと考えられます。
 まず、「人の欲望は『より安く』だけではない」からです。私たちは、いくら安いことを求めていても、「たまの休みは豪華な旅行をしたい」「デートの時は高級料理を楽しみたい」と、「あえてお金をたくさん使いたい」という欲望もあります。この欲望も満たすために、資本主義経済の基ではいわゆる「高級分野」のモノやサービスも発展しました。
 さらに、資本主義経済そのものの仕組みとして、「利益を出さなければならない」という縛りがあります。新しいモノやサービスを生み出す際には、新しい人や機械を用意する必要があります。また、昨今の状況のようにお金を稼げない場合に備えて蓄えておく必要もあります。
 これらの理由から、高級分野のモノやサービスは残りますし、利益を出すために価格をゼロにはできないため、「タダでなんでも手に入る」世界にはならないと考えられます。しかしながら、今よりもさらに安い価格でモノやサービスが手に入る世界にはなりそうです。

 皆さんは、未来の世界はどのようになっていると思いますか。

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