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資本主義をゲームに例えて考える⑦ ~桃太郎電鉄という投資ゲーム~

 今回は、「資本主義をゲームに例えて考える」シリーズとして、実際のゲームとして資本主義、特に投資を行う「桃太郎電鉄」について考えてみました。

目次
・「桃太郎電鉄」のゲームルール
・桃太郎電鉄で勝つ方法と資本主義で勝つ方法
・最大の謎「なぜ物件の値段が上がらない?」

○「桃太郎電鉄」のゲームルール
 桃太郎電鉄とは、KONAMIから発売されているすごろく形式のゲームで、日本全国をマップとし、目的地となった街へ移動しながら道中の街で物件を購入します。最終的に購入した物件の資産額(どれだけの価値の物件を持っているのか)で勝敗を決するゲームです。
 通常のすごろくは、先にゴールした人が勝者となりますが、このゲームでは例え目的地(ゴール)に誰かが到着しても、また目的地が設定されて事前に定めたターン数(ゲームでは年月表示)まで続きます。物件を購入するには、お金をもらえるマスに止まったり、目的地に一番乗りしたり、先に購入した物件から上がる収益でお金を用意する必要があります。
 この他に、目的地から一番遠い人にペナルティとして課され、資産額やゲームプレイにさまざまなマイナス影響を与えるイベントを起こす「貧乏神」や、他のプレイヤーへの妨害や自分のプレイを有利にする「カード」といった機能があります。

○桃太郎電鉄で勝つ方法と資本主義で勝つ方法
 桃太郎電鉄における勝者とは、「全ターン終了時の資産額が最も多いプレイヤー」になります。よって、目的地に一番乗りした回数が多くても勝つことはできません。
 私もこのゲームが好きで良くプレイするのですが、このゲームで勝つ最も重要な方法は、「収益の多い物件を購入し、かつそれを新たな物件購入に充てること」です。マップ中の街には、様々な物件があるのですが同じ購入額でも収益率に差があります。すると、同じお金を使っても上がる収益(持っている物件の収益率に応じて、規定ターン毎にもらえるお金)に差ができることとなり、これが次の物件購入に大きな影響を与えます。
 対戦相手がコンピューターの場合、基本的に物件を全て購入しようとしますが、全部を買うよりも収益の多い物件を選択して購入し、次の物件用にお金をとっておく方が勝ちやすいです(ただし、街の物件を全て購入すると収益が2倍になるというルールもあり、収益が低くても購入した方が有利となる場合もあります。ここが桃太郎電鉄の面白いところでもあります。)。
 これは、私の考える現実の資本主義ゲームの目的、「自分が自由に使えるお金をどれだけ増やせるかに挑戦する」と合致しており、現実のこの社会においても同様の方法、すなわち「投資」が大切となります。単にお金が無くなる「消費」だけをするのではなく、新たにお金を生む「資産」を購入すること、かつ購入する資産は同じ額ならば「収益」のより多いものを選択することで、自分の使えるお金が増えていき現実の資本主義ゲームを有利に進めることができます。

○最大の謎「なぜ物件の値段が上がらない?」
 桃太郎電鉄をプレイしていて、私が感じている最大の謎は「なぜ物件の値段が上がらない?」ということです。
 実は、このゲームではターンが進んでいくごとにお金がもらえる又は損するマスの金額が大きくなり、カードを購入する際の値段も同じく上がっていく仕組みとなっています。現実の世界と同じく、物の値段が上がる(お金の価値が下がる)インフレがゲーム内では進行しているようなのですが、なぜか街で購入できる物件は値段が上がりません。
 ゲームバランスの観点で、最下位の人でも逆転できるよう(このゲームでは容易に資産がゼロになることがあります)、資産の要である物件は値段を上げない設定にしていると考えられます。
 一方で、個人的に想像しているのが、この物件の値段が上がらないという施策を桃太郎電鉄世界の政府が実施しているのではないか、ということです。物件は、ほとんどのビジネスや生活において不可欠なものです。そのうえで、購入するにはかなり大きな金額が必要であり、分割や家賃という形をとっても、給与で生活をする人にとって月々の支出の大きな部分を占めているでしょう。そのため、インフレによって値段が上がるとビジネスや生活へ大きな影響を与えてしまいます。そこで、景気刺激策として物件の値段は固定するという施策を政府が進めているのかもしれません。

 みなさんはどう思いますか。

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